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東の国
飢餓
公爵が作ってくれた道を進みながら、左右に耳を澄ませる。
みんな暴動を起こして捕まってしまったか、それともどこかに避難しているのか。もしくは……あの人たちのように黒い点になってしまったのかはわからないけれど。
もしかしたら、冷たい雪の中に取り残された人がいるかもしれない、そう思って。
「ルーダ。俺ってば、サーチみたいな探索魔法って使えたりする?ルーダは使える?」
一応俺の知る「緑、黄、赤、青」とかの基本にはなさそうだし、呪いとか眠りとかの黒魔法にも、癒しとかヒールとかの白魔法にもなさそう。
でも俺のレインボーのどこかの色にあったりするのかも。
「サーチ、というのかは分からぬが、周囲の魔力を感じとることはできるだろう。人は多かれ少なかれ魔力を持っておる」
「でも、東国の人って基本的に魔法使えないって聞いてるんだけど。魔力って魔法が使えない人にもあるの?」
「うむ。魔力とは魔素を取り込み、それを圧縮して外に放出するものだと考えてみるといい。魔素には分かりやすく言えば、お主らが緑だの青だの呼んでおるものと、負の魔素とがある。人は生まれついて魔力の核のようなものがあるのだ。そこに相性の良い魔素を取りこみ放出するのが、緑魔法、水魔法と呼ばれているものなのだ」
おお!属性ってそういうことだったのか。ふむふむ。
ここでルーダはひょいっと前足を上げて公爵を指した。
「ちなみに、黒魔法を使えぬものが負の魔素をため込めば魔王となる。つまり、そこの公爵の家系だな。負を集める公爵家、そして負を取り込み浄化するサフィール。二つはセットなのだ。
サフィはサフィールと魔王のサラブレッド。歴代最強の聖女ゆえ、全ての色と相性が良い。つまり、この世界の全てから魔素を取り込むことができる。ゆえに魔力の底が無いのだ。
負の魔素もサフィがおるだけで勝手に吸い込まれ浄化されてゆく」
「聖女って、そういうシステムだったの?」
「いや、改めて聞くと、サフィってすげえな」
「うむ。……私とゲイルがセットだということも含め、非常に納得のいく説明だ」
「ゲイルと公爵がセットとは言ってないでしょ。公爵の家系とサフィールって言っただけで」
「……うむ」
「こほん。続けるぞ?とにかく、魔力が無いものというのはだな、つまりは、その核と相性の良い魔素のないもの、他の魔素を受け入れることが出来ぬものを指す。
要するに、魔力が使える使えぬ関係なく、全ての生き物は皆魔力を帯びておるのよ。
ゆえに『魔法』を感知するのではなく『魔素の核』を意識すればよい。やってみろ、サフィ。
我も探知は可能だ。しかし『従魔』としてそなたを助けることはできるが、我の守護範囲外には手出しできぬ決まりゆえ」
魔素の核……。抽象的すぎない?
えっと……イメージとしてはみんな持ってる……魔力の中心みたいな……玉?
お腹の当たりにある小さな丸いものをイメージして……
うーーーん……
他の魔素、つまり他の色に染まらない魔素……無色……?
色の無い魔素………
あ。
遠くにぽつん、ぽつんと何か小さな塊みたいなのがあるっぽい。
えっと………右の方に……二つ。
前のほうのちょっと左に……一つ。
「分かった!あっちの方に二つ!そっちの方に一つ!ルーダと公爵は雪を溶かしながらあっちを見てきて!俺とキースは前の方に行くから!」
大急ぎでぽつんを感じた方向に向かう。公爵が道を作ってくれててよかった!
200メートルほど進んだ先、左側に踏み固めた雪の跡が見えた。
こっちだ!
小さなお家。
雪に埋もれかけてはいるけれど、周りを板で補強したり、間に藁みたいなのを挟んだりと、寒さを凌ぐ工夫がされていた。
声をかけてみようか。
大人なキースが声をかけるより、俺が呼んだ方が警戒されにくいよね?
キースに視線を送れば、キースが「行け!」と親指を立てた。
よし!
「あのーー!こんにちはー!誰かいますかあ!俺は冒険者のサフィです!たのもー!」
コンコンコン、と扉をノックし、耳を澄ませた。
………………。
………………。
あれ?返事が無い。
うーむ!
またサーチしてみたら、ちゃんと中に魔核的なものがある。
ここで合ってた。
「キース、開けてみていい?」
キースの表情が少し険しくなった。
「ああ。俺が開ける。サフィは少し下がれ」
「あけますよーー!失礼しますよーー!」
一応声を掛けて、キースが扉を開けば………
「!!」
火の家のない邸。
その入ってすぐのところに、一人のお爺さんが倒れていた。
みんな暴動を起こして捕まってしまったか、それともどこかに避難しているのか。もしくは……あの人たちのように黒い点になってしまったのかはわからないけれど。
もしかしたら、冷たい雪の中に取り残された人がいるかもしれない、そう思って。
「ルーダ。俺ってば、サーチみたいな探索魔法って使えたりする?ルーダは使える?」
一応俺の知る「緑、黄、赤、青」とかの基本にはなさそうだし、呪いとか眠りとかの黒魔法にも、癒しとかヒールとかの白魔法にもなさそう。
でも俺のレインボーのどこかの色にあったりするのかも。
「サーチ、というのかは分からぬが、周囲の魔力を感じとることはできるだろう。人は多かれ少なかれ魔力を持っておる」
「でも、東国の人って基本的に魔法使えないって聞いてるんだけど。魔力って魔法が使えない人にもあるの?」
「うむ。魔力とは魔素を取り込み、それを圧縮して外に放出するものだと考えてみるといい。魔素には分かりやすく言えば、お主らが緑だの青だの呼んでおるものと、負の魔素とがある。人は生まれついて魔力の核のようなものがあるのだ。そこに相性の良い魔素を取りこみ放出するのが、緑魔法、水魔法と呼ばれているものなのだ」
おお!属性ってそういうことだったのか。ふむふむ。
ここでルーダはひょいっと前足を上げて公爵を指した。
「ちなみに、黒魔法を使えぬものが負の魔素をため込めば魔王となる。つまり、そこの公爵の家系だな。負を集める公爵家、そして負を取り込み浄化するサフィール。二つはセットなのだ。
サフィはサフィールと魔王のサラブレッド。歴代最強の聖女ゆえ、全ての色と相性が良い。つまり、この世界の全てから魔素を取り込むことができる。ゆえに魔力の底が無いのだ。
負の魔素もサフィがおるだけで勝手に吸い込まれ浄化されてゆく」
「聖女って、そういうシステムだったの?」
「いや、改めて聞くと、サフィってすげえな」
「うむ。……私とゲイルがセットだということも含め、非常に納得のいく説明だ」
「ゲイルと公爵がセットとは言ってないでしょ。公爵の家系とサフィールって言っただけで」
「……うむ」
「こほん。続けるぞ?とにかく、魔力が無いものというのはだな、つまりは、その核と相性の良い魔素のないもの、他の魔素を受け入れることが出来ぬものを指す。
要するに、魔力が使える使えぬ関係なく、全ての生き物は皆魔力を帯びておるのよ。
ゆえに『魔法』を感知するのではなく『魔素の核』を意識すればよい。やってみろ、サフィ。
我も探知は可能だ。しかし『従魔』としてそなたを助けることはできるが、我の守護範囲外には手出しできぬ決まりゆえ」
魔素の核……。抽象的すぎない?
えっと……イメージとしてはみんな持ってる……魔力の中心みたいな……玉?
お腹の当たりにある小さな丸いものをイメージして……
うーーーん……
他の魔素、つまり他の色に染まらない魔素……無色……?
色の無い魔素………
あ。
遠くにぽつん、ぽつんと何か小さな塊みたいなのがあるっぽい。
えっと………右の方に……二つ。
前のほうのちょっと左に……一つ。
「分かった!あっちの方に二つ!そっちの方に一つ!ルーダと公爵は雪を溶かしながらあっちを見てきて!俺とキースは前の方に行くから!」
大急ぎでぽつんを感じた方向に向かう。公爵が道を作ってくれててよかった!
200メートルほど進んだ先、左側に踏み固めた雪の跡が見えた。
こっちだ!
小さなお家。
雪に埋もれかけてはいるけれど、周りを板で補強したり、間に藁みたいなのを挟んだりと、寒さを凌ぐ工夫がされていた。
声をかけてみようか。
大人なキースが声をかけるより、俺が呼んだ方が警戒されにくいよね?
キースに視線を送れば、キースが「行け!」と親指を立てた。
よし!
「あのーー!こんにちはー!誰かいますかあ!俺は冒険者のサフィです!たのもー!」
コンコンコン、と扉をノックし、耳を澄ませた。
………………。
………………。
あれ?返事が無い。
うーむ!
またサーチしてみたら、ちゃんと中に魔核的なものがある。
ここで合ってた。
「キース、開けてみていい?」
キースの表情が少し険しくなった。
「ああ。俺が開ける。サフィは少し下がれ」
「あけますよーー!失礼しますよーー!」
一応声を掛けて、キースが扉を開けば………
「!!」
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その入ってすぐのところに、一人のお爺さんが倒れていた。
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