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不穏な影
いざ、出立!
1週間は大忙しだった。
ちゃんと学校に休む連絡をして、リースくんやミルくん、ミンミンやクラスのみんなに「お兄様と一緒にナージャの国に招待されたの。ちょっと行ってくるね。おみやげ買ってくるから待っててね!」とお伝えしたのだ。
俺がナージャに拉致られたとき、「サフィがお花摘みのまま帰らない」「ナージャもいない」とすぐに気づき、学校とお兄様に連絡を入れてくれたのはミルくんだった。お兄様に魔道具を渡されていたんだって。「サフィに何かあれば割るように。こちらに伝わるようになっているから」って。
俺の知らないとこでそんなことが!
それを割ると同時にお兄様は異変に気づき、リボンを追ってくれた。
あんなに早く来てくれたのは、二人の連携のおかげだったのです。ありがたや〰!
でもって、リースくんも騒ぎにならないようミンミンと手分けしてあちこちに「サフィは体調不良で早退しました」とか言い訳しておいてくれた。
みんな俺のために動いてくれてたんだね!さすがは我が友!ちょっと感動して泣きそう。
みんなは何か察してるみたいで、色んなものを俺に寄越した。
「ちゃんと怪我をしないて帰ってきなよ!これ、僕が作ったお守り。防御効果があるからあげる」
「これは投げると閃光が出る魔道具なんだ。まだ開発途中なんだが、持って行って欲しい。こちらはワイヤーが出るようになっている」
「これ、携帯用食料!な!腹空かねえように」
「サフィの好きなリンゴ味とチーズ味にしたからね。ポケットに入れておきなさいね?」
ミルくん製のお守りはナイフだし、リースくんがくれた魔道具は見た目ビー玉みたいだった。携帯用食料はあめ玉っぽい。お腹で膨らんで満腹感を与え、さらには必要な栄養がみちみちに詰まってるんだそうな。
な、なんかサバイバルに行くみたいな……。一応「国賓」「招待客」なんだけどね?でもありがとう!
みんなの気持ちを俺はしっかりとポケットに詰め込んだ。内ポケットも外のポケットもみんなの愛でぱんぱん!
「しっかり学んで元気に帰ってくるからね!待っててね!」
お兄様たちもしっかり準備。なんと護衛としてオルガ団長まで!団長は、肉体的な武力で名高い帝国の騎士の剣技を見てみたいのだそうな。
団長があまりにもウキウキ顔だったから、まるで遠足前日の小学生みたいだなと思わず「遠足のオヤツは200円までね。バナナはオヤツに入りませんのでね。オススメですよ」と言ってしもうた。
神妙な顔で頷いていた団長は、なぜか出発日にバナナを一箱担いできた。
「え?は?なぜにバナナ?」
「?オヤツにバナナがオススメと伺いましたので」
あれ?そんなこと言ったっけ?
ゲイルは色々な薬草をカバンに詰め込んでいた。
「ヒールじゃなくて薬草で治るならそれにこしたことねえだろ?それに、体力が落ちてるはずだからまずは地力をあげてやらねえと」
だそうな。お医者さんっぽい!って、お医者さんなんだけどね。
ギルドとかには怪我の人が多いから、内服の薬とか沢山詰めてるのはなんだか新鮮。
「ゲイルのおカバンいっぱいなら、俺のに詰めてもいいからね?」
俺のカバンもゲイルのカバンも、魔法収納だからかなりの量が入るはず。備えられるだけ、備えたい。
ナージャに聞いたら、魔法、医療、魔道具とかはかなり遅れてるみたいだし。その代わりに産業(農業、林業)や工芸技術は素晴らしく、武術に優れてるそうだけど。
薬とかは足りなさそうだから、持てるだけ持って行きたいよね。
一緒に行くメンバーはそれぞれ必要だと思うものを準備して大忙しなんだけど。
お留守番ぐみは、ゴネにゴネた。
特にエリアスとかエリアスとかエリアスとか!
「ええ?僕だけ蚊帳の外?」
「公爵もお留守番だからね?」
「あの人は当たり前でしょ!宰相だもん。僕くらいならよくない?交渉や外交なら、僕でしょ!君たちに交渉とかできるの?」
「ああん?俺がいりゃ問題ねえだろ」
「ゲイルは別格でしょ!ズルいよゲイル!僕だってサフィちゃんの役に立ちたいのに!」
「あのね、エリアスは王様とか公爵を助けてあげて?みんな行っちゃうから、寂しくて泣いちゃうかもだし」
「僕だって泣いちゃうよ!」
「こら!わがまま言わないの!ご当主でしょおが!」
出かけるまでの1週間、エリアスは毎日俺を抱っこして眠る権利を得た。
ティガーが何やらゴソゴソしていると思ったら、なんと!俺の衣装を作っておりました。
「帝国の皆様にサフィラス様の素晴らしさを見せつけてやりましょう!最高にお可愛らしく致しますので!」
新緑のエメラルドグリーン、まばゆいばかりの白、優しい温かなアイボリー、森のような深緑のセットアップが四セット。そしてお兄様とお揃いの色に仕立てられた(ミカミカと相談したらしい)ブルーの地に金糸の刺繍が施された謁見用の豪華な正装!
よ、よくこんなに作ったね?
「…眠らなければ良いのです!」
いや、寝よう?寝て!お願い!
マリーはオルガ団長不在の間、騎士団を任されたのだそう。
「私がしっかり鍛えておきますからねーっ!将来的にサフィ様を守ってもらうんですからっ!」
守るのは俺じゃなくて国ね?騎士団のみなさま…なんとか無事に生きろ…!
あとね。1番だいじなこと。
王様たちに、俺のわがままで国を巻き込んじゃうことをしっかりとお詫びした。
お兄様を危険に晒しちゃうことにも。
王様は、こう言って笑った。
「我が国はサフィがいれば平和らしいしな。ルー様が言うておっただろう?サフィがしたいようにするのが1番なのだ。
なあに、最強の聖女が二人もおるのだ。悪いようにはなるまい!
我が国をひとつにまとめたように、帝国でも好きに暴れて来るが良い!責任はワシが持とう!
信じておるぞ、サフィ!無事に帰りなさい」
そうしてその腕を大きく広げる王様の胸に、俺は飛び込んだ。
「ありがとう!王様!大好き!俺、頑張りますのでね!お兄様も守りますのでご安心くださいませよ!あと、何かいいおみやげ買ってくるからね!」
「はははは!楽しみにしておるぞ!ー
王様は笑って俺を抱き上げ、しみじみとこう口にした。
「………大きくなったなあ、サフィ。まさか、もう国の外に出るとはなあ……」
「すぐに聖女様をピカーンして帰ってくるからね。ナージャを助けてくるね」
「うむ」
大きくなってからは久しぶりの王様の抱っこ。その腕は温かくて、お日様の匂いがする。
「ナージャのところの王様も、王様みたいならいいのにね。俺の王様が王様で良かった。国には迷惑にならないように頑張るからね。俺ね、王様が大好き」
感謝の気持ちをこめて、ほっぺにチュ。
大きくなってからはゲイルから、ゲイル以外には特別な時にしかしちゃダメって言われてるけど。特別なときだもんね。
すりすりってしたら、王様が嬉しそうにクスクス。
「レオンに妬かれてしまうな。何よりの褒美だ。私もサフィが大好きだぞ!」
王妃様にも抱っこしてもらった。勝手にだけど、俺はいつも王妃様にあうたびにお母様みたいだなって思う。
いい匂いがして、ふんわりと胸の奥が温かくなるんだ?
「サフィちゃん。しっかりレオンに守ってもらいなさいね。無理はしないのよ?あなたはまだ子供なの。守られていなさい。頑張りすぎないのよ?ご飯もきちんと食べるのですよ?無事に元気に戻ってきてね?」
「うん。わかった。無理しない。あのね、あのね。……王妃様って、お母様みたい。王妃様、大好き。ありがとう」
「……私もサフィちゃんを我が子のように思っているわ。私のかわいいサフィ。怪我をしないでね?大好きよ」
こうして俺たちは出発日を迎えた。
ナージャが待ってる!さあ、聖女様を救いに行こう!
何もかもをズバッと解決して参るのじゃ!
「みんな、行ってきまーす!」
ちゃんと学校に休む連絡をして、リースくんやミルくん、ミンミンやクラスのみんなに「お兄様と一緒にナージャの国に招待されたの。ちょっと行ってくるね。おみやげ買ってくるから待っててね!」とお伝えしたのだ。
俺がナージャに拉致られたとき、「サフィがお花摘みのまま帰らない」「ナージャもいない」とすぐに気づき、学校とお兄様に連絡を入れてくれたのはミルくんだった。お兄様に魔道具を渡されていたんだって。「サフィに何かあれば割るように。こちらに伝わるようになっているから」って。
俺の知らないとこでそんなことが!
それを割ると同時にお兄様は異変に気づき、リボンを追ってくれた。
あんなに早く来てくれたのは、二人の連携のおかげだったのです。ありがたや〰!
でもって、リースくんも騒ぎにならないようミンミンと手分けしてあちこちに「サフィは体調不良で早退しました」とか言い訳しておいてくれた。
みんな俺のために動いてくれてたんだね!さすがは我が友!ちょっと感動して泣きそう。
みんなは何か察してるみたいで、色んなものを俺に寄越した。
「ちゃんと怪我をしないて帰ってきなよ!これ、僕が作ったお守り。防御効果があるからあげる」
「これは投げると閃光が出る魔道具なんだ。まだ開発途中なんだが、持って行って欲しい。こちらはワイヤーが出るようになっている」
「これ、携帯用食料!な!腹空かねえように」
「サフィの好きなリンゴ味とチーズ味にしたからね。ポケットに入れておきなさいね?」
ミルくん製のお守りはナイフだし、リースくんがくれた魔道具は見た目ビー玉みたいだった。携帯用食料はあめ玉っぽい。お腹で膨らんで満腹感を与え、さらには必要な栄養がみちみちに詰まってるんだそうな。
な、なんかサバイバルに行くみたいな……。一応「国賓」「招待客」なんだけどね?でもありがとう!
みんなの気持ちを俺はしっかりとポケットに詰め込んだ。内ポケットも外のポケットもみんなの愛でぱんぱん!
「しっかり学んで元気に帰ってくるからね!待っててね!」
お兄様たちもしっかり準備。なんと護衛としてオルガ団長まで!団長は、肉体的な武力で名高い帝国の騎士の剣技を見てみたいのだそうな。
団長があまりにもウキウキ顔だったから、まるで遠足前日の小学生みたいだなと思わず「遠足のオヤツは200円までね。バナナはオヤツに入りませんのでね。オススメですよ」と言ってしもうた。
神妙な顔で頷いていた団長は、なぜか出発日にバナナを一箱担いできた。
「え?は?なぜにバナナ?」
「?オヤツにバナナがオススメと伺いましたので」
あれ?そんなこと言ったっけ?
ゲイルは色々な薬草をカバンに詰め込んでいた。
「ヒールじゃなくて薬草で治るならそれにこしたことねえだろ?それに、体力が落ちてるはずだからまずは地力をあげてやらねえと」
だそうな。お医者さんっぽい!って、お医者さんなんだけどね。
ギルドとかには怪我の人が多いから、内服の薬とか沢山詰めてるのはなんだか新鮮。
「ゲイルのおカバンいっぱいなら、俺のに詰めてもいいからね?」
俺のカバンもゲイルのカバンも、魔法収納だからかなりの量が入るはず。備えられるだけ、備えたい。
ナージャに聞いたら、魔法、医療、魔道具とかはかなり遅れてるみたいだし。その代わりに産業(農業、林業)や工芸技術は素晴らしく、武術に優れてるそうだけど。
薬とかは足りなさそうだから、持てるだけ持って行きたいよね。
一緒に行くメンバーはそれぞれ必要だと思うものを準備して大忙しなんだけど。
お留守番ぐみは、ゴネにゴネた。
特にエリアスとかエリアスとかエリアスとか!
「ええ?僕だけ蚊帳の外?」
「公爵もお留守番だからね?」
「あの人は当たり前でしょ!宰相だもん。僕くらいならよくない?交渉や外交なら、僕でしょ!君たちに交渉とかできるの?」
「ああん?俺がいりゃ問題ねえだろ」
「ゲイルは別格でしょ!ズルいよゲイル!僕だってサフィちゃんの役に立ちたいのに!」
「あのね、エリアスは王様とか公爵を助けてあげて?みんな行っちゃうから、寂しくて泣いちゃうかもだし」
「僕だって泣いちゃうよ!」
「こら!わがまま言わないの!ご当主でしょおが!」
出かけるまでの1週間、エリアスは毎日俺を抱っこして眠る権利を得た。
ティガーが何やらゴソゴソしていると思ったら、なんと!俺の衣装を作っておりました。
「帝国の皆様にサフィラス様の素晴らしさを見せつけてやりましょう!最高にお可愛らしく致しますので!」
新緑のエメラルドグリーン、まばゆいばかりの白、優しい温かなアイボリー、森のような深緑のセットアップが四セット。そしてお兄様とお揃いの色に仕立てられた(ミカミカと相談したらしい)ブルーの地に金糸の刺繍が施された謁見用の豪華な正装!
よ、よくこんなに作ったね?
「…眠らなければ良いのです!」
いや、寝よう?寝て!お願い!
マリーはオルガ団長不在の間、騎士団を任されたのだそう。
「私がしっかり鍛えておきますからねーっ!将来的にサフィ様を守ってもらうんですからっ!」
守るのは俺じゃなくて国ね?騎士団のみなさま…なんとか無事に生きろ…!
あとね。1番だいじなこと。
王様たちに、俺のわがままで国を巻き込んじゃうことをしっかりとお詫びした。
お兄様を危険に晒しちゃうことにも。
王様は、こう言って笑った。
「我が国はサフィがいれば平和らしいしな。ルー様が言うておっただろう?サフィがしたいようにするのが1番なのだ。
なあに、最強の聖女が二人もおるのだ。悪いようにはなるまい!
我が国をひとつにまとめたように、帝国でも好きに暴れて来るが良い!責任はワシが持とう!
信じておるぞ、サフィ!無事に帰りなさい」
そうしてその腕を大きく広げる王様の胸に、俺は飛び込んだ。
「ありがとう!王様!大好き!俺、頑張りますのでね!お兄様も守りますのでご安心くださいませよ!あと、何かいいおみやげ買ってくるからね!」
「はははは!楽しみにしておるぞ!ー
王様は笑って俺を抱き上げ、しみじみとこう口にした。
「………大きくなったなあ、サフィ。まさか、もう国の外に出るとはなあ……」
「すぐに聖女様をピカーンして帰ってくるからね。ナージャを助けてくるね」
「うむ」
大きくなってからは久しぶりの王様の抱っこ。その腕は温かくて、お日様の匂いがする。
「ナージャのところの王様も、王様みたいならいいのにね。俺の王様が王様で良かった。国には迷惑にならないように頑張るからね。俺ね、王様が大好き」
感謝の気持ちをこめて、ほっぺにチュ。
大きくなってからはゲイルから、ゲイル以外には特別な時にしかしちゃダメって言われてるけど。特別なときだもんね。
すりすりってしたら、王様が嬉しそうにクスクス。
「レオンに妬かれてしまうな。何よりの褒美だ。私もサフィが大好きだぞ!」
王妃様にも抱っこしてもらった。勝手にだけど、俺はいつも王妃様にあうたびにお母様みたいだなって思う。
いい匂いがして、ふんわりと胸の奥が温かくなるんだ?
「サフィちゃん。しっかりレオンに守ってもらいなさいね。無理はしないのよ?あなたはまだ子供なの。守られていなさい。頑張りすぎないのよ?ご飯もきちんと食べるのですよ?無事に元気に戻ってきてね?」
「うん。わかった。無理しない。あのね、あのね。……王妃様って、お母様みたい。王妃様、大好き。ありがとう」
「……私もサフィちゃんを我が子のように思っているわ。私のかわいいサフィ。怪我をしないでね?大好きよ」
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