もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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第2部   サフィ10歳。伯爵家の息子です!

俺の初めての魔法授業3

さてさて。
はてはて。

俺は今途方に暮れている。
何故か。
先生が無茶振りしやがって下されたからでございます!!

「じゃ、サフィにやってみてもらおう。
サフィ、頼む。
あ、あんま危ないやつはヤメロよー?
被害は出すなよよー?」」

はあい⁈
何しろと? 
まほー?まほーしたら良いの?
俺の、ドガーンでいいのかな?
あとビカビカヒールしたらいい?
はたまたトルネード?
やってみてと言われても困るー!!

みんなのワクワクきらきらとした眼差し。
期待が重いっ!
しかしやるにしても加減が分からないっ!
どの程度のやつどれくらいやっていいの⁈
そもそも普通がわからないからそれを教えてほしかったのにい!



俺は仕方なく聞いた。リスクマネジメント大事。

「壊したら弁償とかありますか?」

先生が「はあ⁈」という顔をした。

「塀とか壊したり穴を開けたりしても怒らない?」

「いやいやいや!それはダメだろ!
お前、魔塔主に習ってたんだろ?
どうやって習ってたんだ?」
「えっとお。絶対防御をかけた専用の訓練所を作ってそこでやったりとか。
あとは、遠く離れた広場まで馬車で移動して?」
「はあああ⁈なんだそれ!」

あんぐりしたあと、先生は恐る恐るという感じで口を開く。

「…まさかとは思うが…一時特定の場所にあり得ないくらい雷がガンガン落ちてたよな?
それってまさか…」
「…俺?」

まさか気づいてたの?
いやん。恥ずかしっ!
頭に手をやり照れ照れする俺に、みんななぜかドン引き。

「いや!照れるとかじゃねえからな!
…マジか…いや…あれ、まさかの魔法だったのか⁈
マジかああああ!!」

先生の尻尾や耳が高速パタパタ。
あ、ああ!

「こら!」

手を伸ばそうとしてミルくんに羽交締めされた。

「先生、サフィですから!
もう常識は捨てるしかないでしょ!諦めてください」

ひ、酷い!ミルくん!
けど当たってるだけに痛い!
そう。魔法に関しては俺は規格外!
だからここで常識を学びたいの!
そのために来たのです!

俺は開き直って言った。

「俺はツエエですので!
普通なんて習わなかったので仕方ないのですよ!
常識を学びにきたのだから、常識なくて当たり前なのです。
諦めましょー!」

サフィが言うなとデコピンされた。
ひ、酷い!

だけど、俺がむちゃくちゃツエエでも変わらない態度でいてくれるミルくん、好き!さすがミルくん!俺のママ!

「ちょっとサフィ!デコピンされたのにキラキラした目で見ないで⁈気持ち悪いから!」

ひ、酷い!




話し合いの末、

「みんなから1番離れたところで!
空に向かって最小限のやつやってみろ!」

になった。
りょーかーい!がってんしょーちのすけ!

俺は天に向かって手をあげ、例のカッコいいやつをした。

「天を切り裂き地に落ちよ!
サンダーボルト ミニ!!」

ドッカーン!

雷鳴と共に地面がビリビリと揺れる。

あ、やべ。空に向かったけど地に落とした。
だってこれ、雷だもん!
地に落ちるやつなんだもん!

地面には穴が開いたが他に被害はない。
ヨシ!
急いで土魔法で穴を埋めてごまかす。

もこもこもこ!

うむ!平らになった!
これなら叱られない?

恐る恐るみんなの方を見たら、しーん。
そこには無があった。
無。


とことことこっとみんなの所に戻る。
うーん。
手をフリフリしても反応なし。

困ったのでとりあえず

「げんきもりもりヒール!」

ぴっかーん!

これは、怪我とか治るやつとは別に編み出したやつで、
精神に効果があるやつ。
疲れたときとか、やる気が出ない時とかに効果あるの。
たまにお兄様とか王様とかにやってあげるやつ。

みんなハッとしたように目をパチクリ。

「「「「はああああ⁈」」」」

「い、今、何やった?」
「雷?え?そんな魔法あった?」
「土魔法も使ってなかったか⁈目の錯覚⁈」
「それいうならヒールって!ヒールってなんだよ!」

わあわあと大騒ぎ。

そ、そんないっぺんに言われても困るうう!

「んー。雷は風と水の魔法でできます!」
「そ、そんな簡単なもの?違うでしょ!
そもそも複数の魔法を同時に組み合わせて使うなんて無理だから!」
「そ、そうなの?やってみたらできたよ?」

はにゃ?

「んーと。
雷は風魔法と水魔法の組み合わせ?
風をトルネードして一気に下から上に上昇気流を起こすと空気中の水分が急速に冷やされるでしょ?でもって水蒸気ができてまっくろ雲がもくもくするから、そこに帯電させてね?」

「ちょ、ちょ、ちょっとまてえええい!
もう一度!もう一度ゆっくりそれ言ってくれ!!」

先生がすごい勢いで食いついてきた。
こ、こわ!顔が怖いっ!



とりあえず。
俺はさっきのをゆっくり話することにした。

「えと。まず、空気の中の水分が多いと雲になるでしょ。
その雲なんだけどね。急な上昇気流で一気に雲にすると、その水分が急に冷やされて小さな氷の粒ができて真っくろくろな雲になるの。
その雲の中の氷の粒が風の影響でぶつかり合って、静電気をつくるの。
それを沢山すれば雷になるんだよ!」

途中までうんうんと聞いていた先生が、だんだん頭を抱え出した。
一緒に聞いていたみんなの頭の上にもはてなマークが見える。

「つ、つまり?」

「水魔法と風魔法でじめじめトルネードして!
それを下から上に一気にギューンしたらできる!」
「さっきの長ったらしい説明まとめたらそれか⁈」

呆れたように言うけど、分かんないみたいだから分かりやすく言ってあげたのに!

「きちんと説明したらはにゃにゃだし、わかりやすくまとめたらまとめたで文句?
文句言い屋さんはもう知りません!」

ぷいっと顔を背けてやる。
もう!もう!
やれっていうからやったのに!
わがまますぎるでしょー⁉︎



そのあとみんなに宥めすかされ、先生は耳までさし出してきたが俺は許さなかった。
絶賛オコです。

しかしながらミルくんの

「さっきのピカーンっていうの、ヒール?
サフィってヒールまで使えるの?
伯爵の血筋だからかなあ?すごいね!
ミニ伯爵って感じ!」

ご機嫌を直した。
そう!お父様と一緒なの。よく分かったね!

にこにこしたら、みんなも

「サフィのお父様も万能だから似たんだな!」
「やっぱり複数属性遺伝するんだな!伯爵と同じだもんな!」

と言って褒めてくれる。
エヘン!そうでしょそうでしょ。
俺とゲイル、ちゃんと血も繋がってますしね!
しっかり受け継いでいるのですよ!

俺のヒール、ゲイルと一緒!
息子ですから!

先生が

「はは…もう何でもありだなあ…」

と疲れたような顔をした。

「もっかいヒールしとく?」
「いや、ヒールってそんな簡単に乱発するもんじゃねえからな⁈」

いいじゃん。タダなんだし。
やられておきなさい。

「ミニもりヒール!」

ピカリ!

「お、おお!
寝ても取れない疲れが取れたぞ!
すげえかおい!
徹夜した時また頼むわ!」

先生!さっきのセリフはなんだったの⁈


ミルくんが一言。  

「多分、この中で1番疲れたのボクだから。
ミニヒールして!」

全ての方向から同情的な視線が集まった。
そして責めるような目線は俺に。

え?原因、俺?

「ミニもりヒール!キープ!」

「ふわあああ!疲れがとれたあ!」

こきこきと肩を鳴らすミルくん。
そういえば俺を羽交締めしたり色々してたっけ。
すまんかったのう!












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