もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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学院生活 波瀾万丈⁈

王家の心が一つになった件

ドラゴンスレイヤーになるという俺の意志が固いことをようやく理解してくれたようだ。

「そ、そうか」
「が、頑張ってね、サフィちゃん」

おかあさまとハルトおじ様は、こくこくこくと頭を前に振ってくれた。

「お兄様はあんだーすたんしましたか?」

そう。お兄様だけは微妙なお顔で黙りこくっていらっしゃる。

「うーん。サフィの望みは理解できるんだけど、なんだか不穏な気配を感じてね?それと最初の話の始まりを考えると、素直に頷けないというか……」

気付かれましたか!
お兄様の言葉にハルトおじ様が首をかしげる。

「不穏とはどういうことだ?レオン」

「サフィちゃんが頑張ってドラゴンスレイヤーになりたいっていうお話でしょう?サフィちゃんならなれると思うわよ?」

うーん。そんなに素直に受け止めらえると逆に言いにくいのですが……でも、言うしかござらん!

「あのね。俺の自由になる時間は週末しかないのです。
おうちに帰ってからもゲイルとおしゃべりしてごはん食べたらバタンキューだし」

「バタンキュー」
「ばたんきゅー」
「……かわいすぎないか?」

今そこは問題じゃない!
こほん、と咳ばらいをして話をつづけた。


「それで、王城にお泊りをしていると冒険者のお仕事が進まないの。
あのね、このランクになると、次に進むための獲物がなかなか近くで見つからないのです。
そうなると、遠出したり野営したりしなきゃでしょ」

「野営ってキースとだよね?二人きり?」
「そりゃ二人のパーティーだもん」

何を今さら当たり前のことをいうておるのですか。

「うーん……野営する必要はないんじゃないかな?
ならば、私も同行しようか?それなりに魔法には自信があるよ?3人で探したほうが早いよね?」

「いやいやいや!お兄様は冒険者じゃないでしょお?」

「じゃあ、仮に野営をするとして、それでどういう話なのかな?」

お、お兄様、俺を抱っこしたまま俺のお腹の前で腕を組んでしもうた。これは!このポーズは!「ご機嫌斜め」「サフィを離すこと断固拒否」のポーズ!

「……だからね。えっとお……王城に来る時間がないなあって……」

「は?」

「えっとお……そのお……狩りに行くから王城にお泊りできないなあって……そういう……」

「「「それはダメ!!」」」

え?今、王家の皆様の声、かぶらなかった?

「だ、ダメですかのう?」

「「「ダメです!!」」」
「王妃きょうい……ごほん、いろいろお話するのを楽しみにしていたのよ?」

今、王妃何とかって聞こえなかった?気のせい?

「そもそも、他の男と二人きりでお泊りなんて認められないよね?」

「ええ?!今までだって野営してましたけど?!」

「それと今とでは違うでしょう?」

えええ?どう違うの?と言いたいがお兄様の目はすわっている。
笑顔なのに背後に鬼が見える。とても言い出せる感じではない。

「だ、だってね?狩りしなきゃランクを上げられないんですけれども?
ここに来ても特にやることないし、お茶飲んでおしゃべりしてるだけだもん。そりゃあお兄様とおかあさまやおじさまに会えるのは嬉しいけど、それがお仕事かっていうと違うでしょお?
冒険者は俺がやるべきお仕事ですのでね!
俺は大人になったので、時間が足りない以上、優先順位をつけなければと思うのですよ」

ここでお兄様が肩を落として大きくため息をついた。
俺の首に顔をうずめながら悲し気に呟く。

「そうか……そうだよね……。私はゲイルとは違う。お兄様と言ってくれても、サフィにとっては他人と同じ。優先順位は低いんだね……。私の優先順位の一番はサフィなのだけれど、仕方ない……」

「そうねえ……。私たちはサフィちゃんを心から愛しているの。だから本当は毎日でも会いたいわ。それを週末だけでなんとか耐えているのだけれど……」

「レオンもメアリーもわがままをいうでない。私だって寂しい。しかし、サフィの意志を優先してやろうではないか。それこそが真の愛情というものであろう」

「父上!」

「あなた!でも……!」

えええ……。週末のお泊りって、ここまでなるほどのものだっけ?
普通におしゃべりして、美味しいねってして、抱っこして、お兄様とおしゃべりして一緒に寝るだけなんだけど……。

うーん。

「あのね。俺だってみんなのこと大好きだよ?お兄様だって大好きですし、おかあさまだってママみたいだなって思っておりますし、ハルトおじさまだって、俺にはおじいさまいないから、おじいさまみたいだなって」

「おじいさま……。メアリーはママなのに、私はおじいさま……」

ハルトおじさまが言葉尻をひろって落ち込んでしもうた。

「だって、お父様はゲイルがおりますのでね。家族みたいに大好きってことなのです!」

慌てて弁明すれば「そ、そうだな。パパはゲイルがおるからな。単なるしんせき扱いの公爵よりもマシだろう!」と少し元気になった。良かった!

「それなら、なんとか時間をとって貰えないかしら?」

「うむ。生徒会というのは必ず必要なのかな?」

「うーん。俺も一応生徒会の会計ですし。実はね、お休みした間の課題がたくさんたまっててね?それを生徒会で教えてもらいながらやっておるのです。生徒会お休みしたいって相談したら、そういうことになったの」

「……なら、こういうのはどうだろうか?」

ようやくお兄様が口を開いた。

「私もこの国を継ぐ者として、魔物の生態を知っておくほうがいいだろう?
正式に『魔物討伐に同行させてほしい』という依頼をギルドに出させてもらう。それでサフィとキースの狩に同行させてもらうというのはどうだろう?」

「ええ?わざわざ依頼を出すの?」

「冒険者としてではなく、依頼主として同行させてもらえないか?これが唯一の妥協点だよ?これ以外は認められないかな」

「ええー………。じゃあ、キースに聞いてからでもいい?俺とキースのパーティーですのでね?」

「ちょっと待って?私たちは?」

「そうだぞ、レオン。レオンは会えるとして私たちはどうしたら良いのだ?」

「では、こうしましょう。私たちがグリフィス家に通えばよいのです。平日の食事を一緒に、というのはどうかな、サフィ」

「俺は別にいいけど。それもゲイルに聞いてみないと……」

「もちろん、ゲートで王城に食事に来てもいいんだよ?お茶の時間の代わりに食後にサフィの好きなデザートを用意させようか?」

「ゲイルに聞いてみる!!」




こうして、王城に通う代わりになぜか俺の冒険者活動にお兄様が同行する、平日王家のみなさんとゲイルと俺でお食事という訳の分からん自体になってしもうたのでござりました。

キースは呆れたように目をくるりと回し「心の狭い男だなあ!」とつぶやいておりました。
そしてゲイルは「こうなるような気がしたんだよなあ……。ああ、サフィのせいじゃないぞ?どうしようもねえ奴らだな!」と俺を抱っこ&すりすりした。

ほんと、困った人たちですよねえ!





※※※※※※※※


みなみなさま、いつもご拝読くださりましてありがとうございまするー!
初めて書いてみましたサフィちゃん。多くの皆様に読んでいただきとてもうれしいです。
コメントやイイネもとってもとっても嬉しく励みになっておりまする!
どうか来年も引き続きよろしくお願いいたします♡

皆さまよい新年をお迎えくださいませ。よい年となりますように!










ゲイルのスピンオフも昨日無事完結を迎えました。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/410813407/633909493

みんな幸せになる世界線のお話になります。よろしければぜひ!

そして来年からサフィちゃんと共に、新しいお話をスタートする予定です。
悪役令息が主人公となります。作者の仕様により、安定の幸せ&ほっこり&チートとなりますw
併せてご拝読いただけましたら嬉しいです♡
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