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不穏な影
聖女救済大作戦!
「ということで、穏便に良きに計らいたいのですが、みなさまお知恵を貸してくだされ!
まず、ゲイルの案と、お兄様の案と、二つの案があります。それを聞いてからほかによさげな案があったら教えてくれる?」
「まずは、ゲイルの案ね。
王妃様を助けさせるんじゃなくって『聖女を助けてほしい』と訴えます。それで宰相や国の重鎮の聖女を失うことを危惧する人を味方につけるの。聖獣がナージャについてるのも利用するの。えっと…なんだっけか……。そうだ!『次の聖女はまだ赤ちゃんだから、今、聖女を失うと聖獣の加護もなくなっちゃって困るよ』って訴えるの!だから、うちの国の『すんごく優秀なお医者さんのゲイル、それと同じ能力を持つ息子の俺』に助けを依頼するようにいうの」
こんな感じであってたよね?とゲイルを見たら、パチリとゲイルがウインクしてくれた。
「次はお兄様の案ね。王様に協力してもらいます。ナージャとお兄様が仲良くなったからってことにして、ナージャの帰国ついでに『帝国との親睦を深めるため、帝国の文化を学びに』王国側からの代表として王子が同行するの。そのときに、同行者としてお兄様の側近のミカミカと信頼できるお医者さんの親子、俺とゲイルを連れて行くってことにしてね。そのお医者さんの護衛としてS級冒険者のキースにも依頼を出して同行させるの。これだとみんなで一緒に行けるから心強いよね!」
ここでリオが手を挙げた。
「はい!聞いていい?どうして僕とお父様は呼ばれたの?」
うんうん。いい質問だね。
「どうしてリオを呼んだかっていうとね。いっそのこと俺とリオは体験留学ってことにしたら、子供が一緒ってことで向こうの警戒も緩むかなって。リオだって氷魔法がすごいから十分戦力になるしね!でもって、公爵はリオの保護者なので。リオが行くなら公爵の許可もいるでしょお?」
「私は一緒に行かぬのか?」
「うん。公爵はお留守番でお願いします」
「そ、そうか……」
あらら。ちょっとしょんぼりしちゃった。やる気になってくれたその気持ちだけ頂いておきます。
とりあえず、ここにいるメンバーは協力してくれるつもりみたい。だって「ええ?」とか「嫌だ」とか言わずに真剣に考えてくれてるもん。さすが俺のお仲間!
そしたら、キースが手を挙げてくれた。
「サフィ、いいかな?その二つの案を折衷したらどうだ?」
「折衷?」
キースの案はこうだった。
まずは、ナージャが先に帰国。留学先で王国の王子と親しくなり、王子が「親睦を深めるため帝国を訪問したい」と言うので急いで帰国したのだと伝える。それと同時に王様と重鎮たちに聖女の重要性を訴え「王国にはヒールができる高名な医師がいた。いい機会だから、王子の訪問の際に同行してもらおう」「医師の息子が短期留学を希望しているから、それを口実として呼べばいい」と提案する。
おお!これなら他国との利益も絡んで、側妃たちも手出ししにくくなる!どこにも角が立たない!
俺はみんなの顔を見回した。
「うん。いいんじゃねーか?」
「少し時間ができるから、その間にお互い準備を整えられるね」
「準備できるのであれば帝国と交易についても交渉してみよう。そうすれば父上も納得するだろうしね」
「僕もそれでいいよー!サフィといっしょに留学って楽しそうだし!」
「……私の同行は……」
さりげなーく参加する公爵に、俺はにっこり微笑んだ。
「公爵はお留守番!」
「ってことで、いいかな。ナージャ?」
あっという間に意見がまとまり、あとはナージャの意見を聞くだけ。
どうかな?俺の仲間ってね、俺がいうのもなんだけどすっごく優秀な人ばかりなの。そのみんなの意見の折衷案。かなりいいんじゃない?
ナージャは泣いていた。
「ど、どうしたの、ナージャ!」
「…………嬉しくて。私だけでは何もできなかった。無茶を押し通していろいろな方に迷惑をかけて……。それなのに、こうして皆が私のために考え、協力してくれる。全てサフィのおかげだ。ありがとう。どうお返しをすればよいのか……。本当にありがとう。これなら………母上を救えるかもしれない」
俺はナージャの両手をしっかりとつかんだ。
「あのね。救えるかもしれないんじゃないの。救うの。そのために俺たちは行くんだよ?『聖女救出大作戦』なんだから!大丈夫!絶対に助けるからね!」
「……ああ…………ああ………」
良かったですね、とヒュンゲルがナージャの背をさすっている。ナージャ、王宮には誰も信じられる人がいないって言ってたけど、ヒュンゲルさんがいるじゃん。本当にナージャのことを心配してくれてる。
一緒に来た使用人さんも涙をぬぐってる。ちゃんと慕われてる。味方はいるよ、ナージャ。
王様たちとも相談の上、出発は一週間後に決まった。
ナージャはすぐに帰国し向こうの手はずを整える。
船旅にかかる期間は二日。つまり、九日後には帝国に到着する予定だ。
「みんな、ご協力お願いします。力を貸してね。一週間後、準備をしてここに集合!では解散!」
まず、ゲイルの案と、お兄様の案と、二つの案があります。それを聞いてからほかによさげな案があったら教えてくれる?」
「まずは、ゲイルの案ね。
王妃様を助けさせるんじゃなくって『聖女を助けてほしい』と訴えます。それで宰相や国の重鎮の聖女を失うことを危惧する人を味方につけるの。聖獣がナージャについてるのも利用するの。えっと…なんだっけか……。そうだ!『次の聖女はまだ赤ちゃんだから、今、聖女を失うと聖獣の加護もなくなっちゃって困るよ』って訴えるの!だから、うちの国の『すんごく優秀なお医者さんのゲイル、それと同じ能力を持つ息子の俺』に助けを依頼するようにいうの」
こんな感じであってたよね?とゲイルを見たら、パチリとゲイルがウインクしてくれた。
「次はお兄様の案ね。王様に協力してもらいます。ナージャとお兄様が仲良くなったからってことにして、ナージャの帰国ついでに『帝国との親睦を深めるため、帝国の文化を学びに』王国側からの代表として王子が同行するの。そのときに、同行者としてお兄様の側近のミカミカと信頼できるお医者さんの親子、俺とゲイルを連れて行くってことにしてね。そのお医者さんの護衛としてS級冒険者のキースにも依頼を出して同行させるの。これだとみんなで一緒に行けるから心強いよね!」
ここでリオが手を挙げた。
「はい!聞いていい?どうして僕とお父様は呼ばれたの?」
うんうん。いい質問だね。
「どうしてリオを呼んだかっていうとね。いっそのこと俺とリオは体験留学ってことにしたら、子供が一緒ってことで向こうの警戒も緩むかなって。リオだって氷魔法がすごいから十分戦力になるしね!でもって、公爵はリオの保護者なので。リオが行くなら公爵の許可もいるでしょお?」
「私は一緒に行かぬのか?」
「うん。公爵はお留守番でお願いします」
「そ、そうか……」
あらら。ちょっとしょんぼりしちゃった。やる気になってくれたその気持ちだけ頂いておきます。
とりあえず、ここにいるメンバーは協力してくれるつもりみたい。だって「ええ?」とか「嫌だ」とか言わずに真剣に考えてくれてるもん。さすが俺のお仲間!
そしたら、キースが手を挙げてくれた。
「サフィ、いいかな?その二つの案を折衷したらどうだ?」
「折衷?」
キースの案はこうだった。
まずは、ナージャが先に帰国。留学先で王国の王子と親しくなり、王子が「親睦を深めるため帝国を訪問したい」と言うので急いで帰国したのだと伝える。それと同時に王様と重鎮たちに聖女の重要性を訴え「王国にはヒールができる高名な医師がいた。いい機会だから、王子の訪問の際に同行してもらおう」「医師の息子が短期留学を希望しているから、それを口実として呼べばいい」と提案する。
おお!これなら他国との利益も絡んで、側妃たちも手出ししにくくなる!どこにも角が立たない!
俺はみんなの顔を見回した。
「うん。いいんじゃねーか?」
「少し時間ができるから、その間にお互い準備を整えられるね」
「準備できるのであれば帝国と交易についても交渉してみよう。そうすれば父上も納得するだろうしね」
「僕もそれでいいよー!サフィといっしょに留学って楽しそうだし!」
「……私の同行は……」
さりげなーく参加する公爵に、俺はにっこり微笑んだ。
「公爵はお留守番!」
「ってことで、いいかな。ナージャ?」
あっという間に意見がまとまり、あとはナージャの意見を聞くだけ。
どうかな?俺の仲間ってね、俺がいうのもなんだけどすっごく優秀な人ばかりなの。そのみんなの意見の折衷案。かなりいいんじゃない?
ナージャは泣いていた。
「ど、どうしたの、ナージャ!」
「…………嬉しくて。私だけでは何もできなかった。無茶を押し通していろいろな方に迷惑をかけて……。それなのに、こうして皆が私のために考え、協力してくれる。全てサフィのおかげだ。ありがとう。どうお返しをすればよいのか……。本当にありがとう。これなら………母上を救えるかもしれない」
俺はナージャの両手をしっかりとつかんだ。
「あのね。救えるかもしれないんじゃないの。救うの。そのために俺たちは行くんだよ?『聖女救出大作戦』なんだから!大丈夫!絶対に助けるからね!」
「……ああ…………ああ………」
良かったですね、とヒュンゲルがナージャの背をさすっている。ナージャ、王宮には誰も信じられる人がいないって言ってたけど、ヒュンゲルさんがいるじゃん。本当にナージャのことを心配してくれてる。
一緒に来た使用人さんも涙をぬぐってる。ちゃんと慕われてる。味方はいるよ、ナージャ。
王様たちとも相談の上、出発は一週間後に決まった。
ナージャはすぐに帰国し向こうの手はずを整える。
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