もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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学院生活 波瀾万丈⁈

キース、吠える

「レオン。口出しすんなよ?」

ゲイルの言葉にお兄様が苦虫を噛み潰したような表情で、でも頷いた。

「仕方ありません。負けるつもりはありませんが、キースにもチャンスは与えるべきでしょうから。」

「ゲイル、レオン、感謝する」

なんか3人の間で話がまとまったらしい。



キースが俺をひたと見つめた。

「サフィ」

え?俺?お兄様とお話しではなく?
自分を指差してお兄様とゲイルに目で問えば2人とも頷いた。

すっと俺の前に跪き、まるで忠実な騎士のように俺の手をとる。

「俺じゃダメか?俺はサフィが好きだ。サフィが大人になるまで見守るつもりだったが、そうも言っていられないらしい。
俺なら一緒に戦える。他国に旅に出てもいい。ダンジョンを攻略して回ろう。
これでも経営も得意なんだぜ?伯爵家を継ぐのなら、領地を繁栄させる力になろう。伯爵家の後継の伴侶となるのに俺の身分が足りないというのなら、サフィにふさわしい身分を取り戻してくる。
俺はサフィと共にありたい。家族を自分で選べると言ったろ?俺はサフィがいい。どうか俺を選んで欲しい」

あの大切な指輪をくれたときのように、キースは真心をさしだしてくれてる。

「キースの好きも、お兄様がいう好きと同じ好きなの?婚約とかしたい好き?」

「ああ。家族として、唯一の相棒としても好きだが、できれば…抱きしめてキスしたいと思う。そういう好きだ」

その瞳はいつもの包み込むような優しい目じゃなかった。
お兄様と同じ。大好きって熱が篭った目だ。

「キースからみたら、俺ってこどもじゃないの?」

この言葉にキースは困ったように肩をすくめた。

「サフィからだと俺もおじさんになるのか?」

「いや、おじさんの概念!キースはどうみてもイケメンなお兄さんでしょうが!世の中のおじさんに謝って!」

おかあさまとハルトおじ様が「おじさんの概念」と呟き、ブハッ、とゲイルとお兄様がふきだす声がする。
俺はビシッとゲイルとお兄様を指差した。

「キミたちも概念にあてはならない組!キースと同類だからね!」

「「「す、すまん?」」」

分かればよし!ふんすと息を吐けばキースが笑い出す。

「は、はは!なんの話をしてんだ俺ら!」

「キースはおじさんじゃないよって話?」

下を向いてクスクス笑っていたキースが「うん、ならいい」と顔を上げた。
真剣な眼が俺を射抜く。

「俺にとって、サフィはこどもじゃない。サフィという唯一無二の人だ。年齢じゃないんだよ。
で…サフィ?返事は?俺、プロポーズしたんだぜ?」

「……あのね。キースはすっごくカッコいいよ?月の化身かなってドキドキするくらい。絵本の王子様とか騎士みたい。
冒険者としても尊敬してるし、信頼してる。
キースといると安心するんだ。キースがいたら大丈夫だって思うの」

「それは……好きとは違う、ってことか?」

「キースはね、俺と似てるの。俺たち二人とも家族を捨てて自分で家族を選んだから。血のつながりだけが全てじゃないって知ってる。
俺にはキースの気持ちがわかる気がするし、キースにも俺の気持ちが分かるでしょ?だから一緒にいたら安心するの」

ふ、吐息を吐きキースが頬を緩めた。

「ああ。それは…分かる気がする」

「俺はゲイルやお兄様、ティガーやマリー、エリアスやおかあさま、ハルトおじ様、みんなに助けられて強くなった。あとは、元から魔力が多いチートなだけ。恵まれてたの」

「人望もサフィの力だと思うぜ?」

「えへへ。ありがと!
キースは助けられて大きくなった俺とは違うよね?今のキースの強さは、キースがひとりで掴み取ったものでしょ?
家族から離れてたったひとりで異国の地に来て、ひとりで身を立てた。冒険者として確固たる地位を築いた。全てキースが自分の力で掴み取ったものだよね。
俺はキースを尊敬する。その強さや信念、生き方に憧れる。俺が『こうなりたい』と思うのがキースなんだ!わかる?」

キースがため息をつき、バサリと前髪をかき上げる。

「尊敬とか憧れるって言葉は聞き飽きてるんだがなあ」

何かを察したのか苦い口調だった。

「だってしょうがないよ。カッコ良すぎるんだもん、キース。優しいし、包容力もあるし、かしこいし強い、おまけに美形なんてチートがすぎるでしょ!」

「はははは!ベタ褒めだな!で、振られるのか俺は?
でも…俺としてはそんなチートよりサフィの方がいいんだが?」

笑いながら、切なげに目を細め懇願するキース。


「俺、キースが大好きだよ?大切な家族だし、唯一の相棒だと思ってる。
だけどね、だから、ごめん。婚約はお兄様とする。
お兄様が他の子と婚約して、他の子を抱っこしたりちゅーしたりしたら嫌ですのでね?そしたら俺が婚約するしかないでしょお?」

とたん、キースとゲイルが「はあ?」とお兄様を見て、お兄様がなぜか両手を挙げて降参のポーズ。

「……ということだ」

「いや、どういうことなんだよ!」

「レオン…まさかそんな手でくるとは…」

じと目でお兄様を見る二人。うんうん、とおかあさまたちも頷く。
そんなみんなに必死で言い訳するお兄様。

「なりふり構っていられないんだ。それだけ私も必死なんだよ?」

「そう!そうなのです。
お兄様ってば、いつもは完璧王子様なのに、なんかちょっと必死でごねたり情けなくなるの!俺が居ないとすぐに闇落ちしちゃうし!
だから、俺がついててあげなきゃなのですよ。
キースはいつでもカッコいいから、大丈夫!キースは自慢の相棒なのです。
だけど、お兄様は俺がいなきゃだからねー。仕方ないのですよ」

「…………まさか、私が情けないから婚約してくれるのかな?」

お兄様、へにょりと眉を下げ情けないお顔。
ほーら、それですよそれ!

「そりゃそうでしょお。俺じゃない子にちゅーとかがダメだからもあるけど。お兄様には俺がついててあげなきゃだから」

「うーん。まさか『いつでもカッコいいから』って理由で振られるとは思わなかったぜ…」

「私も『ついててあげなきゃ』という理由だとは…。複雑な心境だ…」

「はーっはっは!レオン!『完璧な殿下』がサフィには情けねえな。うん。サフィの言う通りだ。
確かに闇落ちも困る。
…しょうがねえなあ婚約を許可してやる。
キースはいいか?」

「レオン。俺はサフィを守ると誓った。……サフィの護衛、サフィの家族、サフィの相棒として、俺はサフィの側にいる。これだけは譲らない。婚約しようが、サフィが王宮に入ろうが、俺をサフィの専属護衛にすると約束しろ。そうすれば……認めてやる」












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