もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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東の国

お城へ

さて。事情が分かったところで。
俺たちが行くべきところが明確になった。

あの光はきっと王城を指していたんだろう。ゲイルはきっと今もそこにいる。

俺たちの予想は当たっていたみたい。
とにかくゲイルは無事だ。
きっと今も必死になってみんなを救い続けているんだろう。
それこそ、ルーダにマークしてもらうことも、王国に連絡を入れることも忘れるくらいに。

「まったくもう!ゲイルってば……っ俺が、いないと……っダメじゃんっ……っ!」

文句を言ってやりたいのに、勝手に涙が出てきた。
良かった。
本当に良かった。
ゲイルのことだから大丈夫だって思ってたけど、それでも100%じゃないから。
もしここにゲイルがいなかったらどうしようって思ってた。
あの光の先に何もなかったら?

だって、こんなの初めてで。
ゲイルが俺との約束を破るのも、俺に連絡くれないのも、こんなに長く会えないのも、初めてで。
本当はどうしたらいいのか分からなかった。

もう二度と会えなかったら、なんて怖い考えが脳裏に浮かんでぞっとして寒くて怖くて。
考えないように俺は走り続けた。
大丈夫って自分に言い聞かせて、なんでもないふりして。

ようやく、ようやくゲイルの確実は情報が手に入った。
ゲイルが戻れなかった理由も、居る場所も分かった。

「………よかった………。よかったよおお!ゲイルうう!げいるうう!!」

思わず「わーん」って泣いちゃったらば。




「「どうした?!何があった?!」」

ドガーン!と扉が吹っ飛び、公爵とルーダが飛び込んで来た。
あっという間の俺は公爵の胸の中。
ぎゅうっと抱きしめられたと思ったらば、ガバっと持ち上げられてそのままくるくる。

「どこか怪我でも?痛むのか?どうしたのだ?」

驚きすぎて涙が一瞬で引っ込んだ。
どうしてみんなこう俺をくるくるするの?俺が泣くと全身チェックっていうのはデフォルトなの?
あ。キースが俺に手を伸ばしたまま固まってる。

「……えっと、怪我とかあったらヒールできる」
「!そ、そうだったな……」

ストン、と下ろされた。
そして改めてぎゅうっと抱っこされ、背中をトントン。
いや、正確にはト……ントン、……トン。
ぎこちない手つきで俺の背を叩き始める公爵。

……もしかして、慰められてる?
これ、小さな子供とかをなだめるやつ?

「……」
「………」
「……その……ダイジョウブカ?」
「……うんと……ダイジョウブデス」

ぎこちなく親子みたいなことをする俺たちに、キースが呆れたように呟いた。

「こっちも過保護かよ……」



とりあえず俺はなんともないことを理解してもらって、改めてお互いの情報交換。

俺たちと別れた公爵は、ルーダの背中に乗せて貰って俺の示した方向を探索。
そしてあっという間に要救助者を発見した。
そっちは家の外の元畑らしき場所で倒れていたんだって。
雪をかき分けた跡があったそうで、どうやら雪に埋もれた野菜でも残っていないかと探していたみたい。
意識は無いけれどまだ息はあったから、大急ぎで俺と合流することに。
俺ならヒールできるし。(ルーダは人間の生死にアンタッチャブルだから)
で、俺の向かった方向に走っていたら、俺の鳴き声が聞こえ……
ってことで、今ココ。

「てか、要救助者いるなら早く言って!!」

大急ぎでルーダの背中を見ると、気を失った東国民が二人乗せられていた。
落ちないようにと、まるで荷物みたいにして紐で括り付けてある。
一応なのか上に毛布みたいなのが掛けてあるところに何となくの配慮を感じる。
気遣いキースとは違い、人間とは感覚が違う聖獣と頭はいいけど何かが足りない公爵のコンビとしては、よくやった方ではないのだろうか。

なんとなく「褒めて」な気配を察し、「うわあ……二人とも偉かったねえ!ちゃんと毛布かけてあるじゃん!」と褒めておいた。小さな子供を褒める要領で。
ルーダはパタパタと尻尾を揺らし、公爵も心なしか嬉しそう。


そおっと部屋に降ろして貰って確認すると、やっぱり怪我というよりも衰弱。
寒さと飢え、疲労といったところ。
こちらはコテツさんよりも若く30代と50代って感じ。親子かな?
若さのパワーなのか、ガリガリっぷりはコテツさんよりまだマシ。

てゆーか、きっとコテツさん、自分が食べる分まで若い人たちに回しちゃってたんだろうなあ。
困ったおじいさんだなあ。全く。……そういうひと、好きだけど。
今もまだ回復したばかりなのにこっちの二人を心配している。

「……ああ。トラオと、コトラだ。城に行ったはずだったのに……なんということだ……!」

「あー、うん。とりあえずヒー……ヒールポーションを使いますので!!」

ほいきた、とキースがコテツさんの目と耳を塞いだ。

「ヒール!ついでに、クリーン!」

キラキラっ

苦しそうだった二人の表情がやわらぎ、呼吸が正常に戻った。
うん。大丈夫そうだね。



「お、おお!ポーションとはすごいものだなあ!」

公爵とルーダが首を傾げた。

「「?」」

「ポーション! ヒール《《》》を使って回復したの!!すごいよねえ、ポーション!!」
「俺たちは冒険者だからな!装備の一巻としてを常に持ち歩いてるんだ!今回はそれが役にたったんだよな!!」

「……そうか。うむ。ヒール……があって良かったのう」

ルーダが察した。

「……?ともかく、回復できたようで幸いだった」

公爵はまだよく理解していないようだ。後でよおく言い含めておこう。





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