もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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東の国

東国対策2

こうして俺は元気になったゲイルと一緒に、みんなでまた陛下のところへ。

見るからに顔色の良くなったゲイルを見た陛下は、ほっと肩を落とした。

「ゲイル……もう体調は良いのか?もう少し休んでいた方が良いのではないか?」

ミカゲ陛下、俺たちに対するのと全然態度が違うんですが?!

「大丈夫だ。心配かけたな。サフィが治してくれたからな!」

俺の、と言いながら自慢げに俺を抱っこするゲイル。
こら!陛下の前ですぞ!でも久しぶりだからいっか!
ぎゅうっとしてすりすりっとして「俺のゲイル」を陛下にアピールしつつ。
言うことは言います。

「あのね、魔力が枯渇するっていうのは、寝ていても直りません!過労とかとは違いますので!
下手したら死んじゃうの!あのまま寝かしてたら、ゲイル死んじゃってたんだからね!」

ビシイっと指を突き付けてやれば、ミカゲ陛下も東国の人たちもさああっと青ざめて、あからさまにオロオロしだした。
なんと言ったらいいのか分からない様子。
やっぱりこの人たちよく分かってなかった。安静が一番、見たいに勘違いしてたんだ。
そういうことじゃないのに。

「魔法を使わない国だと分からないかもだけど、魔力ってね、枯渇する前に休んだりすれば自動で回復していくんだけど、限界まで使い切っちゃうと、どうしようもなくなるの。なんていうか……衰弱しちゃうの。
そうなると自動回復じゃおいつかないから、下手したら死んじゃうのです。
覚えておいて。ゲイル、結構ギリギリだったから」

ミカゲ陛下が真っ青な顔をして震える手をゲイルに伸ばした。

「……ゲイルはもう大丈夫なのか?」

「うん。俺が魔力あげたから。俺ツエエですので!」

てか、お障り禁止!
ペシっと容赦なく陛下の手を払いのける。

へにょりと陛下の眉が垂れたけど、知らん!

「サフィ……俺はもう大丈夫だから。サフィが来てくれたからな。ありがとうな」

ゲイルってばお人よしすぎ!



「サフィ、陛下に話があるんじゃなかったのか?」

キース! そうだった。こっちも大事!

「あのですね、陛下。東国に付いたら雪に埋もれてて、食べ物とかないみたいだったので。なんと、偶然にも俺たちは色々なものを持ってきておりました!偶然にも!」

いや、違うな。
偶然持ってたってことにするつもりだったけど、そうじゃない。
今言うべきなのはこっちだ。

「嘘。本当は、バースで東国の噂を聞いたのです。食料が足りなくって暴動とかおこってるって。
それで、東国に行ったゲイルが帰ってこないから、きっと東国が大変なことになっていて、ゲイルはそれを助けてるんじゃないかって思ったのです。
だから、ゲイルの助けになるために、たくさんの食料とか必要だと思うものをかき集めてきました。
王国の騎士団とかから貰ってきたものもあるから、家紋とかついてるものもあるけど、それは気にしないで下さい。
とにかく、食料、防寒具、衣類、テント、治療用の薬や薬品。バースからもいろいろ貰ってきたので、それを陛下に差し上げます。
ドラゴンに協力してもらってお肉も沢山持ってきましたので!焼いてきたからすぐに食べられます!」

陛下たち、一瞬俺が何を言っているのか訳が分からなかったみたい。
ぽかんと間抜けな顔をして言った。

「……今、なんと?」

「あのですね、救援物資を沢山持ってきました。それを出すから、場所を用意してください!
急いで!みんなお腹空かしてるから!子供とか痩せちゃってるし!
はやくはやく!!さっさとしないと勝手にやっちゃいますが?」

「ま、待て待て待て!
食料?物資?どういうことだ?そのようなものをいったいどこから……」
「とりあえず王国から。それとバースから。
あのね、陛下。後でお話しますけど、天災とかどうしようもない事態になったら周辺諸国に助けを求めるべき。
大丈夫、寄付してもらったから。あと俺のプレゼント!俺、冒険者で沢山お金もありますので!
とにかく、急いでるの。お腹が空くっていうのはすごく辛いんだからね!
知ってますよね?陛下だってお腹空いてるの我慢してるんでしょ?
とりあえず、ゲイル、これ陛下のお口に突っ込んで!あ、突っ込む前にゲイルが一口食べて毒とかないって見せてからね!」

「よしきた!」

ゲイルが「ミカゲ、全然食ってねえだろ?やせ我慢すんな。ほら!」と陛下の口にパンを突っ込んだ。
すかさずキースがミルクを手渡している。
うん、飲み物ないと詰まっちゃうからね。
公爵!今は邪魔しないの!気持ちはわかるけど我慢して!

「じゃあもう勝手にするから、後で嫌だったら片付けてください。
ゲイルは陛下のお腹いっぱいになったら連れてきて!
お外で炊き出しするから!」

有無を言わさず宣言して、さっさとお外に向かってダッシュ!
走りながら叫ぶ。

「えっとお!ご飯を持ってきましたのでーーーっ!お腹空いてる人とお手伝いできる人はお外に来てくださああい!
じゃんじゃん並べていきますよおおおっ!」

「こんにちわああ!ゲイルの息子ですよおおっ!救援物資をもってきましたのでえええ!怪我をした人とかいたら、お外にきてくださいねええっ!!」

俺の後ろから公爵と護衛さんたち、少し遅れてキースとゲイルが着いてくる。
もっと遅れて陛下も。

うん。みんな集合!
一気にやっちゃうからね!


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