もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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ただいまーの学園生活

イカイカ大パニック

話は戻りまするが、待ちにまったお昼ごはん!
俺はこの時を待っていた!

いそいそと取り出したるは、マジックバッグ!
大容量のアレでございます!
おうちや王城でも配ったけど、なにしろ大漁も大漁だったからね!
まだまだ、まーだまーだたっくさーんあるのですよ!
ミルくんたちとギルドとかで配ってもまだまだある。
次にいつ狩れるかわかんないもん。
楽しみに保存しておくつもり。


とりあえずそれぞれに思い思いのランチを持ってテーブルに集まりましたらば。

「はい、みなさまごちゅーもく!
俺からのお土産でーっす!
大イカを狩ったので持ってまいりました!
ちゃんと調理済みだからね、すぐに食べられるよ!みんなで頂きましょー!」


大皿に乗せた焼きイカ、タコ焼きもどき、裂きイカをドンドンドン!と出せば、イカと醤油、ソースの子おばしい香りが一気に広がった。

「「「!!!な、なにこれ?!」」」

ドカンと出されたイカにみんなぎょぎょっと目を見張る。

「何って……言ったでしょ?イカだよ。大イカ!」

「いやいやいやいや!!常識的に考えてよ!
イカっていくら大きくたってこんなに分厚くないでしょ?!サイズおかしいよね?!」
「だね。切り身にしても……ここまでサイズはさすがに見たことが無いかな?」
「てか、デカいな?!はっきり言って、デカすぎ!イカの概念!」
「おいしそーっ!」

あんまりにも驚くもんだから、食堂にいるみんなの視線まで集まってしもうた。

「食べてみてよ、普通にイカだから!
あのね、大イカを狩ったの。クラーケンとかいうやつ!
行きに狩って食べてみたらすんごくおいしかったから、みんなにも食べて欲しいなって頑張って帰りに探したんだよ?
そしたらたまたま大群を見つけたんだよねー!ラッキーでござった!」

しーーーん。

この広い食堂が。さっきまであんなにざわついていた食堂が、嘘のように静まり返ってしまった。
既知。
この空気、既知である。
もしかしてこれ、後から怒られるパターン?

案の定、ミルくんが強張ったお顔で口を開いた。

「………あのさあ……聞き間違いかなと思うんだけど、いやいっそ聞き間違いであってほしいと思うんだけど、あんた今クラーケンって言った?」

なーんだ、そこか!食材が心配でしたか!
俺はにこにこと元気いっぱいで答えた。

「うん、クラーケン!
行きに獲ったのはイカなんだけど、帰りにはイカとタコが戦ってたから両方ゲットできたの!
超ラッキーだよね!俺ってば運がいいっ!
しかも5クラーケンも狩れたから、たくさんお肉が獲れたんだよ!」

えへへと笑えば「聞き間違いじゃなかった!!!」とミルくんが頭を抱えてしもうた。
心なしか青ざめたリースくんが震える声で言った。

「クラーケンって、あの伝説上の魔物、海の怪獣と言われているクラーケンであってる?
それとも、帝国にはそういう生き物がたくさんいたりしたのかな?」

「え?多分それ!珍しいみたい。
帝国の海軍さんも、見るの初めてだって言ってた!
運送業者とかは襲われたって記録があったみたいだけど。
海ならイカ食べたいなあって思ってたら、たまたま見つけちゃったんだよねー!
それで、せっかくだし狩ってみたの。
でもって食べてみたら最高のお味でしたのでね!
帝国の人も、お兄様たちも『美味しいね』って喜んでくれたんだよ!」

とたん、頭を抱えていたミルくんがガバリと顔をあげた。

「はあ?!レオンハルト殿下に食べさせたの?!
クラーケンを?!
アンタなにやってんの!」

「ええー⁉︎
ちゃんと味見してから出したし、大丈夫だよ? 
ゲイルだってオルガ団長だって、ミカミカもリオも食べたし。
特産にしてもいいくらいだねって、すんごく人気だったんだから!」

ミンミンコンビやリースくん、周りから
「伝説の怪獣を……特産……」
「あれ?クラーケンって食材だっけ?」
「クラーケン……嘘だろ……クラーケン食うのかよ……」
なんていう声がざわざわざわ。

そんなみんなにこの世の真理を教えてあげた。

「あのね。お肉はお肉ですよ?
イカが食べられるのならば、当然大きなイカも食べられるのです!
魔物とて味が良くて毒がないのならばとってもお得な食材。
大イカは最高の食材なのですよ!だって、1クラーケンでイカ400匹分くらいあるんだもん!」

「おおおーーー!!!」

何故か拍手が巻き起こった。

うんうん。食材としてのクラーケンの素晴らしさと無限の可能性、わかってくれたかね。よきよき。
ならば今回の旅の戦利品のご紹介といきましょー!
えへんと胸を張り、大イカ調理法のポイントの説明から。

「大イカを倒すときの注意は、後で調理しやすいようにと海への影響がないようにアイススピアを使うことです。
そのまま焼きたい場合は、トルネードで宙に浮かせてミニミニサンダーボルトで倒しながら焼いてしまうと一石二鳥です。
だけども、今回は味付けをしてから焼きたかったし、いろんな調理をしたかったからアイススピアしました」

何故か皆が一気にスン顔に。
説明が難しかったのだろうか?

まあ、いっか!ここからがメイン!

「では、ご紹介しましょー!左から、ファイヤーしてエアカッターしてバーベキューでジューシーに焼き上げた焼きイカ!
でもって次はタコをファイヤーしてぶつ切りにして出汁で溶いた粉と一緒にやいたタコ焼きもどき!こっちにはソースをかけてあります!ガツンと癖になるお味!俺はこれを作るために頑張りました!!
最後のこちら!これはエアカッターした大イカをタレに漬け込み煮込んだ後で、風魔法で乾かして作った裂きイカです!おつまみやおやつにどうぞ!」

説明をしているうちに、あんなにドンびいていたみんなの目がぎらぎらと輝きだし、じゅるりとよだれをすする音まで!
徐々に俺の周りにできていたまるで包囲網のような輪がどんどん小さくなってくる。
その視線のすべては3枚の大皿に……


俺は恐る恐る聞いてみた。

「あのー………も、もしかして、そこらへんのみなさまも欲しかったり……とか?」

「食べていいの⁈」
「欲しいって言ったら貰えたりするのでしょうか?!」
「伝説を口にできれば死んでもいい!!」
「この匂い、たまらーん!!」

一斉に前のめりでお返事が。


俺はため息をひとつ。
あーあ。
一年分くらいはあるかなって思ったんだけど。
しょうがないなあ。


「あのね、食堂の人に明日みんなも食べれるように提供してもらえるか聞いておく。
だから今日は我慢してね?
全員分配るお時間はないし、一応お断りしておかないと、先生とかオコかもですし」


わああああ!!
食堂が湧いた。大歓声だ。
イベント以外でこんなに盛り上がった学生を見たことがあるだろうか。いや、ない。
なんなら食堂の人も万歳している。

「みなさま、食いしん坊!」



明日の学園の特別メニューはイカ三昧でございます。




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