もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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いざ帝国!

海の怪物

俺は慌てて船長に報告した。

「せんちょー!せんちょー!!テキシュー!2時の方向になんか来ます!でっかいイカみたいなやつであります!!」

ビシッと九十度に腕を曲げてかっこよく報告したら、船長もビシッと敬礼してくれた。

「わはははは!そうかそうか!
よし、サフィ、2時の方向!打てーッ!」

よし!任せて!

「あいあいさー!!」

イカ!あれは絶対にイカ!
俺はやってみせる!

「さ、サフィ⁉︎まさか…本当に⁈待って!船長!あそこに何か…」
「アイスアロー特大!」

一瞬で海水を巻き上げて凍らせ、氷の矢を作る。使ったあとは海にそのまま戻るというエコです。素晴らしい!それを。

「ていやーっ!!」


ビューーーン!!
どっかーーーん!!グサッ!!

ナイス!
見事に頭っぽいところのど真ん中に命中!あ、なんか足をくねくねして苦しんでる!

「よーっし!効いてる!

ばしゃんばしゃん暴れイカのおこす巨大な波に船がザブンザブン。

おっととと。念のため船の前に防御しとこ。
船の安全対策をしたところでー

「トルネード!」

ザバァっと特大のイカを宙に巻き上げる。
おおお!足、長っ!足を伸ばしたら全部で10メートルくらいあるかも。
ここですかさず最後の仕上げ!

「焼きイカファイヤーボール!こんがりおいしくなーれ!!」

ボガーーン!!
メラメラメラッ!
しっかりゲソの先までこんがりとね!

うまい具合に焼けたら風魔法で火を消して、水に落ちる前にそのまんま回収!

ビューーーン、ドゴーン!!



船がぐらぐらっとしたけど、問題なっしんぐ!
無事任務完了!

イルカちゃんも嬉しそうに船の周りで飛び跳ねておりまする!




「やったあ!やったあ!やりましたぞ、船長!
俺の大勝利!でっかいイカに勝ったどおおお!」

ぴょんぴょんと飛び回って喜びを表現。

甲板に落としたデカいイカ!やっぱイカだった!
俺の絶妙な魔力操作の技食い意地によって、こんがりいい焼き具合。

ちなみに、何で最初に得意のサンダーボルトにしなかったかというと、海だからみんなが巻き込まれて感電しないようにっていうとっさの判断!
俺、神ってた!

にしても、焼きたてのいいにおーい!
程よき焦げ目もあって、た、、、たまらん…!
じゅるり。
おしょーゆがあれば最高なんだけどなあ。
まずは味見してからだね!

俺のお腹がグゥと鳴った。

「えへへへ。いっただきまー…「サフィ⁈」

食いつく直前、お兄様に首ねっこ掴んでイカから引き剥がされ、そこをキースに「どーせーい!」と上に持ち上げられた。

ジタバタジタバタ。

ジタバタジタバタ。

「焼きたて!焼きたてなのにいいい!!」



「いや…マジか…ウソだろ…クラーケンあっという間に1人でやっちまった…」

「なんだ今のは!サフィ!無事かっ!!」

船内からゲイルが走り出て来た。

「ゲイルーっ!ゲイルーーっ!イカっ!俺、イカ獲ったどーした!焼きたてなのにいいいっ!
キースが離してくれないのっ!なんとかしてっ?」

ゲイルは俺の指の先にあるイカを見て唖然。

「はあ⁈なんだこりゃ!クラーケン⁈
サフィが獲ったのか?
凄えぞ、さすが俺の息子!良くやった!
で、なんでそんなんなってんだ?」




お兄様とキースは、俺を捕まえたまま大きなため息をついた。

リオが船長に向かってひとこと。

「こういう親子なんだよね……」

「おまいさんたちも、苦労してんだなあ……」

はあ?

「せんちょーが!せんちょーが打てってゆった!!」
「いや、あれ、ごっこ遊びだと思うだろ普通は…!しかもクラーケン!海軍総出でなんとか倒す伝説の魔獣じゃねえか!いくら冒険者ったって貴族のちびっ子倒そうとするとか普通は思わねえよ!」

お兄様とキースが同時に言った。

「サフィですよ?」「サフィだぞ?」



遅れて出てきたオルガ団長は、一瞬で状況を把握した。さすが戦慣れしております。

いわく。

「良く焼けているな。これなら食べても問題ない」
「でしょー!!」
「いや、サフィ。一応魔獣だしね?お腹壊したらどうするの?ねえキース。キースもそう思うだろう?言ってやってくれないか?」
「そうだな。一応国を代表して貴族として乗船しているんだ。そのまま食べるのはどうかと思うぞ?依頼中じゃないんだから、きちんと調理してもらおうな?」
「そういう問題ではないんだけどね⁈君はもう少し常識があると思っていたよ!」

ミカミカはずっと腹を抱えて笑い転げている。ついに「腹が痛え!腹筋死んだ!」と唸り出した。

その間にもどんどん冷めていく俺の焼きイカ。

「ねえ!もういいですかあ?
せっかく焼きイカ作ったのにい!冷めちゃうよう!早く食べよう!みんなを呼んで!」



ポカンと呆けていた船員さんが慌てて中の人たちを呼びに走った。

うん。せっかくの焼きたてだもん。みんなで頂きましょ!

キースが俺に待てをし、自分だけイカのところに。ナイフを取り出すと器用に切り取り始めた。まずは自分で一口。あああ!ずるうい!獲ったの俺なのにいい!

「うん。問題なさそうだ。
これでいいだろ?レオン殿下」
「……仕方ない。いいよ」

お兄様の許可をもらってようやく俺のお口に。

「ほら、サフィ」
「あーん。………あはははは!イカだあ!おっきなイカの味!おいしー!!」

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