もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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聖女を救え!

軍隊勢ぞろい

さてさて。軍の皆様が思ったよりも簡単に(失礼!)味方についてくれたことで、俺たちの計画は若干修正された。

王国で決めていたのは、側妃を出し抜いて「王国の王子が文化交流のために帝国に」、でおつきの人として「医者のゲイルが留学希望の息子と甥を連れて同行」。でもって、息子たちの友人であるナージャのお母様が聖女だと聞き、治療を……みたいな感じ。要するに「聖女治療」だけが目的だったの。

だけどいろんな内情を聞いて、ちょっと変わってきた。
だってさ。ダメじゃん側妃そのままにしたら。聖女だってナージャだって安心できないでしょお?
なんか侵略の気配がビンビンするもん。隣国でそんなことになってたら王国だって穏やかじゃないもんね。
安心して楽しく幸せに生きるために、災いの種は摘んでもらいましょー!

って、もちろん、摘むのは俺たちじゃない。帝国民だよ。
なにもかもお膳立てしてもらったら、何も変わらない。自分たちの手でつかみ取った平和だからこそ価値があるし、大事にするんだと思うから。

俺たちがするのは俺たちにしかできないこと、つまり「聖女の治療」。
後は、困ってたら手助けする。これくらいかな。




俺たちは屋敷の広間に集まって、一応だけど盗聴とかの魔道具が室内にないかどうかも確認。更には屋敷回りにもかけたけど、ここの部屋にも結界と遮音の魔法をかけて。

「さあて、会議でござる! 」


ここで例によって俺が進行役となり、これまでの計画について説明。足りないところをお兄様とゲイルに補足してもらった。
根回しとして、今ここにはいない海軍のみんなに「王国の高名な医師が来ていること」「聖女が病に倒れており自己治癒ができないこと」という噂を広めてもらっていることも伝えておく。

「で。陸軍のみなさまはどうなさるのでしょうか?」

急に俺に話をふられリアム団長が思わず「は? 」

「あのね。早く解決したいなら、俺とゲイルのどっかーんで終了なの。だけど、帝国のことを王国に全部解決されたら恥ずかしいでしょ?恥ずかしいよね?だから、お任せします」

「サフィ! 言い方! まあ、サフィの言う通りだよね。私たちがナージャ殿下に頼まれたのは、聖女の治療だ。だけど……失礼だが、?聞いた限り、宰相と側妃は公国に通じている。このままだと帝国は公国の属国になるよ?それを君たち帝国の軍人としてどうするつもりなのか、と言っているんだ」

「聖女に関しては俺たちじゃないと無理だ。だから聖女の治療はしてやる。だが自国のことはお前らが解決したほうがいいだろ?よそ者に好き勝手されていいのか、って言ってんだよ」

うんうん、と俺は頷いた。

「どうせなら、俺たちがいる間にやっちゃったほうがいいでしょ?だって、王国の王子と、宰相の息子、高名な医者で伯爵のゲイル、伝説のオルガ団長、これまた伝説S級冒険者のキースがいて、ナージャ殿下と聖女の側についてるんだよ?後ろ盾としたら公国より勝るんじゃない?だって、今帝国にいるんだもん」
「俺の息子はほんとに賢いだろー?な?」

ゲイルが嬉しそうに俺を撫で繰り回す。

「…………サフィ、本当に十歳か?」

団長ズが青ざめた顔で俺を指さした。

「それ、もちろんいい意味で言ってるよね?」

お兄様の微笑みに何故かがくがくと頭の上下運動をする団長さん以下海軍のみなさま。

「私のサフィは可愛いだけじゃなくて、強くて賢くて、最高に可愛いだろう?」

俺を抱きしめてほおずりするお兄様。ええー?もっと褒めて!


「殿下、可愛いを二度言ったな……。確かに可愛いが、そのほかの部分が怖えよ!」

俺はフィガロ団長がこぼした言葉をしっかりと受け止めた。

「なんですと!ということは俺がかっこいいということ!」
「いや、怖えんだって」
「怖いイコールかっこいいということ!」
「イコールじゃねえし!なんだこのちっこいの!ゲイル、あんた教育間違ってんぞ?どう見ても可愛いしかねえだろうが!」
「……すまん、フィガロ。サフィはかっこいいに憧れていてな……。周りから可愛い可愛いといわれるもんだから……」


ふは、とリアム団長が笑った。

「サフィの言う通りだ。会ったばかりの俺が言うのもなんだが……サフィはカッコいい。俺なんかよりよほど腹が座ってる」

オルガ団長とキースが頷いた。

「なんというか……芯が通ってるな。サフィは。相手が誰だろうとブレない」
「だな。ギルドのいかつい連中もしょっちゅうサフィに叱られてるぞ」

「ははは!俺たちも叱られちまったようなもんだ」

ここでリアム団長は陸軍のみんなを振り返り、目で合図した。

「王国のみなさん」

ザザッと整列。

「聖女をお救いください。我々は静観しすぎた。今こそ我々は国を守るという本来の仕事を全う致します! 軍も持っている情報は全て開示いたします。帝国にどうかお力をお貸しください」

軍隊全員が一斉に俺たちに頭を下げる。

お兄様が俺をちらりと見てほほ笑んだ。

「頭を上げてください。いいでしょう。我々は聖女を救います。そこからどうすべきか、相談しましょう」





ここで、王様の結婚にまつわる裏情報がもたらされた。
それは……意外なものだった。
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