もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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聖女を救え!

聖女救出への第一関門、突破!

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王様が口を開こうとした瞬間、宰相が最後のあがきでこんなことを言い出した。

「陛下!子供の戯言に惑わされてはなりません!聖女様はただでさえ病でお疲れなのです。これ以上ご負担を与えるわけには参りません。どうか正しいご判断を!」

言いながら「余計なことを」と言わんばかりに俺たちをジロリと睨む。

「グリフィス伯爵のお申し出は有難いのですが、他国のあなた方にそのような責を負わせるわけには参りません。お気持ちだけ長大いたします」

何かあれば責任を問うぞ、それが嫌なら黙って引き下がれこのよそ者が、ですな。うむ。
完全に俺たちを敵としてロックオン。今握手したらさぞかしバチバチってなることでしょう。

しかし俺を舐めてもらっては困る!それで引き下がるくらいならわざわざここに来てないのですよ!ふんす!
俺は善意の塊であることを無邪気に主張してやった。

「宰相さまはお優しいのですね。お気遣い頂きありがとうございます。でも大丈夫です!大切な友人のためですから!友人を見捨てるような情けない男になりたくないのです。どうかお任せください」

すると今度は側妃様。

「まあああ!なんというお優しい息子さんなのでしょう。幼いのに立派ですね。でも……もし聖女になにかあれば治療をされた方が責を問われるのですよ?ゲルリアス様、私はあなたが心配なのです」

大げさに目元をそっとぬぐうふりまでして、上目遣い。さりげなく名前呼びするあたり、あざとい。
でも当然ながら俺のお父様には効果なっしんぐ!

「お美しい側妃様にご心配頂き、感無量です。そのような方のいらっしゃる国だからこそ、私も力をお貸ししようと思うのです。どうか……このゲイルの力を信じてはいただけないでしょうか?」

切ないまなざし見つめられた側妃様。ぼおおっとゲイルから視線を離せぬまま、無意識のうちに頷いた。
その美貌で側妃様を頷かせる力業!す、すごい!

「ありがとうございます、側妃様。陛下、側妃様のご信頼に、このゲイル、必ずお応えいたします!どうぞお任せくださいませ!」

側妃の許可をとったとすぐさま王の言質もとりにかかるゲイル。速きこと風のごとし!さすがお父様!
ここまでくれば王様も頷くだけだ。

「うむ。側妃が許したのだ。私もそなたを信じよう。……どうか、正妃を頼む」

最後の言葉には隠し切れぬ願いがこもっていた。よし、託された!



脳みそピンクになっている側妃はおいておいて、ギリイと歯をかみしめている宰相にちとやっておきましょうか。

「あああ!宰相さま、危ないっ!!」

俺は急に大声を上げ宰相を指さすと、宰相のすぐそばにミニミニのファイアボルトをどっかーん!
ファイアボルトは壁にプスプスー、と跡を残した。

「な、な、な……!!!!」

真っ青になって立ち尽くす宰相に、俺は真剣な様子で訴える。

「驚かせてしまってすみません。危なかったですね、宰相様!どこから入り込んだのでしょう。毒虫が宰相様を狙っておりました!もう安心です!でも…………とっさのことで壁が…………」
「と、とっさのこと?!私は殺されるところだったのだぞ!」

髪を振り乱してがくがくブルブルの宰相に、俺は意味を取り違えたふりで最大級の笑顔を向けた。

「そうなんです!毒虫に殺されるところでした!お助けできてよかった!」

ここでお兄様がそれらしく俺をたしなめる。

「サフィ。我が国でなら良いが、こちらで急に魔法を使ってはいけないよ?皆様を驚かせてしまうだろう?」

「あ!…………申し訳ございません。我が国では日常のことなので……つい……」

悄然としてみせる俺の背に、お兄様がそっと触れた。大丈夫だよ、とでもいうように。

「私からもお詫び申し上げます。私の婚約者が大変申し訳ございません。実は、彼の親族は毒虫の毒で他界しておりまして……。どうも毒虫には敏感になってしまっているようです。壁の修理代は私にご請求ください」

これでトラウマから思わず敏感に反応してしまったかわいそうな過去を持つ子供と、そんな婚約者をかばう王子という麗しき絵の完成である。
俺のアドリブにもいい感じのアドリブでついてきてくれるお兄様。さすが!

「よ……よい。悪気はなかったのだ。今回に限り許そう。だが今後は気を付けるように。我が国は魔法に慣れておらぬでな。方法はどうあれ、結果として毒虫から救われたのだ。宰相もそれでよいな?」

おお。王様も味方してくれた!よきよき!
俺はすかさずしょんぼり&俺ツエエアピール。

「申し訳ございません。とっさのことで……最小限に絞ったのですが……」
「あれが最小限なの?!一瞬で壁を焼いたのに?うそでしょ?!」

思わず素が出てしまった側妃に、ゲイルが困ったような笑みを向ける。

「息子の魔法は強力でしてね。最大だと……下手をすれば一瞬で街をひとつ破壊してしまいます。最小に絞ってもあの程度なのです。申し訳ない……」

帝国の誰もが言葉を失い、青い顔で冷や汗を流している。

お兄様がニコリ。宰相と側妃に向かってこう言った。

「我々王国は帝国と友好関係にありますので。この力も、帝国に仇すものではございません。我々は力強い盾となりましょう」

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