もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

俺、おみやげ配り人になる9(ルー親子)

ミカミカが思い出したように言った。

「サフィ、お前この頃ルーたちに会ってるか?
なかなか呼ばれないってんで、拗ねてたぞ?」

あああ!忘れてた!
いろいろありましたものでな…。
2フェンともおやつ目当てにお兄様のとこに入り浸ってるもんだから、すっかり忘れておりましたよ!
でも、ちゃあんとお土産は買ってきておりますので!

「えっと…ルーダさああん?
ルーくううん?
サフィですよおおお?いまするかあああ?」

ボワアアン!

ルー親子が登場!

「ルーダ!ルー君!」

ぷいっ。

「……ルーダさん?ルーくうううん?」

ぷいっぷいっ。

俺が目を合わせようとするとプイっと顔をそむけるルー親子。
すっかり拗ねてしまっていた。
申し訳ないと思ってるんだけど…ぶちゃけ、かんわゆうううい!!
もふもふが揃ってぷいってするんだよ?
そこには可愛いしかないでしょおおおお!!

可愛さに打ち震えていると、2フェンがプイっとしながも時々チラっとしてる。
ううう!!なにそれ!
か!わ!ゆううううい!!!

しかしいつまでも可愛いに浸っている訳にもいかないので、俺は慌てて2フェンをモフモフ。
首の下の良い感じのところをせっせとモフってなでなでする。
正直いって、これもご機嫌取りというよりご褒美でしかない!

「ごめんね?あのね、ちょっと忙しくてね?
えっと………ほんとにごめん。
るーくんも大好きだし、ルーダも大好きだよ!
忘れてたわけじゃないの!
お兄さまのところで楽しくしてるかな、っておもってただけなの。
ごめんね?
そのかわり…おみやげをもってきたんだけどなあ?」

おみやげ、という言葉にルー親子が食いつく。
フンっと鼻息も荒く振り向いた。

「土産じゃと?」
「ええ?何かくれるの?なに、なに?」

よし!
俺はすかさずバッグを取り出した。

「じゃ、じゃーん!これでえええっす!!」

取り出したるは葉っぱの色の鞄でございまああす!
小さい方はルー君用、大きい方はルーダ用なのです。
ルーダのはふつうよりもひもを長くしてもらった特注なんだよ!

きょとん、と首をかしげるルーたちの首にそれぞれかけてやる。

「ルーくんとルーダのかばんでえっす!」

「お、おお!これは…人間が使っているものか?我に?」
「かばん!かばん!ぼくの!」

くるりくるりと回転しながら鞄を確認するルー親子。
ちょっとスキップしてるところをみると、どうやら気に入っていただけたようである。

「えっへん!そうなのです!かばんなの!
あのね、ルーくんもルーダもこっちで色々なおやつとかもらうでしょ?
そういうのをそこに入れてもらえば、もちはこびができるのでございまーす!」
「おおおおお!それは確かに!」
「わああ!すごおおおい!!」

ルーくんはぴょんこぴょんこ喜びのジャンプ!
ルーダも珍しく興奮している。

「どう?気に入った?」

念のため確認すると。

「うむ!とても良い感じだ!」
「うん!すっごおく気に入ったよ!ありがとー!」

良き良き。
腕を組んでうむうむ、と頷いてたらば。

「じゃあ、菓子を貰いに行ってくるぞ!」
「行ってくるねー!」

早速お菓子を貰いに出て行ってしまった。
それを唖然と見守る俺。
俺、飼い主(?)なのに!この扱い!!

どうやらルー親子は王城で好き放題に放牧されているらしい。
外見の可愛さから、みんなせっせとお菓子を貢いでいるようだ。
お兄様…ミカミカ…ごめんね。苦労させてるね。

ミカミカが俺の心を読んだかのように苦笑した。

「いや、問題ねーよ。みんな大喜びで世話焼いてる」

ああ、そっか。
俺は遠い目をして言った。

「もふもふだもんね…」
「ああ。もふもふだからな……」

やっぱりもふもふは正義でした。


すっかり飼いならされていたルー親子。
聖獣の威厳とはいかに!





なんだかちょっと疲れた俺ですが。
すんごいランチが待っているかと思うと、楽しみ!

よおっし!ごっは~ん♪ごっは~ん♪

るんたるんたと食堂に向かえば。

おおおおおお!!!
そこには、すんごいご馳走が!!

「な、な、な、なにこれええええ!!!」

お兄様もさすがに呆然。

「いや…いつも素晴らしいけれど…これは…、うん、すごいね…」

お皿には多分俺が大好きなサンドイッチたちが。
でも、全部お花になってる!!
料理人さんたちが腕を振るい過ぎて、大きな花畑が机の上に広がってるううう!!!
え?なに?
野菜は飾り切りされ、綺麗なバラに。
サンドイッチはまるでチューリップ。
あそこのやさしい葉ボタンみたいになってるのは…
え?ウソでしょ?お肉?どうやったの?!

バッと熊さんを見ると、過去最高の笑顔でグッジョブされた。
うん。凄いよ、凄い。
凄すぎて食べれないよおおお!!

そこに登場した王様と王妃様。

「サフィ…」

と言いかけたまま、テーブルに目が釘付け。

「こ、これは…………凄いな!」
「とても…とても美しいわ!」

そうでしょうそうでしょう、と満足そうに頷く熊さん。
力を入れる方向、そっち?
バラに対抗意識を燃やし、机を花畑に変えてきおった!
もちろんお味も抜群なんでしょうね!うん。知ってる!

みんなテーブルに揃ったのだが、誰も手を出さない。
すごすぎて、どこから取っていいのかわかんないんだもん!!

俺は最高権力者である王様に最初の花を摘んでもらおうと(お花摘みにあらず)、じいいっと王様に念を送った。
どれでもいいから、取って食べて!俺もおんなじやつ食べるから!
みんなも同じことを考えたようで、王様に視線が集中する。

「………さあ、みんな。頂こうではないか」

にこっと笑顔でごまかそうとする王様。
じいいいいいい。
じいいいいいいいいい。

「……では、これを……」

王様がそっと取ったのは、王様のすぐ前に咲いていた花。
きゅうり。

この根性なしいいいいい!!
いいよ。もう。俺が行かせてもらいますから!

俺はすっくと立ちあがり、テーブルの真ん中にあったサンドイッチのお花を摘んだ。

パチパチパチ!
拍手が聞こえた方をみると、王妃様だった。

俺は王妃様に向かって頷いた。
いくよ?

ええ。いっちゃってちょうだい!

ぱくり!

「お、おいしーーーー!!
なにこのふんわりとしたお花!
パンをお花の形にしたことで、すっごくふわってしてる!!
ハムみたいなやつがあっちこっちにくるりんされてて、どこもおいしい!」

俺の言葉を皮切りに、一斉にサンドイッチに手が伸びた。

「ん!これは…うまいな!
サフィの言う通りだ。花の形にしたことで、触感が素晴らしくなっておる!」
「具とパンとのバランスもちょうどいいわね!」
「見た目も美しいし、味も格別だ。腕をあげたね、料理長!」

絶賛の嵐だ。
熊さんは照れくさそうに頬を緩めた。

「実は…サフィ様のおみやげにヒントを頂いたのです。
形が良いだけではダメなのです。その形だからこその、味や触感!
そこに着目致しました!」

なんと!
あのバラのお菓子からそこまで!

パチパチパチ!!
俺は惜しみない拍手を熊さんに贈った。


その後はみんなでせっせとお花を摘んだ。
摘んでは食べ。摘んでは食べ。
俺たちはお花の狩人となった。
だって、どれを食べても絶品だったんだもの!

みんな気付けばお腹ぱんぱん。

熊さんがニコニコと新しいプレートを持ってきた。
お花のアイスクリームだった。

「むりです!!ほんとうに!!
こころのそこからざんねんですけれども!!!」

心からの叫び。
みんなの心はひとつだった。
もっと早く出してよーーーー!!!!

残念過ぎてちょっと涙が…。





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