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東の国
東国対策
さあ、そうと決まればこうしてはいられない。
「よし!じゃあ、さっさと帰るよ。レオンが心配しちゃうから!
ゲイル、まずは俺の予想を言うから、合ってるか教えて!
公爵はそこに正座!俺がいいって言うまで!
キースは気づいたことがあったら言って。いい?」
急にちゃきちゃきと仕切り出した俺に、みんな目を白黒。
慌ててゲイルは居住まいを正し、公爵はビシっと正座し直した。
キースはそっとゲイルの後ろでゲイルを支えた。
うむ。準備オッケーだね?
「まずは、東国の状況ね。俺の聞いたことと予想が混じってるから違うとこあったら言って。
東国には毎年寒波の時期がある。でもそれに備えて食料とか準備して助け合って乗り越えていた。
だけどここ数年その寒波が強くなったり長引いたりするようになって、徐々に国として疲弊。
寒波が異常に長引いてしまって食料が尽きたのが今回の大惨事の始まり。
東国はもともと他国に頼らず自分たちで解決するっていう自給自足自助っていうお国柄。
だから本当ならもっと早くに他国に助けてすべきなんだけど、それをしなかった。
これは東国の人に魔力がないから、他国の侵攻を軽快してっていう側面もあるから仕方がないのかもしれないけど。
ぶっちゃけ他国からしたら、氷の山を越えてまで侵略して自領とするメリットなんてないから、素直に助けてした方が良かったと俺は思うけど。外交も同じ。東国にしかない特産品をもっとアピールすべき。
ってこのことは一旦置いておくね。
まあ、そういう事情で今回も自分たちだけで頑張っちゃって、どうしようもなくなった時には既に他国に助けてすることもできないほど弱っていた。
そこに俺の思い付きのせいでゲイルが登場。
東国に付いたら手前でルーダを呼んでマークするはずだったんだけど、きっと氷の山を越えようとしてその途中で行き倒れてる人がいたんじゃない?
あちこちで人が倒れてたり弱ってたりするのを見たゲイルは、すぐさま救助に入った。
で、ルーダを呼ぶのを後回しにした。
ひたすらにヒールしたりし続けて、とりあえず回復させた後、今度はきっと寒さをなんとかしようとしたんだよね?
広範囲を温めるのは無理だから、回復させた人たちを連れて王城に避難することを提案した。
それで王様に謁見とかして許可を得て、王城を解放。
王城全体に結界を張って寒さが入らないようにしたうえで、あちこちで火を焚かせて王城を温めた。
その炭を作ったのもゲイルだよね?
緑魔法で木を生やして成長させ、木材を作って乾燥させ、火魔法の応用で炭を作ったんでしょ。
このあたりで気付いた時にはもうルーダを呼べなくなってたんだよね?
それなのに、飢えた人たちをなんとかするために、持ってきた食料を出すだけじゃ足りなくて、種から植物を育てて食料を作り出した。
で、魔力が尽きて倒れてた。
ここまでで違うところはある?」
俺が話を進めていくにしたがって、ゲイルの顔が「あちゃー」から「マジか!」になった。
「……いや、大筋はあってる。てか、サフィ見てたのか?」
「はあ?見てるわけないでしょ!ゲイルの性格とここで見たり聞いたりものから判断したの。いわゆる状況から判断したってやつです!」
ゲイル、ぐりっとキースを振り返りひとこと。
「なあ、俺の息子、天才じゃねえか?」
「いや、俺もそんな請ったろうなと思ってたぞ?ゲイルは分かりやすすぎるんだよ。んで……いいヤツすぎる」
苦笑したキース。じっとゲイルを見つめていたと思ったら、くしゃ、とその顔を歪ませた。
泣きそうなのを耐えてるような顔だ。
そのままそっと後ろからゲイルを抱きしめ、小さく囁いた。
「もっと自分を大事にしてくれ。父さん。こんなのはもう二度とごめんだ」
その声が少し震えている。キース平然としてるように見えても本当はかなり心配してたもんね。
キースだって俺と同じゲイル教徒だし。
「ああ。すまん、キース。来てくれてありがとう。お前がサフィといてくれるって分かってるから俺は無茶ができるんだ。お前は俺の自慢の息子だ。愛してるぞ」
「ああ。俺も愛してる。だが、無茶しすぎるのはやめてくれよ?でないと俺とサフィの身がもたん。間接的にレオンもな」
「善処する」
ポンポン、と後ろ手にゲイルがキースの頭を撫でる。
甘えん坊キースだ。でもその気持ちはとても良くわかるから茶化すことなく大人しく待った。
ふう、と一つ息を吐き、キースが顔を上げた。目の端が赤い上にちょっと恥ずかしそう。
「すまん。サフィ、続けてくれ」
では、大筋の確認ができたところで。
「てなわけで、ゲイル。ゲイルが帰ってこないってことはこんなことになってるんじゃって気がしたから、できる息子の俺たちは、しっかり対策をしてきました!
王国やバースから食べ物をかき集めて持ってきたから!
すぐに食べれるものもあるし、材料もあるよ。
毛布とかの防寒具もバッチリだし!
東国の人をなんとかしましょー!
ゲイル、王様に説明して。どうせもう仲良しになってるんでしょ。
人たらしゲイルだもん、王様だってゲイル信者にしちゃったんでしょ?」
「お前俺を何だと思ってんだ?」
いや、だから人たらし。
とりあえマジックバッグからパンを出してゲイルの口に突っ込む。
「んぐ!!」
すかさずミルク。ヒールしたけど栄養も大事。
食べている間にもっかいヒール。今度は消化を促進するように。身体に養分が行き渡るイメージで。
「ん゛ん!」
見ると今度はチーズを口に突っ込まれていた。キースだ。
一口大にちぎって次々と放り込んでいる。
なにか言おうと口を開きかけては放り込まれ、顔を赤くして必死で咀嚼するゲイル。
餌付けみたいでちょっと面白い。
「もう少しゆっくり口に入れてやってくれ」
公爵。甘やかさないの!
大至急で養分ぶっこまなきゃなんだから、しょうがないでしょう!
よし。準備できた。
結界と遮音を解いて、護衛ブルーと護衛レッドにもパンとミルクを渡す。
「は?え?ど、どこから……」
「とりあえずこれ食べて待ってて。王様とお話してくるから。大丈夫、みんなの分あるから、遠慮なく食べて!」
「よし!じゃあ、さっさと帰るよ。レオンが心配しちゃうから!
ゲイル、まずは俺の予想を言うから、合ってるか教えて!
公爵はそこに正座!俺がいいって言うまで!
キースは気づいたことがあったら言って。いい?」
急にちゃきちゃきと仕切り出した俺に、みんな目を白黒。
慌ててゲイルは居住まいを正し、公爵はビシっと正座し直した。
キースはそっとゲイルの後ろでゲイルを支えた。
うむ。準備オッケーだね?
「まずは、東国の状況ね。俺の聞いたことと予想が混じってるから違うとこあったら言って。
東国には毎年寒波の時期がある。でもそれに備えて食料とか準備して助け合って乗り越えていた。
だけどここ数年その寒波が強くなったり長引いたりするようになって、徐々に国として疲弊。
寒波が異常に長引いてしまって食料が尽きたのが今回の大惨事の始まり。
東国はもともと他国に頼らず自分たちで解決するっていう自給自足自助っていうお国柄。
だから本当ならもっと早くに他国に助けてすべきなんだけど、それをしなかった。
これは東国の人に魔力がないから、他国の侵攻を軽快してっていう側面もあるから仕方がないのかもしれないけど。
ぶっちゃけ他国からしたら、氷の山を越えてまで侵略して自領とするメリットなんてないから、素直に助けてした方が良かったと俺は思うけど。外交も同じ。東国にしかない特産品をもっとアピールすべき。
ってこのことは一旦置いておくね。
まあ、そういう事情で今回も自分たちだけで頑張っちゃって、どうしようもなくなった時には既に他国に助けてすることもできないほど弱っていた。
そこに俺の思い付きのせいでゲイルが登場。
東国に付いたら手前でルーダを呼んでマークするはずだったんだけど、きっと氷の山を越えようとしてその途中で行き倒れてる人がいたんじゃない?
あちこちで人が倒れてたり弱ってたりするのを見たゲイルは、すぐさま救助に入った。
で、ルーダを呼ぶのを後回しにした。
ひたすらにヒールしたりし続けて、とりあえず回復させた後、今度はきっと寒さをなんとかしようとしたんだよね?
広範囲を温めるのは無理だから、回復させた人たちを連れて王城に避難することを提案した。
それで王様に謁見とかして許可を得て、王城を解放。
王城全体に結界を張って寒さが入らないようにしたうえで、あちこちで火を焚かせて王城を温めた。
その炭を作ったのもゲイルだよね?
緑魔法で木を生やして成長させ、木材を作って乾燥させ、火魔法の応用で炭を作ったんでしょ。
このあたりで気付いた時にはもうルーダを呼べなくなってたんだよね?
それなのに、飢えた人たちをなんとかするために、持ってきた食料を出すだけじゃ足りなくて、種から植物を育てて食料を作り出した。
で、魔力が尽きて倒れてた。
ここまでで違うところはある?」
俺が話を進めていくにしたがって、ゲイルの顔が「あちゃー」から「マジか!」になった。
「……いや、大筋はあってる。てか、サフィ見てたのか?」
「はあ?見てるわけないでしょ!ゲイルの性格とここで見たり聞いたりものから判断したの。いわゆる状況から判断したってやつです!」
ゲイル、ぐりっとキースを振り返りひとこと。
「なあ、俺の息子、天才じゃねえか?」
「いや、俺もそんな請ったろうなと思ってたぞ?ゲイルは分かりやすすぎるんだよ。んで……いいヤツすぎる」
苦笑したキース。じっとゲイルを見つめていたと思ったら、くしゃ、とその顔を歪ませた。
泣きそうなのを耐えてるような顔だ。
そのままそっと後ろからゲイルを抱きしめ、小さく囁いた。
「もっと自分を大事にしてくれ。父さん。こんなのはもう二度とごめんだ」
その声が少し震えている。キース平然としてるように見えても本当はかなり心配してたもんね。
キースだって俺と同じゲイル教徒だし。
「ああ。すまん、キース。来てくれてありがとう。お前がサフィといてくれるって分かってるから俺は無茶ができるんだ。お前は俺の自慢の息子だ。愛してるぞ」
「ああ。俺も愛してる。だが、無茶しすぎるのはやめてくれよ?でないと俺とサフィの身がもたん。間接的にレオンもな」
「善処する」
ポンポン、と後ろ手にゲイルがキースの頭を撫でる。
甘えん坊キースだ。でもその気持ちはとても良くわかるから茶化すことなく大人しく待った。
ふう、と一つ息を吐き、キースが顔を上げた。目の端が赤い上にちょっと恥ずかしそう。
「すまん。サフィ、続けてくれ」
では、大筋の確認ができたところで。
「てなわけで、ゲイル。ゲイルが帰ってこないってことはこんなことになってるんじゃって気がしたから、できる息子の俺たちは、しっかり対策をしてきました!
王国やバースから食べ物をかき集めて持ってきたから!
すぐに食べれるものもあるし、材料もあるよ。
毛布とかの防寒具もバッチリだし!
東国の人をなんとかしましょー!
ゲイル、王様に説明して。どうせもう仲良しになってるんでしょ。
人たらしゲイルだもん、王様だってゲイル信者にしちゃったんでしょ?」
「お前俺を何だと思ってんだ?」
いや、だから人たらし。
とりあえマジックバッグからパンを出してゲイルの口に突っ込む。
「んぐ!!」
すかさずミルク。ヒールしたけど栄養も大事。
食べている間にもっかいヒール。今度は消化を促進するように。身体に養分が行き渡るイメージで。
「ん゛ん!」
見ると今度はチーズを口に突っ込まれていた。キースだ。
一口大にちぎって次々と放り込んでいる。
なにか言おうと口を開きかけては放り込まれ、顔を赤くして必死で咀嚼するゲイル。
餌付けみたいでちょっと面白い。
「もう少しゆっくり口に入れてやってくれ」
公爵。甘やかさないの!
大至急で養分ぶっこまなきゃなんだから、しょうがないでしょう!
よし。準備できた。
結界と遮音を解いて、護衛ブルーと護衛レッドにもパンとミルクを渡す。
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