もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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新生活スタート!

俺のねこがねこじゃなかった件!

なんだかんだと、すんごく楽しんでしまった公爵家での生活初日。

ライリオとばいばいして、ご機嫌で部屋に戻るとゲイルがいた!

「お、おかえりサフィ!」
「!!ただいま!ただいま!ゲイル!ただいま!!」

お帰り、なんて言われたの初めてじゃない?
ひゃああああ!うれしいっ!
なんかすんごく家族って感じする!!

「えへへへー。ただいまゲイル。おかえりゲイル!」
「なんだなんだ?ただいま、おかえりサフィ」

ゲイルが両手を広げて「おいで」ってするので、遠慮なく抱っこ!
今日はルー君も一緒だよ。

「ここ、ルーくん!」

抱っこのままかごの中を見せると、ルー君もごあいさつ。

「ルーくんもただいまー」
「ただーみゃあー」

?!い、いま!「ただいま」って言った?!
ぎょっとしてルー君を見るとルー君はきょとん。
あれ?俺の気のせい?
飼い主がよくやる「うちのこおしゃべりしてくれるのよお!おほほほ!」ってやつ?

「……今こいつ、ただいまって言わなかったか?」
「だよねだよね!!ゲイルもそうおもう?」
「…………」
「…………」

はあーっ。
ゲイルが大きなため息をついて、困ったみたいに笑った。

「サフィ。ちょっとルーをここに出してくれ」
「う…うん」

俺はルー君をそおっとバッグから出した。
じいいいいい。
じいいいいいいいい。

「………昼よりでかくなってないか?」

うん。たしかに。昼を1とすると、今は1.3くらい?びみょーですけど。

「こねこですので!せーちょーき?」
「うん。分かった。
そうか……。もしかして、とは思ったんだが……そうかーーーーー!!」

ゲイル、頭を押さえてうなりだしちゃった!

「ど、ど、どうしたの?!なにがもしかしてなの?!」

ゲイルは顔をあげると、思い切ったように口を開いた。

「あのな。落ち着いて聞けよ、サフィ。こいつ…猫じゃねーぞ。どっちかってーと、猫より犬?狼の一種だ」

ん?何を言ってるのかな、ゲイル君。
どう見たってルー君は可愛いおれの子猫ちゃんでしょおが!
このふわっふわの毛!
このキュートな肉球!
かわいらしいふっさふさな尻尾といい、にゃあにゃあっていう鳴き声。
なにより、三角のお耳!
どうみたって猫ちゃんでしょおが!!

思わず胡乱な目をする俺。
可哀想に。疲れてるんだね、ゲイル。

「いやいやいや!仮に猫ったって、おかしいだろ?
身体も猫よりがっしりしてるだろ?
手足も太い。
耳もデカいし、おまけに、朝より毛のツヤもいい。首の周りの毛が朝よりフサフサしてきてるだろうが!
何より明らかに成長速度がおかしい。半日でこんなにデカくならん!」

「せーちょーきですので!」

ゲイルは苦笑した。
まだ納得いかないらしい。

「サフィ。ちょっとルーを抱いてみろ」
「?りょーかい!」

俺はルー君を抱っこ。
これで何かわかるのかにゃあ?

「………サフィ。魔力の流れを感じる練習したよな?今それできるか?」
「うん。できるよー!まかせて!」

うむむむむむむ。
身体の中にしゅーちゅー!
血液が流れるみたいに、俺の魔力が身体に流れてるのがわか……
あれ?
あれれれれれ?
ど、どおしてーー?!

「サフィの魔力がルーに流れてんの、分かるか?」
「わかる!えええ?どおして?ルーくん、ぼくのまりょくたべてる?」
「食ってるな」
「はあああ?!ねこってまりょくたべるの?」
「食わねえな」
「ルーくんはたべてる?」
「食ってるな」
「ねこは?」
「食わねえ……って!サフィこれいつまでやるんだ。そもそもこいつは猫じゃない」

だってだってだってええ!
猫を飼うのが前世からの夢だったのにいいい!
こんなに可愛いし、お耳三角なのに!!

「じゃあ、ルーくんはなんなの?!」

ゲイルは大きく息を吸うと、ゆっくりと言った。

「ルーはな…多分、フェンリルだ」
「は?」
「フェンリル」
「え?」
「聖獣のフェンリルだ」
「う、う、う、うそでしょおおおおお?!」

なんで聖獣が俺のルー君に?!いや、ルー君が聖獣だから、俺が…

「ああ!もうわけわかんないよおおおお!!」

パニックになってぐるぐるしてる俺をよそに、ルー君はご機嫌でまた

「わかんにゃあ?」

と鳴いた。

「ルー。お前…狼だろ。サフィに忖度して猫の真似なくていいんだぞ?」
「にゃあん?」

ゲイルがため息をついた。




ゲイルに話を聞いてみると、こういうことだった。
元々サフィール家自体が聖獣の加護を受けている家系だ。
その加護をというのが、なんと、フェンリルの加護だそう。
って、それは前に聞いたけど。それって伝説とかってやつじゃないの?

「いや、普通にご先祖様がフェンリル助けたからだぞ。
まあ、それもあって、もともとうちの家系とフェンリルは相性がいいんだと思う。
恐らく、ルーは何らかの事情で親とはぐれてしまったんだろう。
まだ小さいからな。親の聖獣から魔力を貰わないと生きていけない。
それで魔力が足りずに弱ってたとこで、エリアスの魔力を拾ったんだろう。
なんとか出てきて、運よくエリアスに見つけて貰って、ここに来た。
そして魔力が多いサフィの魔力を貰って元気になった。
そんなとこじゃねーかと」

普通に言ってるけど、その内容、全く普通じゃないからね?

「………ちょっとあたまがついていかない」

この可愛い可愛い俺のルー君が聖獣だなんて!
でも、言われてみれば、確かにこの可愛さは普通じゃないもんね。
そうか!可愛すぎるのはフェンリルだったからなのか!

「うむ。りかいした」
「早いな!」
「よくかんがえたら、こんなにかわいいんだから、ただのねこなわけがない。せいじゅう、なっとくのかわいさ」
「そ、そうか?!てか、狼だって言ってんだろ!」
「ねこです。おみみさんかくだし!おおかみはひとをたべる。ルーくんはたべない」
「まあ、食わねえ、かな?」
「にゃいよー」
「ほら!ねこです!」



普通の人間の魔力じゃダメで、フェンリルの加護があるサフィール家の魔力だったから、ルー君も食べることができたみたい。
でもって、エリアスじゃ量が全然足りないんだけど、何しろ俺は規格外!
俺と一緒に過ごして俺の魔力を沢山食べたから、ルー君は一気に成長して、元気になったらしい。

「おおお!よかった!るーくん、うんがいい!」
「いや、そうじゃねえだろ!聖獣だぞ?もっと驚けよ!」

ゲイルがもうツッコミしかしなくなってしまった。

「おどろいてる。でも、ねこでもフェンリルでもルーくんのかわいさはかわらない」
「かわらにゃー!」

ルー君がゴロゴロいいながら、時々俺のまねっこ。

「ゲイル!おしゃべりするルーくん、かわいすぎない?」
「俺はサフィのほう可愛いけどな」
「えへへへー」

ルー君をなでなでしながら、ゲイルの手を俺の頭にのせてなでなでしてもらう。

「ルーくんが、フェンリルなのはりょーかいなのですが!フェンリルって、ここにいていい?おやまにおかえしせねば、でしょうかね?」

せっかく仲良しになったのに…。嫌だなあ…。
俺のおとーとなのに…。

「ルーくん。おうちにかえりたい?おうちってどこ?おかあさん、いる?」

聞いてみたけど、ルー君は「にゃあん」と頭をかしげるだけ。
俺が言ってることを理解してる?どうなのかなあ?

「……そうだなあ…。そもそも、どこに返せばいいのか分からん!
とりあえず、必要があれば親が迎えにくる…と思うが……」

うーん。どうしよう。

「エリアスって、いろいろしでかすよねえ」
「どちらかといえば、サフィに付随しているトラブルのような気がするがな」
「えええ?ぬれぎぬ!ひどい!」
「ははははは!まあ、ルーも喜んでんだから、サフィが飼えばいいだろ」


俺は念のためルー君に確認。

「ぼくのおとーとでいい?いっしょにいる?」
「いー!」

今度の「いー」は、明らかに「いいよ!」ってお返事だった。
よきよき!俺の弟でけってーい!
俺のお父様、ゲイル。俺の弟、フェンリル!

「ただ、子どもでもフェンリルの子どもだ。公爵家からは出すなよ?あと、一応王家に連絡しておかねーとなあ…。
次に王家に行くときに連れていくか…」

陛下の呆れた顔が目に浮かぶ、とゲイルが苦笑した。
今回は絶対に俺のせいではない!どちらかといえば、エリアスでしょおが!
でも、ルー君は可愛いので。おーるおっけーです!

「サフィといると、毎日が驚きの連続だな!」

楽しそうでいいじゃん!

「ぼくはゲイルといると、まいにちしあわせのれんぞくだよ!」

だからこれからも頑張ってね、ゲイル。
チュ!
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