もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺、自由だー!

俺、冒険者ギルドへ!

あのあと、俺はあれよあれよという間に冒険者ギルドへ。
ていうか、正確に言えば冒険者ギルド内の食堂へ連れてこられた。

そして今。
何故か俺は、右にゲイル、左にお兄様、背後にキースという布陣でもって、冒険者たちからプレゼンを受けております!
な、なんでええええ?!


お兄様のブワァで大人しくなった冒険者たちは「安くて美味しいお菓子や」を沢山教えてくれた。
それはいい。いいのだが…。
なにしろ、血の気が多い元気が有り余っている冒険者さん。

「俺の店の方が美味い!」
「いや、こっちのほうが安い!」
「チビっこならここだろ?!」

と喧々囂々。言い争い始めてしまったのだ!
もう!
喧嘩はやめてー!ふたりをとめてー!私のためにあらそわないでーー!!
てゆーか。ほんと、やめてください。おねがい。

結局、キースの仕切でみんなでぞろぞろ冒険者ギルドへ。
俺は椅子に座らされ冒険者たちからプレゼンを…という訳なのだった。




どうしてこんなことに…。
憧れの冒険者ギルド。こんな風に来たくなかったのにいいいい!!!!

連れてこられた冒険者ギルドは、雰囲気がザ・西部劇。
経年により飴色に磨かれた木製のカウンターや棚、なんとなく漂うアルコールと汗とほこりの匂いだとか。
ちょっと荒くれっぽい人や会話。あちこちで起こる小競り合い、喧噪。
雑多で活気がある感じがそんなイメージ。

どやどやっと冒険者に囲まれて俺みたいな子供が入ってきたから、受付のお姉さんがビックリ。
「何事なの?!」って慌ててカウンターから出てきてくれた。
でもってキースが事情を説明したら「そういうことなら」って、この席に案内されたのでございます。
ちなみに、お姉さんはとっても…とおってもスタイルがナイスバディのお姉さまでした。
やっぱりゲイルの知り合いみたいで、ゲイルが「すまんな」と片手をあげたら、苦笑して「ギルド長呼んでくるわ」だって。
なんだかどんどん大事になってない?

キースに聞いただけなのに、どやどや冒険者だけじゃなくって、ギルドにいた冒険者たちまで

「お、面白そうじゃねえか!俺もやるわ!うまい菓子食わせてやるからな!ちびっこ、おいちゃんに任しとけ!」
「ここは若者の俺の方が適任だろ?にいちゃんが流行りの店のを買ってきてやるからなー!待ってな!」

つぎつぎにノリノリで外に飛び出していく。
みんなノリが良すぎない?ええ?
依頼とかやらなくていいの?暇なの?
賞品もなにもないからね?
ただ「美味しいお菓子を買いたい」ってだけなのにいいい!

お兄様とゲイルが呆れたように俺を見てはため息をついている。
いや、これ、俺のせいでしょうか?ちょっとおすすめのお店、聞いただけじゃん!

「……トラブルメーカーってサフィのためにあるような言葉だよね…ははは…」
「…サフィといるといつも退屈しないよな…ははははは…」

…なんか俺のせいみたいな気がしてきた。すまん。





そして何故か腕組みしたギルド長まで楽しそうに参加している。

ギルド長、はじめまして。サフィです。6歳です。冒険者になるときにはヨロシク……。
って!こんな風に会いたくなかった!!!

ギルド長は、身長2メートルくらい。黒の短髪で、熊みたい。
といっても、決してアップルパイくれるほうも熊さんではない。あっちが「は~ちみつたべたいな~」な暢気な熊さんだとしたら、こっちは猛獣グリズリーだ。完全にジャンルが違う。
絶対に森の中で出会ってはいけない方の熊さんである。

グリズリ…いや、ギルド長は俺たちを大歓迎してくれた。
俺の前には素早くミルクとクッキー、サンドイッチが並び、ゲイルとお兄様の前には酒やら紅茶やらパンやら肉やらが並んでいる。
まあ、なんて素晴らしいお・も・て・な・し。
俺たちはそれを飲み食いながら、あちこちに散らばっていった冒険者たちが戻るのを待っているなうなのです。



ギルド長はにこにこして大きな手で俺の頭をワシワシと撫でて(たぶん)くれた。
力が強いから、俺の頭、もげそう。

「サフィは冒険者になりたいのか?」
「うん!冒険者になって、みんなを助けるの!お金をたくさんかせいで、ゲイルを楽にするの!」
「そうかそうか。
おい!ゲイル!いつの間にこんな可愛い息子ができたんだ!羨ましいぜ!」
「そうだろ?可愛いし、賢い!おまけに強いんだぜ?」

ゲイル渾身のドヤア出ましたあ!

「それだけじゃなく、優しくてみんなに元気をくれるんですよ」

お兄様までドヤア!

「可愛いとか元気とかはわかるが…強い?」

俺をジロジロと見て首をかしげるギルド長。
実際に強いですよ?ふふん!見てくれて構いませんよ。

するとギルド長がひょい、と俺の手をつまんでもみもみ。

「……筋肉…どこにあるんだ?」

と仰りやがりました!
失礼な!あるでしょおが!ここ!!ここんとこ!!よく見てよ!!!

「何するんですか!」

すかさずお兄様が俺の手を取り返し、ぷんぷんと抗議。

「いや、ゲイルが強いっていうからな?なんかすごい筋肉でもついてるのかと思ってだなあ…」

頭掻きかき言い訳するギルド長に俺は言った。

「オレ、つええですので!」
「うんうん。強いんだよなあ。うん。そうなれるといいなあ」

絶対信じてないでしょ!
俺はもういちど言った。

「オレ!つええ!ですので!!!」
「わかったわかった。うんうん。強い強い」

なでなで。にこにこ。
その表情って「幼い子供に話を合わせてあげる大人」って顔だよねえ?!
冒険者たちまで俺たちを微笑ましく見てやがる!!
キイイイイイ!!!

俺はにこっと微笑んで、ごくごくごくっとミルクを飲みほした。
そして、トン、空になったコップを机に置く。

「これ。みてて」


「サンダーボルト、ちょうミニミニ!!」

空中にあっという間に黒い塊ができそこから小さな雷がコップに落ちた。

ドカン!パッカーン!

「大きなやつのほうがとくいですので!せんめつ!」

俺、強え!!ドヤアアアアア!!

しーーーん…。


「「サフィ…………!!!」」


「そ、そうか……お前さんも貴族だから魔法が使えるのか…。
にしても……いや……うん。まさか雷とは……うん…強いな……」

静けさの中でギルド長の唖然とした声だけが響き渡ったのだった。


もしかして俺………やらかした…?





ゲイルによって「俺は水魔法と風魔法、その応用で雷魔法が使える」のだと説明された。
あと「ゲイルの血を引いているので、治癒魔法も使えるかもしれない」ってことに。
まあ、使えるんだけどね!子供の俺が利用されないためにそう言ってくれたんだと思う。


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