もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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学院生活 波瀾万丈⁈

学院は大騒ぎ3

こんにちは。昨日からの怒涛の展開に、まだまだ頭がついていかない俺、サフィです。
ああ。空が青いなあ。
こんな日はルーダに乗ってお山を駆けたりとか、ゲイルと一緒にお庭でランチとか最高なんだけどなあ……。

「サフィ?」

そうだ。エリアスのところに顔を出すのもいいな。
あそこにはすっごくいい感じの湖があるんだもん。
釣りとかしちゃっても良くない?

「サフィ!?」

モフモフもたくさんいるから、ちょっとモフらせてもらおう。

「サ・フィ・イ!」

「うるさあああああい!!」

人が現実逃避してるっていうのに、誰?!

「ほう、授業中にいい度胸じゃないか。婚約したからと浮かれないようにな?
あ。婚約おめでとう。後日祝いを送るから楽しみにしててくれ。
で。とりあえずバケツ持って立つか?サフィ、やりたがっていただろ?」

にゅ、入学式で俺が言ったこと覚えてたああああ!

「えっとお、それは遅刻の罰ですのでえ……別にやりたいわけでは……」

「じゃあ、授業中にうわの空で教師に暴言を吐いた場合の罰はなにかな?」

「………デコピン?」

ぶふぉ、っとクラスメートが吹き出すのが聞こえる。
他人事だと思って!

「ほう!」

先生がシャキーンと指を出してニヤリと笑った。
それ!その指!まさか身体強化とかしちゃってないですか?!

「いくぞーーーー?」

「ひえ!」

俺は覚悟して目をぎゅうっとつぶった。
うううう!!痛くしないでええええ!!

ぎゅううううう。
ぎゅうううううううう。

あれ?

そろそろーっと目を開けたら、

パチン。

優しくおでこに指が触れた。

「ほへ?」

「ははは!これに懲りたらもうやらないようにな?
色々あって疲れているのはわかるが、きちんと授業は受けろ。いいか?」

「せ、せんせえええええ!!!オルフェウスせんせえええええ!!!」

なんか今日初めて励ましの言葉を駆けられた!
俺の先生に対する好感度はぎゅううんとあがりましたよおおお!

その後は一生懸命授業を受けた。
先生が時々俺の方をみて頷いてくれたので、超やる気がでたのである。
俺、頑張るからねっ!

時々ミントやミンツがぼおっとする俺の背中をつついてくれた。
ご協力感謝いたす!





でもって。
遂に来てしまいました。
入学してからこの時間をこんなにも憂鬱な気持ちで迎えたことがあっただろうか。
いや、ない。
俺の幸せハッピーなランチタイムがあああ!
憩いの時間がああああ!

今日はまるで時限爆弾。
何が仕掛けられているのかわからないハラハラドキドキタイムなのでありまするう。

「あのね、ミルくん。
俺、今日は学食はいいかなあ、なんてね?
テイクアウトしてお外に持ってきてくれたらうれしいなー?
お庭でランチとかとってもいい感じでは?」

なんとか辱めから逃れようとする俺。しかしミルくんは無情だった。

「往生際が悪いよ、サフィ。レオンハルト様がサフィのために用意してくれたんだよ?
あんなに気遣いしてくれる方はいないんだからね!
サフィ、すっごく大事にされてるんだから。どうしたって悪いことにはならないでしょ。
ほら、黙って学食に行くよ!」

左右からミンミンに腕を取られ、前門のミルくん、後門のリース。
俺はあーれーと連行されていったのでした。





こうして学食につけば、………あれ?ここ、学食だよね?
えええええ⁈

なんと、学食の入り口には大きなリボンと花があちこちに飾り付けられていた。
もちろん中にも花、花、花!
すんごくいい匂いもするううう!!

ぱっかーん、と俺たちのお口は空いた。

「俺、おかしくなっちゃった?なんか花がたくさんみえるんだけど……」
「いや、俺にも見える。………サフィのこと好きすぎじゃね、あの人……」
「はあ……。なんてロマンチックなの……」
「ここ、学食だよね?僕の勘違いということはないよね?」
「うん。確かに学食だよ、ここは。レオンハルト様……いくらなんでもやりすぎでしょこれ」

なんとなんと。そこはまるで結婚式場のごとく!
テーブルには真っ白なクロスが。
生徒たちが着席して俺たちの入場を待ち構えておりました!
嘘でしょ?!うそだって言って?!

しかも、奥の方に一段高い特別席みたいなのがあるんだけど!
もしかして、あれ俺の席じゃないよね?違うよね?!

スッとそこから立ち上がるのは……レオン!

「サフィ。待っていたよ?
サフィがお世話になっているみなにも報告をかねて感謝の気持ちを伝えたくてね。
色々準備させてもらったんだ。気に入った?」

逃げ出さないようにぎゅっとミルくんに握られていた手が、ミルくんからレオンにパスされた。
脳裏にあの音楽が大音響で流れる。
タタタターン タタタターン♪ 新郎新婦、ご入場……ではありません!!!

ちょっとおおお!ちょっとおおおおお!なんでこんな大事おおごとにしてくれちゃいましたのですか?!

みなさん、お式の参列者がごとく笑顔で、ハンカチ握りしめて拍手しない!
あんたら俺の親族かなにか⁈



言葉もなくお口をパクパクしている俺にかまわず、お兄様が俺の手をとりみんなにご挨拶。

「みな、今日は非公式にということでこのような形を取らせてもらった。
正式な公表と式典は後日になるから、そのように心得ていて欲しい。
昨日、私とサフィは婚約の約束をした。サフィラスは私レオンハルトの婚約者となった。
これまで温かく見守り応援してくれたみなに感謝をささげたい。ありがとう。
これからも私の婚約者をよろしく頼む。

簡単ではあるが、感謝の気持ちをこめて食事とデザートを用意させてもらった。
学院に相談し、14時までは自由にしていてよいと許可を得ている。
どうかゆっくりと楽しんでくれ」

わあああああ!!
拍手と歓声。

誰かが魔法を使ったのか、優しい風が巻き上げた花びらがまるで桜吹雪のようにひらひらと俺たちの周りを舞い踊る。
おなじみの優しいシェフさんたちまでにこにこと立ち上がって拍手してくれている。

いや、もうこれ、ほんとうに結婚式みたいになってますけど?
もうさあ。
ほんと、恥ずかしいしやめて欲しいかったんだけど。

こんな笑顔でお祝いされたら嬉しいしかないじゃん!!

レオンだって、昨日の今日でここまで準備するって大変だったよね。
こんなにしちゃうくらい、待っててくれたのかって。そんなに嬉しいんだねって思ったら。
じわり。じわり。

「……っ。婚約者とか……っまだ早いと思うけど…っだけど、レオンもみんなも、こんなにたくさんお祝いしてくれて……ほんとにありがとおっ!
みんな優しくって、大好きっ!俺、ここにきて、よかった!学院って最高っ!
あの、あの、これからもよろしくお願いいたしまするっ!!」

泣きそうなのを隠すためにガバリと頭を下げれば、口々に

「俺らもサフィちゃん大好きだぞー!」
「殿下と幸せになれよーっ!!」
「殿下あああっ!サ、サフィちゃんをっサフィちゃんをっよろしくおねがいしますううう」
「わたしたちみいんな、応援してるわよおおお」

祝いやら激励やらの言葉をくれたのでした。

俺はきゅっとレオンの服を掴む。
どうしてもどうしても伝えたくて。

「サフィ?どうしたの?」

「あのね、あのね。公表とかイヤっていってごめんなさい。こんなにしてくれて、ありがとう」

小さな声で呟けば、レオンはすごく素敵な笑顔でほほ笑んだ。

「「「「きゃああああああ!!!」」」」

とたん聞こえたピンクの、一部野太い歓声。
地響きのようなそれに、俺の涙はひゅんっと一瞬でひっこんだのでした。



レオンはお仕事があるからと名残惜しそうに帰っていった。

とたん、ミルくんたちがわあっと俺のところに戻ってきた。

「サフィ、サフィ!みて!すっごいよ!」
「これってもうケーキバイキングじゃない?女の子の夢そのものよっ!」

レオンが用意してくれたのはケーキだけじゃあなかった。
会場には、お肉ゾーン、サンドイッチなどの軽食ゾーン、そしてケーキバイキングゾーンが作られていたのだ。
ケーキゾーンにはもちろんあの魅惑のアップルパイ!

「ふわあああああ!!アップルパイ!!あれ!あれがそうなの!!
クマさんのアップルパイいいいいい!!」

みんなの手を掴んで一目散!

俺がアップルパイにすっ飛んでいったからか、見ていたみんなもなぜか一斉にパイに向かって大移動!

「ちょ、ちょっとちょっと!他にもあるでしょおが!」

あまりの大行列に思わず叫べは、当たり前のようにこんな声が上がる。

「サフィちゃんが美味しいっていうものが一番うまいに決まってるだろ!」
「あのサフィちゃんが飛びつくパイよ?美味しいに決まってるじゃないの!」

食に対する俺への信頼度!!

「なんかその言い方!俺がくいしんぼうみたいでしょー!」

「くいしんぼでしょ。いまさらなに言ってんの。
いつもみんなから餌付けされてるでしょ」

ミ、ミルくん!なんてことを!

「だよなあ。飯時になると腹をぐうぐういわせてすっ飛んでくくせに!」

ミンツ!




レオンがパイだけは特に多めに用意させてくれてたので、とりあえずみんな無事にアップルパイをゲットできた。
レオン有能すぎる!

ご機嫌でもぐもぐしている間、次々にみんながテーブルに来て「急だったから、とりあえずこれあげる。おめでとう」と言っていろいろなお菓子を置いて行った。
まるで祭壇だ。
みんな俺を詣でてお供えを置き、俺の頭をなでなでして去っていく。

横でミルくんが俺のマジックバッグにせっせとそれを詰めてくれている。
お手数おかけします。すまんねえ。

「そうおもうなら自分でやってよね!ほら!もぐもぐしてないで!」

「ええー?!だって俺のお祝いなのに?」

「そうだよ。サフィは主役なんだから食ってていいんじゃね?」

「僕はもうお腹いっぱいだから変わるよ」

リースがミルくんと交代してくれた。すまんのう。




次の授業で俺は先生に「どうした?あたまがもじゃもじゃだぞ?!」とびっくりされたのでございました。




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