もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺はA級になる!

辺境は凄かった

ミカミカとデレクさんの案内で邸の中へ。

ちなみにレオンにはサクッとヒールしてあげた。
想定外の面白さだったからヒールできるのすっかり忘れてた!ごめーん!
ご機嫌斜めなようですが、許して?


ミカミカのおうちは、邸というより小さな城だった。
頑強なコンクリート造りの分厚い壁に囲まれた要塞。それがミカミカのご実家。

さすが国境を守護するだけあって、騎士の数も多い。そして王城とかうちの騎士よりもムキムキしている。
あ!わかった!ちょっと帝国の陸軍とか海軍と近い感じなんだ!
だけど……どこか冒険者に近い雰囲気もある?

よし。聞いてみよう!

ミカミカの服をツンツン。

「ミカミカ。なんか辺境の騎士って、ムキムキマッチョ?マッチョしか入れなかったりする?
あと、騎士っていうより冒険者っぽい?」

「お!サフィ、気づいたか?
うちのヤツらは平民や訳ありが多いんだよ。色々な事情をかかえて辺境に流れ着いたってヤツもいる。
辺境ではやる気さえあればどんどん雇い入れる。年中人手不足だからな!
んで、ここで鍛え直すんだ」

その言葉に前にいた騎士さんがぶるりと身を震わせた。
デレクさんはニヤリ。

察し!

事情がある人はいいとして、ちょっとした問題児でもなんでも受け入れる。
その代わりそんな彼らが優秀な騎士になるよう屈強なマッチョ軍団がビシッとバジッと躾けてしまう訳ですな。脳筋マッチョ軍団による脳筋訓練はさぞ過酷を極めることだろう。
なんか……騎士さん、大変だったんだね。うん。




などと話していたら

「ミカーっ!!!」

ドドドドド、と大男が二人ものすごい勢いで駆けてくる。

「うわ!来やがった!」

ミカミカが嫌そうに小さく叫んだ。
男はみるみる近づき、挨拶する間もなくガッシーン!とミカをベアハグ!

ひえ!全力で!そんな!
ミリミリミリィ!そんな擬音が聞こえそう!
あわわわわわわ!

「い、いたたたたた!!兄貴!死ぬ!死ぬから!!」

「あ、あかんあかんあかーん!Deathです!ミカミカが死んでしまいまするー!!!」

俺は慌てて熊の腕にしがみついた。
足を突っ張りなんとかミカミカから腕を離させようと踏ん張る。

だが敵は強かった。

「ん?なんだこのちっこいのは?」

ガシイ!

もうひとりの方に両腕つかまれ、プラーンと捕獲されてしもうた。
ヤバい!

「た、たすけてキースっ!!」

食べられるうう!

「サフィッ!
貴様、サフィを離せっ!」

シュン!

キースは素早く熊の腕に手刀をかまし、あっという間に俺を取り戻す。

バクバクバクバク
ひい!焦ったあ!
心臓がすごいドキドキいってる。なんなのあの猛獣は!!

「私のサフィに何をする!ウリエル!無礼だぞ!!」

怒気をのせた声が空気を切り裂いた。
王者の覇気だ。

「!!レオンハルト殿下!!
ご一緒とは思いもよらず。大変失礼致しました!」
「申し訳ございません!」

熊、もとい、ウリエルがガバリと平伏した。
レオンすごい!猛獣つかいだ!

ミカミカが身体のあちこちを動かしながら苦笑。

「サフィ、ごめんな?助けてくれてありがとうな?あれさあ…俺の兄」

なんと!
この熊の兄弟はミカミカの兄上でござったか!

弟は大天使で兄は熊!


「それと……サフィ?助けを求めるならキースではなく私にでは?」

こ、こわ!
真っ黒黒レオンがご降臨!
前門の熊、後門のレオンである。

だって、こう言ったらアレだけど、キースのが強いじゃん!S級だもん!
レオンだって強いけど、くぐってきた修羅場の数が段違いでしょお?
そりゃとっさに「キース!」ってでちゃうよね?

………でも言ったらレオンぷんすかしそうだから言えない。
俺は思わずキースの腕をぎゅっと前に回し、なんとか少しでも隠れようと試みた。
助けてキース!

「……サフィ?何をしているのかな?こっちにおいで?」

ずもももも。
レオンから発せられるすさまじい圧に、キースがそっと離れた。
キースううう!!!

俺は恐ろしい魔王の元にすごすごと向かったのだった。




ただいま、来客用お部屋にてミカミカのお父様、辺境のドンこと辺境伯と熊二頭、いやお兄様たちにはじめましてのご挨拶中でございます。

レオンの腕の中で!

繰り返す。

レオンの腕の中で!!!

嘘でしょ⁈
俺、冒険者として依頼を受けて来ているというのに、レオンのお膝に抱っこで説明聞いてるんですけど⁈
誰か、突っ込んで!!
辺境諸君!当たり前の顔して受け入れるの、やめて⁈

キースとミカミカに「タスケテ」と口パクしたが、
キースは同情に満ちた表情で、ミカミカは申し訳なさそうに黙って首をふられた。
レオン最強説!

なんたる辱めでしょうか。
いや、だからこその罰⁈
レオン、なかなかの策士でいらっさる。
俺のダメージ80ですよ…


さて。新たに登場したるは親分、もとい辺境伯!
お髭もカッコよな細マッチョのイケおじ!若かりし頃はさぞかし美形だったことでしょう。
ミカミカのサラサラの銀髪と大天使は親分譲りなのですね、理解した!

この人からなぜ熊が二頭?
熊のルーツがなぞすぎる。
あと、その横の屈強な熊おじさんはどなたでしょうか?そちらのお方の方が熊の親分っぽいのですが…。

「依頼を受けて頂き感謝する。
殿下もご足労頂き申し訳ない。
あらためて、辺境伯のグリーズ・ブルームだ。
隣は妻のミリエル・ブルーム」

噴き出さなかった俺を褒めて欲しい。
妻!まさかの妻!
熊おじさんじゃなくて熊おばさんでしたか!!

レオンは知っていたようだが、俺と同じく初対面のキースも下を向いて唇を噛み締めている。
わかる、わかるよキース!


ミカミカ、父に似てよかったね。心からそれを祝いたい。

兄二人の熊の遺伝はお母様からだったようだ。
納得。だってめっちゃ強そう。
ベアハグされたら軽く背骨が逝っちゃいそう。

そんな妻を辺境伯は自慢げに愛おしそうに見つめている。らぶらぶ?らぶらぶなんですか?

ミカミカがこそっと教えてくれた。

「母さんはすげえ強くてな?親父の憧れなんだ。ベタ惚れってやつ?」

うむ!さすが「強さは正義」な辺境!
仲が良いようで何よりですな!




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