159 / 538
第2部 サフィ10歳。伯爵家の息子です!
俺の学園1日目、終了!
とりあえずいい感じの仲間をゲットして俺の学園初日は終わった。
みんなで迎えが待っている門に向かうと、なぜかモーゼのように俺の前にさああっと道が開く。
「え?え?どゆこと?!」
その道の先には、ゲイルとお兄様!
にこにこと満面の笑みを浮かべ、俺に向かって両手を広げ「さあ、おいで!」の体勢!
え?は?
ここに飛び込んでおいで、って?
更にその後ろに柔らかな笑み(これしてる時は余所行きモード)のエリアス。
これ絶対に周囲を警戒中。ヤバそうな貴族とか生徒とかをサーチしてる!!
むりむりむりむりーーー!!
うちの保護者たち、強すぎ!
お兄様、ゲイル!いくら待っても無駄だからね!
俺が思う「カッコいい10歳」は、学園、しかもこんなに多くの人の目の前でお父様に抱っこされたりなんかしないから!
やるなら馬車に乗ってから!
ちらりと横の仲間を見ると、みんな「ちーん」みたいに虚無の眼差し。
「まさかここまでとはね……」
ポン、とカミールが俺の背に手を置く。
「……大変なんだな、サフィも……」
「こうやって育つとそうなるのね。納得」
ミントミンツも反対の肩に。
と思ったら3人ともチラリとお兄様を見て慌てて手を離した。
両手をあげてなぜかホールドアップ。
ど、どうした?
お兄様は優しい笑顔で俺を待っているだけだぞ?早くおいでっていう圧が凄いけどな!
「……行ってあげた方がいいんじゃないか?」
リースが優しく俺を促す。
が。
「無理だってばあ!目立ちたくないもん!
あんなモーゼの中をひとりで通りたくない!
ねえ、みんなも着いて来て!!」
「「「えええーーー?」」」
「あそこに?無理でしょ、それは!
ボクだってまだレオンハルト様に恨まれたくない!」
「お兄様に紹介してあげるから!!ひとりであそこまで行くの、むりなんだってばあ!!
おねがい!こんど美味しいアップルパイ持ってきてあげるから!!」
「必死かよw」
「もう!しょうがないなあ!
変な紹介しないでよ?!
普通に『学友です』って紹介してよね?!」
「分かったから!ねえ、お願い!一緒に来てっ!!」
しぶしぶ着いて来てくれたみんなと一緒に、割れた人波の中を通る俺。
視線が…視線が凄いよおおおおおう!!
「あれが王家の掌中の宝珠!」
「おお!伝説のサフィールとグランディールのサラブレッド!」
だのあちこちでひそひそ。
掌中の宝珠って何ー?!
ぐすぐす。怖い…怖すぎる…。
俺はぎゅうっとリースの服の裾を掴んだ。
「おお!さっそくお友達ができたか!さすがは俺の息子!
俺はサフィの父、ゲルリアスだ。よろしく」
にっこにこでお友達にくいつくゲイル。
早速みんなと握手したりして交流を深めてる。
「お帰り!サフィ!学園はどうだった?」
一方、俺の友だちを完全スルー。まるでリースから奪い取るようにして俺をハグするお兄様。
俺はお兄様の腕をぺしぺしして離すようにとアピール。
「お兄様!あのね、お友達ができましたので!
紹介するから、離して!」
しぶしぶ離れたすきに、俺は急いでゲイルの元へ。
「あのね、この子はゲイリースくん!ミカミカの従弟!
優しくて賢くて頼りになる子です!
お兄様、知ってる?」
「ああ、君が!
ミカエルからサフィと同じ年齢のしっかりした従弟がいると聞いているよ。
私のサフィは可愛いだろう?よろしく頼むよ?」
「…はい。サフィラスのことはお任せください」
ギュウううっとしっかりとした握手を交わす2人。
ミカミカの従弟だっていうことで、気に入ったみたい。
「こっちはカミールくん!
美少年ですけども、しっかりものでママみたいなの!
お兄様のファンなんだよ!」
「ちょっとお!変な事言わないでって言ったのに!
「ママみたいなの?とても良い子のようだね。
私のサフィが世話をかけるね?」
柔らかな笑みをこぼしてお兄様は微笑んだ。
「は、はい!サフィってば危ないから!
ボクがしっかりと見張っておきますね!」
真っ赤になって宣言するカミールに、お兄様は目を大きく見開いた。
「ふふふ。君はとても敏い子でもあるんだね。
君のような子がいてくれれば安心だ。よろしく頼むよ」
軽くカミールを引き寄せて耳元で何やら囁いている。
「は、はい!!お任せください!!!」
とても気が合っているようだ。
「あとね。こっちの2人はミンツとミント。双子なんだって!
2人はいろいろなツッコミをしてくれるよ!」
「おい!俺らの扱い、雑すぎねえ?」
「もう少しなんかあるでしょ?!」
「……面白い双子です!」
「あはははは!そうなんだ!
2人とも、サフィをよろしくね?
目を離すと何をするかわからない子だから…」
「「しっかりと目を離さずにおります!!!」」
ここでエリアスが口を開く。
「僕はサフィちゃんの叔父さん、エリアスだよ。
とても良いお友達ができたみたいだね。
ふふふ。おうちの人にもご挨拶しなきゃね。
君たちのこと、教えてくれるかな?」
「「「「は、はい!」」」」
後で皆が語ったところによると、まるで見合い相手の身上調査のようだったらしい。
「「「「サフィの保護者って……うん…サフィの保護者って感じだよね……」」」」
どういう意味かなあ?!
とりあえずみんなは保護者達に「合格」と言われたそうなので、良かったです。はい。
ほんとごめん!うちの保護者、上からすぎ!!
帰りの馬車の中で、ゲイルはニコニコ&涙ぐむを繰り返していた。
「サフィに友達ができて良かった!いい子たちじゃないか!
……いつの間にかこんなに大きくなって…。立派だったぞ!!」
もう誰もいないので、俺は遠慮なくゲイルに抱き着く。
「俺、もう10歳だからね!
ゲイルの息子だもん!立派な学生になるからね!任せて!!」
お兄様は困ったようなお顔。
「サフィはもうさっそくみんなを魅了していたね。
仕方ないとはいえ…心配だ。
あのお友達、特にカミールくんのいうことをよく聞くんだよ?」
「お兄様もママみたいだよね。
カミールくん、お兄様とちょっと似てるよねー」
「カミールくんはともかく、私はママではないよ?!せめてパパと言って欲しいな」
「レオン、それでいいのかよw」
「黙って貰えますか、ゲイル!今はそれでいいことにします」
「レオン殿下も大変だよねえ」
「エリアスも黙って貰えませんか?!」
「もう!みんな!喧嘩しないの!」
あ。そういえば。
俺は一応聞いてみることにした。
「お兄様。
あのね、みんな1人でお風呂に入ってるみたいだよ?
ゲイルはお父様だからいいとして、たぶんお兄様とかとは入らないんだと思う。
なので、3人で入るのはもう終わりにしましょー!俺も大きくなりましたので!
お泊りに来たら、1人で入ってね」
「え?え?どうしてそんな話になったの?どういうこと?」
「え?…なんとなく?」
「いや、あの……うん。確かに…そろそろ辛くなってきたけど…。
そうだね…1人で入ろうかな…」
お兄様、赤くなったり青くなったり。
最終的にはしょんぼりしながらも1人で入ることにしたようだ。
「やっぱりもう狭くなったって思ってたんでしょ?
2人ならまだしも、3人は辛いんだよ。うんうん」
きっとやめどきを見失って、自分からやめるとは言い出せなかったんだろう。
申し訳ない事をした。
「いや、そういうことじゃねえと思うが…。
まあ、そういうことでいいか…」
「ん?どういうこと?」
「そ、そうなんだ!
サフィも大きくなってきたからね。少し狭いと思っていたんだ!!」
「そうでしょ。思い切って言って良かったあ!」
お兄様が「こんなことなら目をそらさずしっかりと見て目に焼き付けておくんだった!」とかブツブツ言ってる。
俺と入るお風呂を楽しみにしてくれてたんだね。
思い出としてしっかりと覚えておきたかったってことだろう。
「じゃあ、今日最後に一緒に入る?」
と言ったらものすごくいい笑顔で頷かれた。
エリアスとゲイルがものすごく微妙な顔をして
「……レオン、大丈夫?」
と言っていたが、どういう意味だろう?
みんなで迎えが待っている門に向かうと、なぜかモーゼのように俺の前にさああっと道が開く。
「え?え?どゆこと?!」
その道の先には、ゲイルとお兄様!
にこにこと満面の笑みを浮かべ、俺に向かって両手を広げ「さあ、おいで!」の体勢!
え?は?
ここに飛び込んでおいで、って?
更にその後ろに柔らかな笑み(これしてる時は余所行きモード)のエリアス。
これ絶対に周囲を警戒中。ヤバそうな貴族とか生徒とかをサーチしてる!!
むりむりむりむりーーー!!
うちの保護者たち、強すぎ!
お兄様、ゲイル!いくら待っても無駄だからね!
俺が思う「カッコいい10歳」は、学園、しかもこんなに多くの人の目の前でお父様に抱っこされたりなんかしないから!
やるなら馬車に乗ってから!
ちらりと横の仲間を見ると、みんな「ちーん」みたいに虚無の眼差し。
「まさかここまでとはね……」
ポン、とカミールが俺の背に手を置く。
「……大変なんだな、サフィも……」
「こうやって育つとそうなるのね。納得」
ミントミンツも反対の肩に。
と思ったら3人ともチラリとお兄様を見て慌てて手を離した。
両手をあげてなぜかホールドアップ。
ど、どうした?
お兄様は優しい笑顔で俺を待っているだけだぞ?早くおいでっていう圧が凄いけどな!
「……行ってあげた方がいいんじゃないか?」
リースが優しく俺を促す。
が。
「無理だってばあ!目立ちたくないもん!
あんなモーゼの中をひとりで通りたくない!
ねえ、みんなも着いて来て!!」
「「「えええーーー?」」」
「あそこに?無理でしょ、それは!
ボクだってまだレオンハルト様に恨まれたくない!」
「お兄様に紹介してあげるから!!ひとりであそこまで行くの、むりなんだってばあ!!
おねがい!こんど美味しいアップルパイ持ってきてあげるから!!」
「必死かよw」
「もう!しょうがないなあ!
変な紹介しないでよ?!
普通に『学友です』って紹介してよね?!」
「分かったから!ねえ、お願い!一緒に来てっ!!」
しぶしぶ着いて来てくれたみんなと一緒に、割れた人波の中を通る俺。
視線が…視線が凄いよおおおおおう!!
「あれが王家の掌中の宝珠!」
「おお!伝説のサフィールとグランディールのサラブレッド!」
だのあちこちでひそひそ。
掌中の宝珠って何ー?!
ぐすぐす。怖い…怖すぎる…。
俺はぎゅうっとリースの服の裾を掴んだ。
「おお!さっそくお友達ができたか!さすがは俺の息子!
俺はサフィの父、ゲルリアスだ。よろしく」
にっこにこでお友達にくいつくゲイル。
早速みんなと握手したりして交流を深めてる。
「お帰り!サフィ!学園はどうだった?」
一方、俺の友だちを完全スルー。まるでリースから奪い取るようにして俺をハグするお兄様。
俺はお兄様の腕をぺしぺしして離すようにとアピール。
「お兄様!あのね、お友達ができましたので!
紹介するから、離して!」
しぶしぶ離れたすきに、俺は急いでゲイルの元へ。
「あのね、この子はゲイリースくん!ミカミカの従弟!
優しくて賢くて頼りになる子です!
お兄様、知ってる?」
「ああ、君が!
ミカエルからサフィと同じ年齢のしっかりした従弟がいると聞いているよ。
私のサフィは可愛いだろう?よろしく頼むよ?」
「…はい。サフィラスのことはお任せください」
ギュウううっとしっかりとした握手を交わす2人。
ミカミカの従弟だっていうことで、気に入ったみたい。
「こっちはカミールくん!
美少年ですけども、しっかりものでママみたいなの!
お兄様のファンなんだよ!」
「ちょっとお!変な事言わないでって言ったのに!
「ママみたいなの?とても良い子のようだね。
私のサフィが世話をかけるね?」
柔らかな笑みをこぼしてお兄様は微笑んだ。
「は、はい!サフィってば危ないから!
ボクがしっかりと見張っておきますね!」
真っ赤になって宣言するカミールに、お兄様は目を大きく見開いた。
「ふふふ。君はとても敏い子でもあるんだね。
君のような子がいてくれれば安心だ。よろしく頼むよ」
軽くカミールを引き寄せて耳元で何やら囁いている。
「は、はい!!お任せください!!!」
とても気が合っているようだ。
「あとね。こっちの2人はミンツとミント。双子なんだって!
2人はいろいろなツッコミをしてくれるよ!」
「おい!俺らの扱い、雑すぎねえ?」
「もう少しなんかあるでしょ?!」
「……面白い双子です!」
「あはははは!そうなんだ!
2人とも、サフィをよろしくね?
目を離すと何をするかわからない子だから…」
「「しっかりと目を離さずにおります!!!」」
ここでエリアスが口を開く。
「僕はサフィちゃんの叔父さん、エリアスだよ。
とても良いお友達ができたみたいだね。
ふふふ。おうちの人にもご挨拶しなきゃね。
君たちのこと、教えてくれるかな?」
「「「「は、はい!」」」」
後で皆が語ったところによると、まるで見合い相手の身上調査のようだったらしい。
「「「「サフィの保護者って……うん…サフィの保護者って感じだよね……」」」」
どういう意味かなあ?!
とりあえずみんなは保護者達に「合格」と言われたそうなので、良かったです。はい。
ほんとごめん!うちの保護者、上からすぎ!!
帰りの馬車の中で、ゲイルはニコニコ&涙ぐむを繰り返していた。
「サフィに友達ができて良かった!いい子たちじゃないか!
……いつの間にかこんなに大きくなって…。立派だったぞ!!」
もう誰もいないので、俺は遠慮なくゲイルに抱き着く。
「俺、もう10歳だからね!
ゲイルの息子だもん!立派な学生になるからね!任せて!!」
お兄様は困ったようなお顔。
「サフィはもうさっそくみんなを魅了していたね。
仕方ないとはいえ…心配だ。
あのお友達、特にカミールくんのいうことをよく聞くんだよ?」
「お兄様もママみたいだよね。
カミールくん、お兄様とちょっと似てるよねー」
「カミールくんはともかく、私はママではないよ?!せめてパパと言って欲しいな」
「レオン、それでいいのかよw」
「黙って貰えますか、ゲイル!今はそれでいいことにします」
「レオン殿下も大変だよねえ」
「エリアスも黙って貰えませんか?!」
「もう!みんな!喧嘩しないの!」
あ。そういえば。
俺は一応聞いてみることにした。
「お兄様。
あのね、みんな1人でお風呂に入ってるみたいだよ?
ゲイルはお父様だからいいとして、たぶんお兄様とかとは入らないんだと思う。
なので、3人で入るのはもう終わりにしましょー!俺も大きくなりましたので!
お泊りに来たら、1人で入ってね」
「え?え?どうしてそんな話になったの?どういうこと?」
「え?…なんとなく?」
「いや、あの……うん。確かに…そろそろ辛くなってきたけど…。
そうだね…1人で入ろうかな…」
お兄様、赤くなったり青くなったり。
最終的にはしょんぼりしながらも1人で入ることにしたようだ。
「やっぱりもう狭くなったって思ってたんでしょ?
2人ならまだしも、3人は辛いんだよ。うんうん」
きっとやめどきを見失って、自分からやめるとは言い出せなかったんだろう。
申し訳ない事をした。
「いや、そういうことじゃねえと思うが…。
まあ、そういうことでいいか…」
「ん?どういうこと?」
「そ、そうなんだ!
サフィも大きくなってきたからね。少し狭いと思っていたんだ!!」
「そうでしょ。思い切って言って良かったあ!」
お兄様が「こんなことなら目をそらさずしっかりと見て目に焼き付けておくんだった!」とかブツブツ言ってる。
俺と入るお風呂を楽しみにしてくれてたんだね。
思い出としてしっかりと覚えておきたかったってことだろう。
「じゃあ、今日最後に一緒に入る?」
と言ったらものすごくいい笑顔で頷かれた。
エリアスとゲイルがものすごく微妙な顔をして
「……レオン、大丈夫?」
と言っていたが、どういう意味だろう?
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。