106 / 538
俺、自由だー!
俺、遂に冒険者と遭遇
カフェでパンケーキとモフモフなお友達と楽しい時間を過ごした俺たちは、もっと奥、というか城下入り口に向かった。
ゲイルが
「サフィ、ここからは少し乱暴な奴らもいるからな」
と俺と手をつなぎ、お兄様に「俺から離れるなよ」と言った。
それまでののんびりゆったりモードとは少し違うみたい。
そんなに危険なのだろうか。
「まあ、俺ひとりなら問題はないんだが、今回はお前らがいるからなあ」
おおう。俺たちのせいでしたか。すまぬ。
でも俺は最強ですからお気遣いなくー!
とてとて歩くと、確かになんか雰囲気が変わった。
なんていうか…荒々しい?
それまでが「下町」って感じだとすると、こっちは「めっちゃ下町」。
お花やさんとか雑貨屋さんとかの可愛いお店の代わりに、魔道具だとか、武器だとか、防具だとか。
カフェの代わりに酒場兼食堂、って感じかな。
匂いもどこか汗くさいような酒臭いような…。まあ、そんな匂い。
お髭ボーボーの人とかいたりして、ちょっと面白い。
胸当とか簡易アーマーみたいなのを付けた人が、剣を腰につけて普通に道を歩いてるのが、まさに冒険者!
俺は将来ここに通うんだな、なんてドキドキとワクワクが入り混じった気持ち。
興奮して思わず握ったゲイルの手をギュウッ。
ゲイルが「怖いのか?」と俺をのぞき込んで、俺のキラッキラした目を見て爆笑。
「いやあ!我ながら馬鹿なことを聞いちまった!サフィが怖がるわけなかったな!俺の息子だもんな!」
「ゲイル!ここ、すっごいね!」
「ああ。まあ、ちょいと乱暴だが、気の良い奴らだ。俺といれば大丈夫だからな!」
「ゴルドバの森でゴブリンが大繁殖してるらしいぞ」「新型の防具が出たってよ!」なんて冒険者っぽい言葉に交じって、「このクソアマ!」だの「オマエ、あの姉ちゃんとやったのか?どうだった?」「俺はそっちの胸がデカイほう!」なんて下世話な会話も聞こえてくる。
「サフィ。ちょっとごめんね」
お兄様がものっすんごおく渋ううい顔で俺の耳を両手で塞いだ。
「……気の良い奴ら…ですか………」
「……なんだけどなあ?」
「おにいさま、オレ、しょうらいここに通うの!」
ふんすふんすと宣言する俺に、お兄様は見たこともないほど真剣な顔で、こう言ったのだった。
「……サフィ、あのね。大切なことだからよおおく聞いてね?
あのね、冒険者になっても、悪い言葉はマネしたらダメだよ?不適切な発言もね。
私は、冒険者にも最低限の品性というものが必要だと思う」
うん。それは俺もそう思う。
気を取り直して、まずは武器屋さんに行くことにする。
ここで俺は小さなナイフを買うつもり。これはオルガ先生と、バイツー先生とミカミカにあげるんだ!
ナイフって、お守りの意味もあるって聞いたから。
そんなに高くなかったら、ゲイルとお兄様とエリアスと俺の分も買おう。
さっきのカフェは「これくらいはお父様に払わせてくれ」ってゲイルが奢ってくれたから、俺の予算はあと1202ギル。お菓子も買って帰りたし、王様たちへのお土産もあるから、ここでは1000ギル(10万円)くらいに抑えたい。
それで足りるかなあ?
ゲイルに聞いてみたら
「お!凄いじゃないか。ちゃんと計算しながら買ってるんだな、偉いぞ!
うーん。実戦用じゃなくて、護身用の小さなやつなら、足りるんじゃないか?
俺の知り合いの店に連れて行ってやる」
だって。
実はゲイルは医者として下町にも通ってる。
ここの冒険者ギルドともつながりがあるのである。
なぜかというと。
昔、冒険者ギルドからゲイルの病院までギルド長が運び込まれたことがあるんだって。
近くの町にファイヤードラゴンが現れたんだけど、運悪くここら辺のS級冒険者たちは他所の町の依頼に行っていて不在だった。
そこで元S級だったギルド長が駆り出された。
本来なら複数の上級冒険者で倒す高ランクの魔物なのに、とにかく人数が足らなくて、おまけに街の人を守りながらの闘い。何とか倒しはしたがギルド長は大けがを負ってしまったらしい。ポーションとかだと治療できなかったみたい。
それでちまたで有名なゲイルの名がでた。
「ゲイルは貴族だし冒険者などは診てくれないかも」と思いつつ、職員たちはダメ元でギルド長をゲイルの元に運び込んだ。
まだ医者としては駆け出しだったゲイルは、見たこともないような大怪我を負った冒険者にびっくりしたそうだが、必死で治療にあたった。というか。「秘密だぞ」と口止めしたうえでギルド長に「ハイヒール!」した。
おかげでギルド長は命を取り留め、ゲイルは冒険者組合とつながりを持った。
それ以来、ギルド長とすっかり仲良くなり、医師としての修行もかねて定期的にギルドにボランティアで治療に行っているんだそうな。
行った時には職業とか年齢とか関係なく治療しているので、冒険者はもちろん、武器屋さん、修理屋さん、鍛冶屋さん…とにかく色々な知り合いがあちこちにいる
ゲイルはここでは恩人なのだ。
そんなわけで、冒険者たちはゲイルに頭が上がらない。貴族とおんなじだね。
ここでも最強だったゲイル。さすが俺のお父様である!
実際、このエリアに入ってからあちこちから「よう!ゲイル!」だの「帰りに寄ってけよー!奢るから!」だの声がかかる。
でもって、兄様と俺を連れているのに気付くと「おい、お前の子か?」「お兄ちゃん、これもってけ」となんてリンゴやらパンやらを持たせてくれるのである。
ちょっと乱暴だしあけすけではあるが、ゲイルのいうように確かに気の良い人たちなのだろう。
でも、やっぱり脳筋タイプが多いみたい。口より先に手が出てくる。
「おお!ゲイル、可愛いの連れてるなあ!チビちゃん、おいちゃんが抱っこしてやろうな!」
とムッキムキおっちゃんが断りもなく俺を抱き上げる。
ゲイルも俺を冒険者に慣らす意味でか「乱暴に扱うなよ」などて言いながらそれを許容。
俺は前世とかおっちゃんたちでウザがらみされるのは慣れているので、別に気にならない。
どちらかというと、嬉しい!
だって、抱っこしながら必ずツノガエルのツノだとか、虹色トカゲのうろこだとかの面白いものを見せたりくれたりするんだもん!はっきりいって嬉しい!ご機嫌なのである。
かくして俺はあっちこっちで抱っこされ、すりすりされた。
お髭が痛いすりすりは勘弁してー!
お、おっちゃん、胸がふっかふか!いい筋肉してますねえ!
ご機嫌で冒険者たちにたらいまわしされる俺に、お兄様の顔が般若になった。
一方。女性の冒険者はといえば。
「きゃあ!このこ、ゲイルの子?かっわいい!」
と俺を抱っこ&ハグ&チュッチュするし
「息子さん?きゃー!ハンサムねえ!」
とお兄様に勝手にキスをしようとする。
お陰で、抱っこ大好きな俺はともかく、お兄様は厳重警戒モード。
手を繋ぐだけでは足りないとばかりに、俺をしっかりと抱き上げて放さなくなった。しかもいつでも魔法を発動できるよう周囲を警戒しピリピリしている。
あまりにお兄様のお怒りが凄いので、結局ゲイルが俺たちの前で
「はい!こいつらは俺の息子と息子みたいなもん!お前ら、お触り禁止なー!
半径2メートル以内立ち入り禁止!はなれてはなれてー!」
と人員整理しながら進むというおかしなことになってしまった。
「はーいはーい、どいてくださーい!
みなさま、はじめましてですー!ゲイルとむすこのサフィ、とおにいさまでーす。通りますよー!
さわるとおにいさまがオコになりますのでー!ごえんりょくださいませー!
でもなかよくしてくださいませー!」
俺はゲイルの真似をして周知しながら、あちこちにバイバイと手を振ってぺこりぺこりとご挨拶。
冒険者たちも困惑しながら小さく手を振り返してくれた。優しい。
それにしても、前途多難である。
俺はここに1人で来させてもらえるのだろうか。冒険者になっても毎回お兄様がついてきそうで怖い。
ゲイルが
「サフィ、ここからは少し乱暴な奴らもいるからな」
と俺と手をつなぎ、お兄様に「俺から離れるなよ」と言った。
それまでののんびりゆったりモードとは少し違うみたい。
そんなに危険なのだろうか。
「まあ、俺ひとりなら問題はないんだが、今回はお前らがいるからなあ」
おおう。俺たちのせいでしたか。すまぬ。
でも俺は最強ですからお気遣いなくー!
とてとて歩くと、確かになんか雰囲気が変わった。
なんていうか…荒々しい?
それまでが「下町」って感じだとすると、こっちは「めっちゃ下町」。
お花やさんとか雑貨屋さんとかの可愛いお店の代わりに、魔道具だとか、武器だとか、防具だとか。
カフェの代わりに酒場兼食堂、って感じかな。
匂いもどこか汗くさいような酒臭いような…。まあ、そんな匂い。
お髭ボーボーの人とかいたりして、ちょっと面白い。
胸当とか簡易アーマーみたいなのを付けた人が、剣を腰につけて普通に道を歩いてるのが、まさに冒険者!
俺は将来ここに通うんだな、なんてドキドキとワクワクが入り混じった気持ち。
興奮して思わず握ったゲイルの手をギュウッ。
ゲイルが「怖いのか?」と俺をのぞき込んで、俺のキラッキラした目を見て爆笑。
「いやあ!我ながら馬鹿なことを聞いちまった!サフィが怖がるわけなかったな!俺の息子だもんな!」
「ゲイル!ここ、すっごいね!」
「ああ。まあ、ちょいと乱暴だが、気の良い奴らだ。俺といれば大丈夫だからな!」
「ゴルドバの森でゴブリンが大繁殖してるらしいぞ」「新型の防具が出たってよ!」なんて冒険者っぽい言葉に交じって、「このクソアマ!」だの「オマエ、あの姉ちゃんとやったのか?どうだった?」「俺はそっちの胸がデカイほう!」なんて下世話な会話も聞こえてくる。
「サフィ。ちょっとごめんね」
お兄様がものっすんごおく渋ううい顔で俺の耳を両手で塞いだ。
「……気の良い奴ら…ですか………」
「……なんだけどなあ?」
「おにいさま、オレ、しょうらいここに通うの!」
ふんすふんすと宣言する俺に、お兄様は見たこともないほど真剣な顔で、こう言ったのだった。
「……サフィ、あのね。大切なことだからよおおく聞いてね?
あのね、冒険者になっても、悪い言葉はマネしたらダメだよ?不適切な発言もね。
私は、冒険者にも最低限の品性というものが必要だと思う」
うん。それは俺もそう思う。
気を取り直して、まずは武器屋さんに行くことにする。
ここで俺は小さなナイフを買うつもり。これはオルガ先生と、バイツー先生とミカミカにあげるんだ!
ナイフって、お守りの意味もあるって聞いたから。
そんなに高くなかったら、ゲイルとお兄様とエリアスと俺の分も買おう。
さっきのカフェは「これくらいはお父様に払わせてくれ」ってゲイルが奢ってくれたから、俺の予算はあと1202ギル。お菓子も買って帰りたし、王様たちへのお土産もあるから、ここでは1000ギル(10万円)くらいに抑えたい。
それで足りるかなあ?
ゲイルに聞いてみたら
「お!凄いじゃないか。ちゃんと計算しながら買ってるんだな、偉いぞ!
うーん。実戦用じゃなくて、護身用の小さなやつなら、足りるんじゃないか?
俺の知り合いの店に連れて行ってやる」
だって。
実はゲイルは医者として下町にも通ってる。
ここの冒険者ギルドともつながりがあるのである。
なぜかというと。
昔、冒険者ギルドからゲイルの病院までギルド長が運び込まれたことがあるんだって。
近くの町にファイヤードラゴンが現れたんだけど、運悪くここら辺のS級冒険者たちは他所の町の依頼に行っていて不在だった。
そこで元S級だったギルド長が駆り出された。
本来なら複数の上級冒険者で倒す高ランクの魔物なのに、とにかく人数が足らなくて、おまけに街の人を守りながらの闘い。何とか倒しはしたがギルド長は大けがを負ってしまったらしい。ポーションとかだと治療できなかったみたい。
それでちまたで有名なゲイルの名がでた。
「ゲイルは貴族だし冒険者などは診てくれないかも」と思いつつ、職員たちはダメ元でギルド長をゲイルの元に運び込んだ。
まだ医者としては駆け出しだったゲイルは、見たこともないような大怪我を負った冒険者にびっくりしたそうだが、必死で治療にあたった。というか。「秘密だぞ」と口止めしたうえでギルド長に「ハイヒール!」した。
おかげでギルド長は命を取り留め、ゲイルは冒険者組合とつながりを持った。
それ以来、ギルド長とすっかり仲良くなり、医師としての修行もかねて定期的にギルドにボランティアで治療に行っているんだそうな。
行った時には職業とか年齢とか関係なく治療しているので、冒険者はもちろん、武器屋さん、修理屋さん、鍛冶屋さん…とにかく色々な知り合いがあちこちにいる
ゲイルはここでは恩人なのだ。
そんなわけで、冒険者たちはゲイルに頭が上がらない。貴族とおんなじだね。
ここでも最強だったゲイル。さすが俺のお父様である!
実際、このエリアに入ってからあちこちから「よう!ゲイル!」だの「帰りに寄ってけよー!奢るから!」だの声がかかる。
でもって、兄様と俺を連れているのに気付くと「おい、お前の子か?」「お兄ちゃん、これもってけ」となんてリンゴやらパンやらを持たせてくれるのである。
ちょっと乱暴だしあけすけではあるが、ゲイルのいうように確かに気の良い人たちなのだろう。
でも、やっぱり脳筋タイプが多いみたい。口より先に手が出てくる。
「おお!ゲイル、可愛いの連れてるなあ!チビちゃん、おいちゃんが抱っこしてやろうな!」
とムッキムキおっちゃんが断りもなく俺を抱き上げる。
ゲイルも俺を冒険者に慣らす意味でか「乱暴に扱うなよ」などて言いながらそれを許容。
俺は前世とかおっちゃんたちでウザがらみされるのは慣れているので、別に気にならない。
どちらかというと、嬉しい!
だって、抱っこしながら必ずツノガエルのツノだとか、虹色トカゲのうろこだとかの面白いものを見せたりくれたりするんだもん!はっきりいって嬉しい!ご機嫌なのである。
かくして俺はあっちこっちで抱っこされ、すりすりされた。
お髭が痛いすりすりは勘弁してー!
お、おっちゃん、胸がふっかふか!いい筋肉してますねえ!
ご機嫌で冒険者たちにたらいまわしされる俺に、お兄様の顔が般若になった。
一方。女性の冒険者はといえば。
「きゃあ!このこ、ゲイルの子?かっわいい!」
と俺を抱っこ&ハグ&チュッチュするし
「息子さん?きゃー!ハンサムねえ!」
とお兄様に勝手にキスをしようとする。
お陰で、抱っこ大好きな俺はともかく、お兄様は厳重警戒モード。
手を繋ぐだけでは足りないとばかりに、俺をしっかりと抱き上げて放さなくなった。しかもいつでも魔法を発動できるよう周囲を警戒しピリピリしている。
あまりにお兄様のお怒りが凄いので、結局ゲイルが俺たちの前で
「はい!こいつらは俺の息子と息子みたいなもん!お前ら、お触り禁止なー!
半径2メートル以内立ち入り禁止!はなれてはなれてー!」
と人員整理しながら進むというおかしなことになってしまった。
「はーいはーい、どいてくださーい!
みなさま、はじめましてですー!ゲイルとむすこのサフィ、とおにいさまでーす。通りますよー!
さわるとおにいさまがオコになりますのでー!ごえんりょくださいませー!
でもなかよくしてくださいませー!」
俺はゲイルの真似をして周知しながら、あちこちにバイバイと手を振ってぺこりぺこりとご挨拶。
冒険者たちも困惑しながら小さく手を振り返してくれた。優しい。
それにしても、前途多難である。
俺はここに1人で来させてもらえるのだろうか。冒険者になっても毎回お兄様がついてきそうで怖い。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。