もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
288 / 506
俺とレオンの婚約式

レオンと婚約者のちゅう

しおりを挟む
ハルトお父様には「二週間のサフィ禁止」が言い渡された。
ゲイルだけじゃなくて、俺をなでなでも、抱っこも、会話も禁止。

言い渡された瞬間、ガガーン、と立ち尽くすハルトお父様。
てゆーがハルトお父様、って長くない?
これからずっと家族なんだから、ハルトお父様のことはゲイルと別にしてパパと呼ぶことにしよう。

パパは叫んだ。

「そんなああああ!嬉しかっただけなのだ!嬉しすぎてタガが外れてしまっただけなのにいいいい!!」

確かに、ずっと俺もゲイルもパパがゲイルにアレだなんて気づきもしなかったもん。
そういう意味ではちゃんと隠してたしわきまえてたよね。
それを想うと少し可哀そうかもしれない。
いや、何十年も隠してきたんでしょ?ちゅーくらい許してやってもよいのでは、とすら思ってしまう。
だってゲイルはすんばらしいから。好きになるのはしょうがないよ。
ちゃんと「ちゅーするね?」って言ってからしたらよかったのにねえ。

そう言ったらゲイルが「サフィ?!」と情けない声を出した。



ゆさゆさゆさゆさ。

「………レオン、ごめんね?」

ゆさゆさゆさゆさ。

「あのね、レオンも大好きだからね?」

ゆさゆさゆさゆさ。

「えっとお………レオン、大好きいいいいいい!」

チュッチュッチュ!
これでどうだ、の右ほっぺお鼻左ほっぺへの連続ちゅう!

「…………ゲイルじゃなくていいの?」

レオンがしゃべった!

「レオンがいいです!俺が婚約したいのはレオン!レオンが大好きですのでねっ!!」

ぎゅううううう!
いや、ほんとに申し訳なかったと思っている。
だからこんなに一生懸命ご機嫌をとっているわけで………。





そう。あのパパのまさかの暴走、お母様の腐バレかーらーのー、俺とゲイルの愛の劇場!
これにより、レオンはすっかり闇落ちしてしもうたのでございます。
あれにはさすがのキースも同情的だった。

「いやあ……あんだけ楽しみにして画策してあれだもんなあ。俺でもそうなるぜ……。
父親が義父に抱き着いて熱烈なキスをかましたあげく、婚約者と義父による愛の抱擁で終わる婚約式……。
いや、マジで悲惨。ありえねえ……」

被害者であり加害者になってしまったゲイルは「ハルトが俺の2メートル以内に入れない結界」を自分に張り、俺をレオンのお膝に置いて帰っていった。

「サフィ、レオンのとこに数日は泊ってやってレオンを復活させてくれ。学校には連絡しとくから。
いや……さすがに今回のレオンは不憫すぎる……」

と言い残して。

ゲイルは帰る前に、めずらしく「ありがとな」と公爵の肩をやさしくぽんぽんと叩いていった。
公爵がなんとかゲイルを助けようと奮闘したのに感動したようだ。
確かにあの阿鼻叫喚の中即座に動き、不敬をものともせず頑張ったのは賞賛に値する。
公爵もねぎらわれて嬉しそうに笑った。見たこともない無邪気な笑みだった。
それだけが今日の「ちょっとほっこり」シーン。




でもって俺はせっせとレオンのご機嫌取りというわけなのでござります。

レオンのお膝に乗っかってゆさゆさゆさゆさ。
今度は背中に乗っかってゆさゆさゆさゆさ。
必殺ちゅうの三連発でようやくレオンは再起動してくれたのでした。


ミカミカは「レオン、しばらく二人にしてやるよ。サフィ、レオンを頼むな?」と言いおいて部屋から出て行ったので、レオンのお部屋には俺とレオンだけ。
なので存分に甘えておくんなさいまし!

「えっとねえ、何かしてほしいことある?なでなでする?ほっぺすりすりする?」

なんとか元気を出してもらおうと、大人気のサフィちゃんケアを提案するも、フルフルと首を振られる。
でもって、ちょんちょん、と唇をつつかれた。

「?うるさかった?」

「サフィから私のお口にキスしてくれる?」

「はにゃ?」

え?レオン、今なんとおっしゃられました?

「あのね、私たちはもう正式に婚約者になったんだよ?
だから、サフィから私のお口にキスしてくれる?」

「ななななな、なぬーーーーーー!!!!
そそそそそれってば、みせいねんいんこー!アウトではござりませぬかっ?」

あわわわと真っ赤になって抗議する俺に、レオンは当然のようにこう言った。

「?婚約者がキスをするのは当たり前だよね?
だって、普通のお友達はキスしないでしょう?
それとも……やはりサフィは私と婚約するのは嫌だったのかな?ゲイルのほうが……」

「ゲイルはお父様ですし!!」

「なら、私からしてもいいかな?……私からだと、ちょっと大人なキスになるけど、いい?」

俺の背をしっかりと抱きしめたまま、レオンのお顔が近づいてきた。
逃げ道をふさがれ、思わずぎゅむっと目をつぶる。

ちゅ。
ちゅ。
ちゅ。

数回ついばむようなキスを唇に落とされた。
そのまま柔らかくはむ、はむ、と唇で唇とつままれる。

ひええええ!いったいいつこのキスは終わるの?!
前にしたときは「ちゅっ」て感じだったのに、これが、これが婚約者?!
心臓がびっくりするくらいバクバクと音を鳴らし、ピンチを訴えている。
息を止めるにも限界があるのだ。

なんとか息を吸おうと横を向くのだが、レオンはそれを許してくれない。
そのたびに俺の頬に添えた手できゅっと起動修正されてしまう。

「んーーーー!!」

し、し、し、しぬうううううう!!

ぷはあ、と大きくお口を開ければ。

にゅるん。

何かがお口に入ってきた。
え?なななな、なに?

そのにゅるんは縦横無尽に俺のお口の中を動き回る。
もももももしかしてもしかして、これは!レオンの舌!!TANGというやつでは?!
ひゃああああああ!うひゃあああああ!!!
な、なんかどっかおかしなところがあって、そこを舐められると「ひゅ」ってなるし!
なにこれなにこれええええ!!こんなの知らない!

息を吸いたいのに吐いた息すらレオンに吸われ、瀕死の俺。
するとレオンがまるで人工呼吸のように舌と一緒に息を吹き込んできた。
ふう、ふう、ふう。

肩で手俺の頭を支え、空いた方の手で俺のお耳をふにふにふに。

「……んっ!」

!!変な声!変な声でたあああああ!!!
もうやだあああああ!!!

ボッカーン

俺は酸欠と頭に血が上りすぎてそのまま気を失ってしもうたのでした。


しおりを挟む
感想 809

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした

おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。 真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。 ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。 「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」 「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」 「…今度は、ちゃんと言葉にするから」

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

勝手にしろと言ったのに、流刑地で愛人と子供たちと幸せスローライフを送ることに、なにか問題が?

赤羽夕夜
恋愛
アエノール・リンダークネッシュは新婚一日目にして、夫のエリオット・リンダークネッシュにより、リンダークネッシュ家の領地であり、滞在人の流刑地である孤島に送られることになる。 その理由が、平民の愛人であるエディットと真実の愛に満ちた生活を送る為。アエノールは二人の体裁を守る為に嫁に迎えられた駒に過ぎなかった。 ――それから10年後。アエノールのことも忘れ、愛人との幸せな日々を過ごしていたエリオットの元に、アエノールによる離婚状と慰謝料の請求の紙が送られてくる。 王室と裁判所が正式に受理したことを示す紋章。事態を把握するために、アエノールが暮らしている流刑地に向かうと。 絶海孤島だった流刑地は、ひとつの島として栄えていた。10年以上前は、たしかになにもない島だったはずなのに、いつの間にか一つの町を形成していて領主屋敷と呼ばれる建物も建てられていた。 エリオットが尋ねると、その庭園部分では、十年前、追い出したはずのアエノールと、愛する人と一緒になる為に婚約者を晒し者にして国王の怒りを買って流刑地に送られた悪役王子――エドが幼い子を抱いて幸せに笑い合う姿が――。 ※気が向いたら物語の補填となるような短めなお話を追加していこうかなと思うので、気長にお待ちいただければ幸いです。

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~

水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。 「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。 しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった! 「お前こそ俺の運命の番だ」 βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!? 勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。