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聖女を救え!
王様と側妃様
王城の中は、王国の王城と違って要塞っていう感じ。
いくつもの頑丈な扉があり、その扉ごとに警護がいる。
王城に入ってから広間に到着するまで、俺たちはなんと、3つも巨大な扉を開けてもらったのだった。
「なんか……厳重警備って感じだね」
ほええ、と驚く俺にお兄様が教えてくれた。
「王国は魔法が主体だからね。王城には結界という見えない扉があるんだよ。帝国は、魔法はあまり使わないからね。物理的に敵や襲撃を防ぐ構造となっているんだよ」
そうか。うちは確かにいろいろな形の結界が普及している。貴族は自分でやれる人もいれば、魔塔に依頼したり、魔道具を使ったり。なにかしらの方法で屋敷を守っていた。
それを具体的に形にしたらこうなるのかもしれない。敵が攻めてきてもこれだけ扉があればかなりの時間が稼げるもんね。
通りながら、さりげなあく警護の人とか騎士の人とかに「こんにちはー」と強引に握手してみた。みんな一瞬びっくりした後、それでもにっこりして握手してくれた。
大丈夫だろうなって思ってはいたんだけど、やっぱりビリリってしたり弾かれたりしなかった。俺たちへの害意はないみたい。ナージャの国の人だもん。あんまり敵にはしたくないもんね。
お兄様は「危ないことはしないでね?」と心配顔だけど、ゲイルは「俺の息子は優秀だな」ってほめてくれた。俺がちゃんとしたたかに人を見極めて行動してること知ってるからね。親しくない人とか、初めてあった人とか、これでもちゃんと人を見ているのです。
悪い人かどうかはなんとなくわかるの。これは具体的にどうとか説明はできないんだけど。ゲイルもおんなじみたいで、なんとなくわかるらしい。聖女の力かどうかは不明。俺はサフィール家の遺伝かなって思ってる。
お兄様もそれは分かってるはずなのに、それでも心配なんだって。そういうときのお兄様の目はなんだかどきどきする。
いくつもの扉をくぐり、ようやく広間に。
ナージャを先頭に、ゲイルとお兄様。その後ろに、オルガ団長、俺、リオ、キースの順で進む。
俺たちの後ろにはフィガロ団長とリアム団長がさりげなあく付き、背後を守ってくれている。
広間の両サイドにはたくさんの貴族。
そして正面の椅子に王様、その隣の王妃様の席は空席に、王様の反対側、少し下がった席に側妃らしき女性がいた。
俺は思わずつぶやいた。
「ぴ、ぴんく!」
慌ててお口にチャック。だってだって!あの主役とみせかけて悪いご令嬢の定番、ピンクの髪なんだもの!
俺はもうガン見状態。あのピンクから目が離せないっ!
いかにもなピンクの髪をグルングルんに巻いている。まるでピンクのカタツムリ!
ドレスのお胸はあららあれれなくらいにオープン!王国の上品できれいでお姫様みたいな王妃さまとは全然違う!
一言でいってしまおう。
下品! 品格とか品性とか感じられません。キャバクラとかにいそうなギャルでございます!
俺の頭の中でピーポーピーポーと危険サイレンがけたたましく鳴り響きました。
この人、間違いなく敵です!俺たちに害意があるかは別として。良くない人!
王様はといえば、元は精悍だったんだろうなあ、という感じ。大きくがっしりとしたお身体は、全盛期に戦場にあればとても頼もしかったに違いない。でも、目がダメ。死んじゃってる。
なんだかもうあきらめたみたいになってて、光がない。
でも、ナージャを見た瞬間、その目にちょっとだけ光がともり優しくなったのを俺は見逃さなかった。
「父上。王国の皆様をお連れしました」
ナージャの紹介で王が立ち上がる。
「ようこそお越しくださった。私は帝国の王、カージャ・ベルクリフト。帝国はそなたたちを歓迎しよう」
お兄様が胸に手を当て腰を折る。
「歓迎痛み入ります。私は王国の第一王子、レオンハルト・フリューゲルと申します。ナージャ殿下とは私の婚約者の紹介で知り合いました。殿下のお話をお聞きし、ぜひ帝国の素晴らしい技術を拝見したいと無理を申しました次第。快くお受けいただき感謝いたします。これをきっかけに、帝国と王国との関係が良好になることを期待しております」
んん?!婚約者?誰?!エアー婚約者がいきなり登場しましたよ!
王国勢が内心驚愕している間にもお兄様の紹介は続く。
「こちらは私の健康管理のために同行させた、ゲルリアス・グリフィス伯爵。伯爵は最高ランクのヒーラーであると同時に薬学に通じた医師でもあります」
「帝国の王にご挨拶申し上げます。私はゲルリアス・グリフィス。ヒールを使った治療はもちろん、薬学も学び医師としても修練を積んでまいりました。今回は殿下の旅行中の健康管理のため同行させて頂きました。皆様のお役に立てることがございましたら、ぜひお声がけくださいませ」
ゲイルが丁寧な礼をし、ニコリとほほ笑んだ。とたん、周りの目の色が変わる。ピンク頭なんて絶対にゲイルをロックオンしてる!俺は有象無象からお父様を守ることを心に誓った。
「その後ろは、王国騎士団団長、オルガ」
オルガ団長が礼。
「勇猛果敢で知られる帝国の軍。ぜひ訓練をご一緒させていただければと存じます」
「うむ。許そう。そちの活躍は私も聞き及んでおる。わが軍を鍛えてやって欲しい」
「は!ありがたきお言葉!」
よし。次は俺の番!気を引き締めてしっかりご挨拶するぞおおお!
いくつもの頑丈な扉があり、その扉ごとに警護がいる。
王城に入ってから広間に到着するまで、俺たちはなんと、3つも巨大な扉を開けてもらったのだった。
「なんか……厳重警備って感じだね」
ほええ、と驚く俺にお兄様が教えてくれた。
「王国は魔法が主体だからね。王城には結界という見えない扉があるんだよ。帝国は、魔法はあまり使わないからね。物理的に敵や襲撃を防ぐ構造となっているんだよ」
そうか。うちは確かにいろいろな形の結界が普及している。貴族は自分でやれる人もいれば、魔塔に依頼したり、魔道具を使ったり。なにかしらの方法で屋敷を守っていた。
それを具体的に形にしたらこうなるのかもしれない。敵が攻めてきてもこれだけ扉があればかなりの時間が稼げるもんね。
通りながら、さりげなあく警護の人とか騎士の人とかに「こんにちはー」と強引に握手してみた。みんな一瞬びっくりした後、それでもにっこりして握手してくれた。
大丈夫だろうなって思ってはいたんだけど、やっぱりビリリってしたり弾かれたりしなかった。俺たちへの害意はないみたい。ナージャの国の人だもん。あんまり敵にはしたくないもんね。
お兄様は「危ないことはしないでね?」と心配顔だけど、ゲイルは「俺の息子は優秀だな」ってほめてくれた。俺がちゃんとしたたかに人を見極めて行動してること知ってるからね。親しくない人とか、初めてあった人とか、これでもちゃんと人を見ているのです。
悪い人かどうかはなんとなくわかるの。これは具体的にどうとか説明はできないんだけど。ゲイルもおんなじみたいで、なんとなくわかるらしい。聖女の力かどうかは不明。俺はサフィール家の遺伝かなって思ってる。
お兄様もそれは分かってるはずなのに、それでも心配なんだって。そういうときのお兄様の目はなんだかどきどきする。
いくつもの扉をくぐり、ようやく広間に。
ナージャを先頭に、ゲイルとお兄様。その後ろに、オルガ団長、俺、リオ、キースの順で進む。
俺たちの後ろにはフィガロ団長とリアム団長がさりげなあく付き、背後を守ってくれている。
広間の両サイドにはたくさんの貴族。
そして正面の椅子に王様、その隣の王妃様の席は空席に、王様の反対側、少し下がった席に側妃らしき女性がいた。
俺は思わずつぶやいた。
「ぴ、ぴんく!」
慌ててお口にチャック。だってだって!あの主役とみせかけて悪いご令嬢の定番、ピンクの髪なんだもの!
俺はもうガン見状態。あのピンクから目が離せないっ!
いかにもなピンクの髪をグルングルんに巻いている。まるでピンクのカタツムリ!
ドレスのお胸はあららあれれなくらいにオープン!王国の上品できれいでお姫様みたいな王妃さまとは全然違う!
一言でいってしまおう。
下品! 品格とか品性とか感じられません。キャバクラとかにいそうなギャルでございます!
俺の頭の中でピーポーピーポーと危険サイレンがけたたましく鳴り響きました。
この人、間違いなく敵です!俺たちに害意があるかは別として。良くない人!
王様はといえば、元は精悍だったんだろうなあ、という感じ。大きくがっしりとしたお身体は、全盛期に戦場にあればとても頼もしかったに違いない。でも、目がダメ。死んじゃってる。
なんだかもうあきらめたみたいになってて、光がない。
でも、ナージャを見た瞬間、その目にちょっとだけ光がともり優しくなったのを俺は見逃さなかった。
「父上。王国の皆様をお連れしました」
ナージャの紹介で王が立ち上がる。
「ようこそお越しくださった。私は帝国の王、カージャ・ベルクリフト。帝国はそなたたちを歓迎しよう」
お兄様が胸に手を当て腰を折る。
「歓迎痛み入ります。私は王国の第一王子、レオンハルト・フリューゲルと申します。ナージャ殿下とは私の婚約者の紹介で知り合いました。殿下のお話をお聞きし、ぜひ帝国の素晴らしい技術を拝見したいと無理を申しました次第。快くお受けいただき感謝いたします。これをきっかけに、帝国と王国との関係が良好になることを期待しております」
んん?!婚約者?誰?!エアー婚約者がいきなり登場しましたよ!
王国勢が内心驚愕している間にもお兄様の紹介は続く。
「こちらは私の健康管理のために同行させた、ゲルリアス・グリフィス伯爵。伯爵は最高ランクのヒーラーであると同時に薬学に通じた医師でもあります」
「帝国の王にご挨拶申し上げます。私はゲルリアス・グリフィス。ヒールを使った治療はもちろん、薬学も学び医師としても修練を積んでまいりました。今回は殿下の旅行中の健康管理のため同行させて頂きました。皆様のお役に立てることがございましたら、ぜひお声がけくださいませ」
ゲイルが丁寧な礼をし、ニコリとほほ笑んだ。とたん、周りの目の色が変わる。ピンク頭なんて絶対にゲイルをロックオンしてる!俺は有象無象からお父様を守ることを心に誓った。
「その後ろは、王国騎士団団長、オルガ」
オルガ団長が礼。
「勇猛果敢で知られる帝国の軍。ぜひ訓練をご一緒させていただければと存じます」
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