もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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聖女を救え!

聖女救出会議、会場はこちらです!

さて。邪魔な支配人を追い払ったところで使用人さんたちにも、陸軍の皆様が「客人に無礼があってはならん。支配人の沙汰が決まるまでは、私たちが客人の世話を手配する」ということで丁寧にお願いし、お帰り頂いた。

屋敷全体に結界を張ったら、俺たち「王国&陸海軍」の拠点のかんせーい!ぱちぱちぱちー!

リアム団長が茫然と「……結界……はあ……」と呟いていたので、「害意のある人は入れなくしたの」と教えてあげた。
リアム団長の横にいたフィガロ団長がちょっと青ざめながら言った。

「王国を敵に回さなくてよかったぜ……」

「大丈夫だよ。ナージャとは友達になったから。友達の国とは仲良くするものでしょう?あとね、王様は平和主義なの。攻めてこなきゃ何もしないよ」

そもそも、うちの国は割と安定してる。友好的な外交で輸出入をすることはあれ、わざわざほかの国と戦争までする理由がないのだ。

俺の言葉に団長さんたちはため息をついた。

「うちの国はもともと戦争で領土を奪って発展してきた国だからなあ。ここ10年ほどは安定しているが、そろそろ次の戦を、という声もあるんだ」
「まあ、そのために俺たちがいるってものあるしなあ。このまま戦がなければ、俺たちも首だ」
「戦がしたいわけではないんだ。でも戦うのが軍人の仕事だからな」

んん?あれれ?

「あのね。平和な国にも軍隊はあるでしょ。例えば反乱を防いだり、ほかの国の侵略を防いだり。魔物を狩ったり、犯罪を取り締まったり。戦うためじゃなくって、平和を守るために存在するのが軍なんじゃないの?この10年、安定している間は、そうやってお仕事してきたんでしょ?それじゃダメなの?」

俺の素朴な疑問には、団長さんたちじゃなくてナージャが答えてくれた。

「ダメじゃない。それこそが、あるべき姿だと私は思っている。よその国から奪い続けていく国に、未来などない。私はそう思う」

今のナージャからは、最初に会った時の「俺様」な感じも、身に纏ってた「俺様」という鎧が離れたときのもろい感じもない。今ここにいるのは、ただありのままのナージャ。なのに、なんて強く見えるんだろう。
そのオレンジの髪が明りに照らされキラキラと輝くのを俺は眩しく見つめた。

俺もそう思うよ、ナージャ。奪い続ける先には、絶望しかない。未来は奪うものじゃない。自分たちで作りださなきゃ。

そんな俺の気持ちを代弁するかのようにお兄様が口を開いた。

「侵略なしに立ち行かぬ国に未来などない。私も同じ意見だ。ナージャ、国を守るための軍隊を率いて、君が新しい未来を創るんだ。我々はそれに協力しよう」

ミカミカが重々しい空気を吹き飛ばすかのように笑う。

「だな! 王だって絶対じゃない。間違える時もある。それを勇めるのも側近や子の仕事だ。レオンが道をたがえれば俺が正す。だろ?レオン」
「ああ。ミカが正してくれ」
「帝国の道は君たちが正せ、ナージャ殿下。軍団長さんたちもな!」

パンパンパン!
手を叩く音が響く。ゲイルだ。

「てことで、会議といこうぜ!
まずはどうやって道を正すか、だ。俺は、話を聞いた限り、側妃と宰相が過ちの根源とみた。
実際のところ、どうなんだ?まあ自国の内情を話すのにはためらいがあるとは思うが……そこは俺たちを信じてもらうしかねえ。ぶっちゃけ、俺たちは強い。この国占拠したきゃとっくにやってる」

サフィ、リオ、と俺たちを手招きするゲイル。
とっとっとっと、ゲイルの横に。なんでしょうか先生!

「こいつら、どう思う?あ、フィガロは黙ってろよ?」

リアム団長さんと海軍の皆さんの視線が俺たちに集中する。俺はにこにこっと笑顔を振りまき手を振ってご挨拶。

「オルガ団長、S級のキースさんについては、いうまでもない。伝説級だからな。『ゲイル』の名も同様。王家の強さも相当だと聞く。当然その侍従も想像に難くない。だが、この二人については……正直わからん。ナージャ殿下のご友人だからとしか……」

困惑顔でリアム団長が言った。
それを聞いたフィガロ団長は何か言いたそうに頬をピクピクさせながら唇をかみしめている。

うんうん、とゲイルが頷く。

「そう思うだろ?いいか?このメンバーで戦略含めた最強は俺。だが、単純に攻撃力だけでいえば、サフィが一番。次が俺、キースはその次になる」

「は?!待て!あんたは医者じゃないのか?ヒーラーなんだろうが?」

「だからと言って魔法や武力が弱えと入ってねえぞ?」

ニヤリとニヒルな笑みを見えるゲイル。くうー!かっこよ!しびれるう!!
信じられないといった様子の海軍に、キースが苦笑。

「ゲイルはギルド長直伝に戦術を叩き込まれてるんだよ。剣だけならまだしも、魔法も使われたら俺もお手上げだ。ちなみに、サフィはサンダーエンジェルだよ」

キースの言葉にガクリと団長含め海軍勢の顎が落ちた。

「サフィがサンダーエンジェル……マジか……!」

「うちの息子はすげえぞ?この屋敷なんて指先で消し炭にしちまう」

当たり前のように息子自慢が入るゲイル。

「えへへへー。やってみせようか?」

みんなが無言のままぶんぶんと首を振った。いいの?小さいのもできるのに。
するとリオがため息をつく。

「ゲイル。サフィはともかく、僕は何で呼ばれたの?」

「ああ、すまんすまん。で、このリオだ!このメンバーで一番弱いが、それでもおそらく団長クラスだ。この部屋ひとつくらい簡単に凍らせちまうし、氷の矢を空からどかんどかんかましてくるぞ?あ、サフィもそれできるからな?」

「一番弱いとかいらないでしょ!まあ、確かにこの中では一番弱いけど。僕、これでも学園のトップなんだけどなあ……」

キースが苦笑しながら付け加えた。

「あのね、サフィもリオも、王国の中でも最強だから。普通の子がみんなこうだってんじゃないぞ?」

ミカミカも苦笑した。

「当たり前に規格外なんだよこいつら。てかサフィだな。もう常識とか馬鹿らしくなってくるからな」




「ってことで、攻めたきゃとっくに攻め落としてた。つまり、俺たちにここを攻める意思はないってこと。理解してもらえたか?俺たちはナージャを、というよりも聖女を助けに来た。聖女を助けたいって俺の息子がいうんだ。しょうがねえだろ?」

「そうだね。サフィが望むんだからしょうがないよね」

ゲイルとお兄様の言葉に、みんなの顔が「?」になった。恐る恐るという感じで、リアム団長が手を挙げる。

「あのな、聞いていいか?あんたの息子、ラスボスか何かか?」

ブフーッっとミカミカが吹き出した。

「ラ、ラスボスっ……!たしかに、ボスっていやあボスだな。レオンをこき使ってんだからw」

ヒーヒーと涙を流して笑っている。
するとゲイルとお兄様がしれっと言った。

「「そりゃ、サフィの望みなら叶えるだろ(でしょ)?」

キースが肩をすくめる。

「……ごめんね、みんなサフィが大好きだからさ」






「……おうこく……怖え…………」










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