もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺とレオンの婚約式

だ、だれ⁈

入ってきた面々を見て俺は首をかしげた。
リンドール一行の代表はダメ王子のはず…なんだけど…
先頭にいるの、だれ?!

ちょっと発光のエフェクトが見えるくらい、先頭の人物は美しかった。
伝説のエルフみたいにお耳の先っぽが少しだけ尖っているのがとってもキュート!もしかして本当にエルフだったりする⁈
サラッサラの銀のロングヘア、エメラルドの瞳(これは俺とお揃いみたい!)、泣きそうな感じに目をウルウルさせた儚気な美人さんだったのであります!

この人だれ?
もしかして先頭にいるのは浮気王子ではなく婚約者の方?

あれれ、とその後ろの人を見れば、こちらはまたタイプが違うキリリとした迫力美人。
スッキリしたドレス姿の女の人なのにこの言葉もどうかと思うけど、騎士!すんごく凛々しい騎士みたいな女性でございます!
となれば、こちらは婚約者の護衛?

そしてそのお隣はこれまたシブい迫力抜群、若いガンなダルフのような明らかに宰相さんって感じのオジ様。
これは間違えようもなく宰相さんでしょうな。

ん?あれ?浮気王子、いなくない?間違えて第一王女呼んじゃった?
みんなも同じように感じたらしく、さりげなーく頭の上に「?」を浮かべている。

ここで気を取り直したパパが「ごほん」と咳払い。なんとか動揺を押し隠してご挨拶。

「私は国王のブリュクハルトだ。ようこそ王国へ。王妃と共にそなたらを歓迎しよう」
「王妃のメアリーですわ。どうぞ式典までごゆるりとお過ごしくださいね」

すると先頭の儚気美人が胸に手を当て礼をとった。

「お初にお目にかかります。リンドール第一王子、メーゼン・リンドールと申します。
後は婚約者のセオドラ・ミールとその父であり宰相のガンダル・ミール。
ご招待頂き感謝いたします。レオンハルト殿下のご婚約をお祝い申し上げます」

嘘でしょーーーーーーー!!!
お、王子!この美人さんが浮気王子!!
繰り返す。こんな儚げな美少女が!浮気王子!!
てゆーか、あなたそんなことできるの?!
どちらかといえば襲われる方に見えるのですが?!

思わずご挨拶も忘れお口あんぐりでレオンの服の裾をツンツンと引っ張ってしもうた。
ねえ!ねえ!聞きました?この美人、浮気王子!

レオンも茫然自失だったみたいで、俺のツンツンでハッと覚醒。
同意を求めるツンツンだったんだけど、結果オーライ。

「あ、ああ。ありがとう。
私はレオンハルトだ。こちらは私の婚約者、サフィラス・グリフィス。
わざわざご足労頂き感謝する」

「はじめまして、サフィラスです。お会いできて光栄です」

ペコリと頭を下げたら、目が合ったセオドラさんがにこっと爽やかに微笑んでくれた。
い、いけめん!女の人だけど!




こうして一応のご挨拶が終わり、俺とレオンとで王城をご案内することに。
ていうか、情報収集でござります。
子供は警戒されにくいし、ちょっと油断してポロリと漏らしてもらえるかもだからね。
この美人さんがなんであんなことになったのか知りたい。これは個人的にも超気になる!!



浮気王子あらためメーゼン王子だが、意外や意外、噂からの想像と違ってなんだかとても大人しい人だった。
メーゼン王子、なんかいい匂いするし!オモテたんと違いすぎるううう!
想像では軽薄そうな頭お花畑王子を想像してたんだよね。もしくは偉そうで俺が一番って感じ。
でもそのどちらでもなく、なんなら守ってあげたいタイプ!

そうして婚約者のセオドラさんは、王子とは逆にとっても中身が男らしい人だった。
何を言っているのかと思うのでしょうが、なんかこの二人ってば並んで立つと「深層の姫君と姫を守る女騎士」みたい。
美人なのにカッコいい。

「俺のことはサフィと呼んでくださいませ。お友達のように気楽にお話頂けたら嬉しいです」

にこにこしながら話しかけてみたら、二人ともしゃがんで目線を合わせてくれた。やっぱり良い人!
子供と初めて話すときしゃがんでくれる人に悪い人はいないもんね。

「ありがとう。ではそうさせてもらうね?私のことは、ゼンと」

「私のことはセオとお呼びくださいませ。
ふふふ。レオンハルト殿下、とてもお可愛らしいご婚約者であらせられますね」

二人で優しく頭を撫でてくれる。
浮気のせいで二人の仲は険悪かと思ってたんだけど、息ピッタリ。しかも穏やかな空気で
とても喧嘩中のようには見えない。
普通に仲良しの婚約者みたいなんですが?!

レオンも、ようやく肩の力を抜いた。
悪人じゃないって認めたみたい。

「そうだろう?
私のサフィは可愛いだけではなくてね。とても賢くて強いのです。
貴族学院の首席でね、さらにはA級の冒険者でもあるのです」

「まあ!まだお若いのに!失礼ですけれどおいくつなのかしら?
たしか冒険者になれるのは10歳からのはずですが……」

「10歳です!登録の時から特例でC級だったの。それで、つい先日ドラゴンさん問題を解決したので、特別にA級になりもうした!」

「では、まだ半年足らずではありませんか!なんということ!素晴らしいわ!!」

セオが目をキラキラさせながら俺の両手を握った。

「魔物をどうやって倒したのですか?危険ではありませんの?
サフィは剣を遣うのかしら?それとも魔法?」

ものすごい食いつきである。

純粋に「冒険者」に興味を持っているだけだとわかるからか、レオンもヤキモチやかずになぜかドヤっている。
あれは「私のサフィはすごいだろう?」なお顔。

ところが一方で険しい表情になった人が。
そう、ガンダルおじさんである。

「………ドラゴン問題?と申しますと、具体的にどのようなものだったのですかな?
少しお話をお聞かせ願えますか?」

気付きましたね。そうそう。オタクらのドラゴンさんのことですよ。
レオンの目もきらりと光った。

「ああ。実は先日大変困ったことがありましてね。
我が国の辺境に他国から2頭ものアイスドラゴンが飛来したのです。
そしてもともと辺境を守護していたアイスドラゴンと縄張り争いになりましてね。
三つ巴で睨み合いとなってしまい、大変憂慮いたしました」

ここで一旦息を吐き、困ったように付け加える。

「実はそのうちの一頭はリンドールを、もう一頭はロンドを縄張りとしていたドラゴンなのです。
通常ドラゴンの個体はそれぞれに縄張りを持ち、そこに居着きます。それがなぜ突然二頭同時に我が国に飛来したのか。 
お心当たりはございませんか?」





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