もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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一路王国へ!

帰り道は早いってホント?



仲良くなった街の人や、お城の人、ナージャたちと陸軍さんにお土産をいっぱい貰って、さようなら帝国!
一週間に満たない滞在だったけど、ものすごく濃厚な時間だった。
もちろん早期解決を目指したのもあるけど、思った以上に帝国のみんなが協力してくれたからだと思う。
なんかいつの間にか俺のいつメンいつものメンバー枠に入っていた団長さんたちともお別れ。
まあ、海軍は送ってくれるから実際にお別れなのかリアム団長だけになるんだけどね。

ナージャたちとのお別れも、みんなとのお別れもちょっと寂しい。

だけど、帝国の未来も明るくなったはずだし、王国にも意気揚々と成果を持って凱旋できるんだから、これはいいお別れ。前向きなお別れだもんね。
泣かないで笑おう。

「ナージャ、本当に良かったね。俺たちは帰るけど、なにかあったら連絡して。俺も連絡するから。もうナージャと俺はお友達。お友達は助け合うものだからね」

「サフィ、本当にありがとう。サフィと出会えてよかった。友達だと言ってくれてうれしいよ。今のところ私のほうが助けられっぱなしだけどね。サフィが困ったときは必ず力になると約束する。また会おう、サフィ」

笑顔でハグ。
さよなら、帝国。またいつかお会いしましょう!




帰路はまた海軍さんのお船。
お船もお部屋も、行くときと全く同じ。
勝手知ったる、なので俺は乗り込んだ早々に望遠鏡のところにすっ飛んでいった。
俺のお目当ては……イカ!あの大きなイカ!
王国に帰っちゃったらもう手に入らないもん。
クラーケンって食べたの初めてって言ったから、流通してないと思うの。
だから、なんとしても帰りに採ってお持ち帰りするのです!
魔物だし、向こうから俺には近寄れないはずだから。俺のほうが見つけて遠隔攻撃するしかないのです。
向こうにつくまで一週間。
珍しい魔物らしいから、一生懸命探さなきゃ!


「みなのしゅー!!あのイカをもっかい食べたくないかーーーー!!!」

「食べたーい!!」

「ならば、探すでござる!みなでクラーケンを探すべし!見つけてくれたらドッカーンしますのでね!
なるべく今回は2匹はゲットしたいの。バーベキュー用とお持ち帰り用。
ですので、しっかりと探してくださいましね!お頼み申しまする!」

「オマエらー!サフィがいる時しかクラーケンなんで食えねえぞーっ!全力で見つけ出せ!
仕事なんてほっとけ!船は俺が動かしてやる!お前らはイカ探しだ!いいかーっ!」

「だ、団長さん、かっちょえー!!『船は俺が動かしてやる』っての、リーダーって感じっ!!」

「いや、リーダーだっての!とにかく、あんな怪物を採れるのも加工できるのもサフィくらいだからな。頼むぞ!」

「がってんしょーちのすけ!見つけてさえくれたら、ドッカーンするです!」

「がってん……しょうちのすけ……?どういう意味だ?」

「りょーかーい、ってこと!団長も使っていいよ」

せっかく許可してあげたのに、気持ちだけもらっとく、と断られてしまった。
なんかカッコいい言葉なのに。




というわけで、行きで大イカのとりことなってしまった皆が、お船の上をウロチョロウロチョロ。
あちこちで海を見つめてはため息をついておりまする。

「……なかなかでねえなあ……」
「てか、普通は会いたくねえって思うもんだろ?俺らおかしくね?」
「だな。サフィがいない時から死ぬかもしれねーしな」
「だからこそ、いるうちに狩っといて貰えば海も安全になるし俺らは美味いもんにありつける!一石二鳥ってやつだ!」
「なんとしても探そうぜ!」
「俺マストの上に昇るわ!遠くの方まで探せるだろ?」
「双眼鏡持ってくっから待ってろ!」

おやおや。素晴らしい連携!
美味いは正義!うまいもんは人にやる気を与えチームをひとつに致します。



こうして3日間探しに探し、中弛みし始めた4日めにそれは起こった。


「サフィ!サフィ!出た!出たぞーっ」

ブランコゆらゆらしてる俺に叫んだのはマストの上の船員さんだ。
俺は慌ててピョンと飛び降りた。

「待って待って!どっち?下からでも見えそう?」

「向かって斜め右手だ!船首からなら見えるかもしれん」

「りょーかい!」

ばびゅーんと急いで船首に向かう。
待ちに待ったイカ焼き!絶対に逃さぬっ!!

騒ぎを聞きつけてお兄様も出てきた。
ミカミカは厨房にすっ飛んでいったそうだ。
これはなんとしても捕らねば!

船首から双眼鏡でのぞけば、はたして…

「いたーーーっ!しかも…嘘でしょ⁈大イカと大タコが戦ってる!イカ焼き!たこ焼き!!!」







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