もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺の初めての魔法授業2

「さあ!気を取り直していくぞー!
今日は全ての属性をひととおり試してもらうぞ!」

先生のセリフにみんな首を傾げた。

「先生!もう僕たちは皆属性がわかっています。
それぞれの属性に応じて別れた方が効率がいいのでは?」

すると先生はニヤリと笑った。

「そう思うだろ?
じゃあ、みんなに聞こう。
属性とはなんだ?」

「うーん。魔法の系統?」

「それはどうやって決まる?」

「…血筋…ですか?」
「私の家は代々赤よ」
「うちは青だ」

次々と声があがる。

「では、婚姻は同じ属性同士で行っているのか?」

先生の問いにリースくんが答えた。

「いえ、青の属性の家から赤の属性の家に嫁ぐこともあります。
特に同じという決まりはありません」

「それなら、子供には赤と青、両方の特性が出るはずじゃないか?」

遺伝という観点からすれば当たり前の問いにみんなは言葉を失う。
当たり前に「青の属性の家柄」「赤の属性の家柄」みたいなのがまかり通ってるお陰でみんな特に疑問は持っていなかったようだ。
でも、メンデルの法則からしても、先生の言っていることは正しい。
青の家系、赤の家系からは、遺伝という観点で言えば赤、青、赤と青という3種の組み合わせの子が生まれる可能性があるはずだ。
現に俺だって…いや、俺はレインボーだから例外だけど。



「赤の属性の家に青の属性の子が生まれることはありますが…。
その場合はそちらの家に引き取られるようですね」

え?そうなの?
まさかそうやって属性と家柄を維持してきたの?
がびーん。

「そのようだな。
5歳の鑑定はそのためのものとなっているのが現状だ。
だが、それをおかしいと思ったことは無いか?」

しーん。
みんな考え込んでしまった。
これまで当たり前のように受け入れてきたことを根底から覆されたのだ。



先生は、ここで大きく手を叩いた。

「よし!ここでサフィだ!」
「は?!俺え?!」

素早く脇に手を入れて上に持ち上げられる。
かの有名なライオンの王様に子どもができたシーンのようだ。
足をプランプランしながらみんなの前に掲げられる俺。
な、なになになにい?!

先生は重々しく口を開いた。

「サフィは複数の属性持ちだ」

「ちょっとおおおおお!!なんで言っちゃうのおおお??」
「「「「「はああああ?」」」」」

全員の視線が俺に集中。
お友達勢は口パクで「ホントなの?!」「マジか?!」

ひいいいいん。

言っちゃっていいやつなのかなあ?
もう俺を狙う人いないからいいのか?高位貴族には知らせてるし。

先生が俺の耳元で小さな声で言った。

「王家から連絡は受けてる。とりあえず、赤・緑・青で公表しろってことだ」

そ、そうなの?それ、俺に言っておいてよねええええ!
まあいいならいいけど。
どのみち俺最強だから狙っても無駄だし。ドヤア。

「おい。なんでいきなりドヤったんだ?」
「それはそれで」
「あ、ああ。まあいいが。
てことで、公表するぞ。いいな?」

この空気で拒否できるわけなかろうがよ!



唖然とするみんなに先生は説明した。

「サフィは緑属性で有名なサフィール侯爵家と、同じく青属性で有名なグランディール侯爵家のサラブレッドだ。
緑魔法、青魔法が既に使える。
つまり、両家から両方の属性を受け継いでいるんだ」

つまり、と言いながらグイッとみんなの方に俺を差し出す先生。
俺の足が虚しくゆれる。
そろそろ下ろして欲しい。

「先生!」

ケイシーが手を上げた。

「俺の母は赤属性、父は黄です。
鑑定では赤でしたが、もしかして…」
「黄の属性も使える可能性が高い」

「僕の母は青、父は赤です。
僕は赤と言われましたが青も…」

とリースくん。

「水と火は対立するものだからな。反属性の場合は少し苦労するかもしれん。
が、可能だと思う」

おおお!!
聞いてみたみんなの目がキラキラし始めた。

すると先生はこんなことを言い出した。

「それだけじゃないぞ。サフィの件で俺はとんでもない可能性に気がついた。
鑑定では因子が規定値以上の、つまりメインとなる属性が出ているにすぎない。
母方、父方にも家系を辿れば様々な属性の家系と婚姻を結んでいる。
つまり、量の差はあれ、誰もがどの属性の因子も持っているということだ。
それを俺と検証してみないか?」

うむうむ。
つまりは誰もがレインボー!
誰もが特別なオンリーワン!

「なにそれ!面白い!先生、天才!」

思わず興奮して手足をバタバタ。
確かに、メイン以外は大した威力は出せないのかもしれない。
でも属性の基本を覆す大発見じゃん!!
そのきっかけが俺というのはアレだけど、凄い!凄いよ先生!

「ちょ!サフィ、危ない!」
「なら下ろしてくださいませよー」
「あ、ああ、すまん」

もしかして、下ろし忘れ⁈ウソでしょ!

じとー、と見たら、先生がぽりぽり頬をかきながら

「いや、サフィが軽いからさあ。持ってるの忘れちまってた。すまんすまん」

忘れることある⁈
軽いから⁈持ってるの忘れて⁈
はあー?俺はモノですか?

「あとでモフモフの刑」
「いや、それを言うなら、先にもふらせてやったんだから許せよ」

えー。ケチ。




ようやく下ろしてもらえた俺は、またひょいっとされないように急いでミルくんの元に。

心なしかみんなの眼差しが尊敬の眼差し。
ふへへ。てれちゃう。

「サフィって色々すごいんだね。見えないけど」
「ほんと、かわいい外見なのにあらゆる点で規格外だよなあ!意外性の塊」
「意外だけど、実はなんでもできるよね」

意外とか見えないとかうるさいわっ!

「俺はね。お父様みたいな万能を目指してるの!
ゲイルみたくなるんだー!」

胸を張って宣言したら、珍しくミルくんが同意してくれた。

「伯爵もあらゆる点で規格外だもんねえ。ボクも憧れちゃう!
カッコいいよねえ!」
「でしょー!俺のお父様、ゲイル!最高のお父様!
すきー!!」

一緒に手を取り合ってきゃっきゃしてたら、ミンミン兄妹も同意。

「サフィってお父様好きすぎだよな。確かにカッコいいもんなー!」
「わかるわあ!あんな素敵なお父様なら、私だってサフィみたいになるもの!」

みんなにゲイルを褒められて嬉しい!
にこにこしてたら。

「あー…。サフィがパパ大好きなのは分かった。
そろそろ授業再開していいかー?授業中だぞー?」

先生に呆れたように突っ込まれ、みんなに生暖かい眼差しを送られてしまった。

いいじゃん。ゲイルってば最高のお父様なんだもん!
ゲイル、好きー!





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