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東の国
おじいさん
「えっと、俺たちは旅の冒険者です。俺はS級でドラゴンライダーのサフィ。
こっちもS級冒険者でドラゴンスレイヤーのキース。
東国が大変だって噂を聞いて確かめに来たのです!
それで誰かいないか探してたら、人の気配があったので……」
「一応ノックはして声はかけたんだぞ?返事が無かったものでな。何かあったのではと念のため中確認したところ、あなたが倒れていたというわけだ」
交互に説明する俺たち。ナイスコンビネーション!ほら、俺とキースってばバディだしね。
俺たちの説明を聞いてお爺さんはようやく肩の力を抜いた。
「そうか……。それは迷惑をかけたな。
身体がずいぶん楽になっているのだが、何かしてくれたのか?」
「あ、ヒール……「ヒールポーションを使ったんだ。持ってきていて良かったぜポーション!冒険者の友、ポーション!」
俺の言葉に被せるように「ポーション」を連発したキースが、バッチンバッチンとウインクで合図してくる。
あ。まだヒール使えるのは内緒なのですね。了解です。
「あ……ああ。貴重なものなのだろう?ワシに使ってしまって良かったのか?
見て分かっただろうが……今のこの国には仕入れることができるものなど何もないぞ?」
申し訳なさそうに自嘲するおじいさん。
起き上がって初めて自分が毛布にくるまれていたことに気付き「ああ……ありがとう。なにからなにまで」と肩を落とす。
そうすると、ただでさえ細い体がさらに小さく見える。
どん!
俺は見ていられなくって、お爺さんの前にパン粥を鍋ごと置いた。
「食べて!全然栄養足りてないから!腕とか足とか、骨しかないから!とにかく食べて!」
「い、いや、そこまでして貰うわけには……」
グウウウウウ
固辞するおじいさんのお腹がなった。
「「「…………」」」
無言でパンをスプーンですくってガボッとおじいさんのお口に突っ込む。
「んんっ!」
ビックリしながらも、零さぬよう慌ててお口を閉じるおじいさん。
「ほら、ごっくんして!ごっくん!」
ごくん。
「……おいしいでしょ。これは俺がおじいさんのために、おじいさんをあったかくしてお腹いっぱいにしたい気持ちを込めて作ったの。だから食べて」
もうひとさじすくってガボッ!
ごくん。
「………………うまいな」
よし!
スプーンをおじいさんの手にぎゅっと握らせ、目の前に鍋をぐいっと押した。
「全部食べてくれなきゃダメだからね」
その言葉を皮切りに、おじいさんが猛烈な勢いでパン粥を口に運び出す。
よっぽどお腹が空いていたのだろう。
無心でひたすらスプーンを往復させる。
俺もちょこっとだけ内緒で手助け。
急に食べて胃がびっくりしないように、ちょこっとだけヒール。消化を促進するやつ。
速く身体に吸収されるように。お肉や力になるように。
と。
鍋が半分くらい空になったところで、ふとおじいさんのスプーンが止まった。
見ればホロホロと涙を流している。
「お、おじいさん?どうしたの?お腹痛い?それともベロを火傷した?ベロ嚙んじゃったとか?お口に見せてっ」
慌てて口を開けさせようとすれば、おじいさんはふるふると首を振った。
「……違うのだ。………ありがたくてなあ。見ず知らずのワシに……ここまで………それに、お恥ずかしい話、皆が飢えているのだ。なのにこんな年寄りだけがこんな美味いものを……」
何言ってんの?
ガリガリになって、倒れちゃうくらいまで頑張ったんじゃん。
ぎゅうっと唇と噛む。
ヒールしなきゃ死んでたんだよ?それくらい緊急事態だったの。
言葉は悪いけど、おじいさんだけここに残ってたのって……たぶん、みんなの食べ物を減らさないように、でしょ?
いわゆる「口減らし」のつもりだったんじゃないの?
言いたかったけど、ぐぬう、とその言葉を飲み込んだ。
だって、これは俺が言ったらダメなことだろうから。
代わりにこう言った。
「あのね。お年寄りだとか若いとか、そんなのは関係ないから。みんなおんなじ命だから。
お腹すいたら誰だって辛いもん。
俺はね、おじいさんだから助けたんじゃないから。目の前に困ってる人が居たから助けただけだから。
全部の命を救うのは無理でしょ。だからね、目の前にある命は救うって決めてるの。
悪いけど俺が出会っちゃったからには、死なせるわけにはいかないの。
ヒール……ポーションで身体の不調は回復してるはずだから。食べたら、俺たちに今のこの国がどうなっているのかを教えて欲しい。
だから食べて。全部食べて。食べたら、他の人も助けに行こう。
言ったでしょ?俺もキースの伝説のS級冒険者だよ?世界に数人しかいないS級が、しかも二人もここにいるなんてすごいことなんだからね?すんごく強い仲間もいるし。俺たちで絶対に助けて見せるから!」
キースがポンポンとおじいさんの肩を叩いた。
「俺たちに任せろ。
それに、一週間ほど前に俺らの親父がここに来てるはずなんだ。医者なんだが……心当たりはないか?」
「!!ゲイルか!そうか、あんたらはゲイルの……!!」
ぱああ、とおじいさんの顔が輝いた。
「!知ってるの?ゲイルに会ったの?!」
思わず毛布にのりあげ、グイグイとおじいさんに迫る。
「あ、ああ。あの人が来てくれたおかげでワシの家族は助かった」
やったあ!ゲイル、やっぱりここで頑張ってた!
こっちもS級冒険者でドラゴンスレイヤーのキース。
東国が大変だって噂を聞いて確かめに来たのです!
それで誰かいないか探してたら、人の気配があったので……」
「一応ノックはして声はかけたんだぞ?返事が無かったものでな。何かあったのではと念のため中確認したところ、あなたが倒れていたというわけだ」
交互に説明する俺たち。ナイスコンビネーション!ほら、俺とキースってばバディだしね。
俺たちの説明を聞いてお爺さんはようやく肩の力を抜いた。
「そうか……。それは迷惑をかけたな。
身体がずいぶん楽になっているのだが、何かしてくれたのか?」
「あ、ヒール……「ヒールポーションを使ったんだ。持ってきていて良かったぜポーション!冒険者の友、ポーション!」
俺の言葉に被せるように「ポーション」を連発したキースが、バッチンバッチンとウインクで合図してくる。
あ。まだヒール使えるのは内緒なのですね。了解です。
「あ……ああ。貴重なものなのだろう?ワシに使ってしまって良かったのか?
見て分かっただろうが……今のこの国には仕入れることができるものなど何もないぞ?」
申し訳なさそうに自嘲するおじいさん。
起き上がって初めて自分が毛布にくるまれていたことに気付き「ああ……ありがとう。なにからなにまで」と肩を落とす。
そうすると、ただでさえ細い体がさらに小さく見える。
どん!
俺は見ていられなくって、お爺さんの前にパン粥を鍋ごと置いた。
「食べて!全然栄養足りてないから!腕とか足とか、骨しかないから!とにかく食べて!」
「い、いや、そこまでして貰うわけには……」
グウウウウウ
固辞するおじいさんのお腹がなった。
「「「…………」」」
無言でパンをスプーンですくってガボッとおじいさんのお口に突っ込む。
「んんっ!」
ビックリしながらも、零さぬよう慌ててお口を閉じるおじいさん。
「ほら、ごっくんして!ごっくん!」
ごくん。
「……おいしいでしょ。これは俺がおじいさんのために、おじいさんをあったかくしてお腹いっぱいにしたい気持ちを込めて作ったの。だから食べて」
もうひとさじすくってガボッ!
ごくん。
「………………うまいな」
よし!
スプーンをおじいさんの手にぎゅっと握らせ、目の前に鍋をぐいっと押した。
「全部食べてくれなきゃダメだからね」
その言葉を皮切りに、おじいさんが猛烈な勢いでパン粥を口に運び出す。
よっぽどお腹が空いていたのだろう。
無心でひたすらスプーンを往復させる。
俺もちょこっとだけ内緒で手助け。
急に食べて胃がびっくりしないように、ちょこっとだけヒール。消化を促進するやつ。
速く身体に吸収されるように。お肉や力になるように。
と。
鍋が半分くらい空になったところで、ふとおじいさんのスプーンが止まった。
見ればホロホロと涙を流している。
「お、おじいさん?どうしたの?お腹痛い?それともベロを火傷した?ベロ嚙んじゃったとか?お口に見せてっ」
慌てて口を開けさせようとすれば、おじいさんはふるふると首を振った。
「……違うのだ。………ありがたくてなあ。見ず知らずのワシに……ここまで………それに、お恥ずかしい話、皆が飢えているのだ。なのにこんな年寄りだけがこんな美味いものを……」
何言ってんの?
ガリガリになって、倒れちゃうくらいまで頑張ったんじゃん。
ぎゅうっと唇と噛む。
ヒールしなきゃ死んでたんだよ?それくらい緊急事態だったの。
言葉は悪いけど、おじいさんだけここに残ってたのって……たぶん、みんなの食べ物を減らさないように、でしょ?
いわゆる「口減らし」のつもりだったんじゃないの?
言いたかったけど、ぐぬう、とその言葉を飲み込んだ。
だって、これは俺が言ったらダメなことだろうから。
代わりにこう言った。
「あのね。お年寄りだとか若いとか、そんなのは関係ないから。みんなおんなじ命だから。
お腹すいたら誰だって辛いもん。
俺はね、おじいさんだから助けたんじゃないから。目の前に困ってる人が居たから助けただけだから。
全部の命を救うのは無理でしょ。だからね、目の前にある命は救うって決めてるの。
悪いけど俺が出会っちゃったからには、死なせるわけにはいかないの。
ヒール……ポーションで身体の不調は回復してるはずだから。食べたら、俺たちに今のこの国がどうなっているのかを教えて欲しい。
だから食べて。全部食べて。食べたら、他の人も助けに行こう。
言ったでしょ?俺もキースの伝説のS級冒険者だよ?世界に数人しかいないS級が、しかも二人もここにいるなんてすごいことなんだからね?すんごく強い仲間もいるし。俺たちで絶対に助けて見せるから!」
キースがポンポンとおじいさんの肩を叩いた。
「俺たちに任せろ。
それに、一週間ほど前に俺らの親父がここに来てるはずなんだ。医者なんだが……心当たりはないか?」
「!!ゲイルか!そうか、あんたらはゲイルの……!!」
ぱああ、とおじいさんの顔が輝いた。
「!知ってるの?ゲイルに会ったの?!」
思わず毛布にのりあげ、グイグイとおじいさんに迫る。
「あ、ああ。あの人が来てくれたおかげでワシの家族は助かった」
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