305 / 538
俺とレオンの婚約式
サフィの計画
俺は詳しく説明することにした。
「リンドールが閉鎖的な国っていうのは知られておるでしょう?
独自の文化や風習を持つって聞いておるのですが、それは本当なのでしょうか?」
衝撃から立ち直った宰相さんが答えた。
「我が国は固有の文化があるのは確かです。
基本的に婚姻も他国の者とすることはございません」
「その理由って、種族に関することなのでは?」
俺の言葉にリンドール勢に緊張が走った。
「種族?どういう意味なんだい、サフィ?」
「言ってもいいですか?」
リンさんたちが目を見交わし決意したように頷く。
「もしかしてなんだけど、リンドールの皆様には妖精さんとか、もう絶滅したっていうエルフさんとかの血が流れておるのではありませぬか?」
「……まさか!サフィはどうしてそう思うの?」
レオンが驚いたように目を見開いた。
「第一に、そのお耳です。人族とは違いとがったお耳はエルフの特徴でしょう?
それとその美貌。あとは……勘です」
「「「「勘?!」」」」
全員の声が揃ってしまった。
リンドール勢はぽかんと可愛らしくお口を開けている。
俺は厳かに頷いた。
「うむ。勘でござります。
だって、空気?オーラ?がキレイなんだもん。
清浄な空気っていうかね?そういうのを感じるのです」
勘を侮ってはいけない。冒険者にとって最後は勘がモノをいうのだ。
根拠はあるけれどそれは説明できるようなものではない。
これまでの経験、知識、様々なものを総合的に瞬時に判断したものを「勘」と呼ぶのだと俺は思っている。
「…………いや、なんともはや。サフィラス様には参りましたな……。空気、ですか。
そうか、あなたには分かるのですな……」
俺の想像は当たっていた。リンドールの祖は森の民、エルフだったのだ。
元々リンドール自体が妖精やエルフと仲の良い国だったらしい。
人とエルフや妖精が混じり合い仲良く暮らしてきたのだ。
何代も重ねるうちに、エルフの血も薄れ、能力も今やほとんどないらしい。
それでもすでに絶滅してしまったエルフの血を絶やさぬよう、国を閉鎖して守ってきたのだという。
「エルフと言っても、ほとんど血は薄まってしまい、今や少し人より長命なだけ。
それでも多少は魔を寄せ付けぬ力がございます。それを狙う輩もおりますぬえ、外に漏れぬよう外交を拒んでおりました。
元より豊かな地ではございません。細々と暮らしておりますゆえ、他国に狙われることもございませんでした」
絶対に漏らしたくない秘密があればこそ、普通の国の「閉鎖的」よりも、いっそ「他国を拒絶してきた」っていうくらいの閉鎖っぷりだったということ。
そこに隣国ロンドが勢力を伸ばしだした。王国への賠償金であっぷあっぷしていたロンドは、なんとかリンドールから資金を得ようと画策。
それが今回の「訪問の強制」だったわけだ。
「ロンドはリンドールの文化とか風習とかに詳しいの?全く交流とかはなかったのですか?」
「はい。こういってはなんですが……ロンドはあまり親しくしたいと思うような国ではありませんからな」
だったらば、やはりこの作戦でいけると思う。
「あのね、リンドールの風習を捏造しましょう!
リンドールのゼン王子は女性!リンドールの王家は代々長子を性別関係なく『王子』として育てる文化がある、ということにしませんでしょか?」
「「「「はあ?!」」」
「女性だから、ロンドの王女に手を出すわけがない!傷ものにしようがない!
つまりすべてはロンドの策略であり言いがかりだっていうこと!」
あんだーすたん?
「方法といたしましてはね、まずは王国がリンロン問題をさりげなく持ち出して、ロンドから『王子に傷者にされた』って言わせるの。
そしたらゼンが『それはあり得ません』って言って『なぜなら私は女だからです』って。
証拠を出せって言われたら、第三者として王国が確認するということにして、王国王妃と別室に行く。
それで確認したふりして、王妃が『確かに女性でした』って宣言したらいいでしょ?」
これはゼンが妖精さんみたいだからできる作戦。
いくら俺だって、ゼンがナージャみたいだったらこんなとんでもないこと言わない。
「で、では私はどうなるのでしょう?」
婚約者さんが恐る恐る名乗りでる。
「うーん……男ですね」
失礼だとは思うが、セオさんはすこおし平らなお胸をしていらっしゃる。
それは……そう、鍛えられた騎士のお胸くらいの盛り上がり。
こう言っては何だが、「筋肉です!」で通るくらいの感じなのだ。
実際のところ、オルガ団長とどっこいどっこいだと思う。言わないけど。
言わなかった俺の言葉を視線から察し、レオンが渋い表情で首を振った。
理由は口にするなということだろう。
うむ。お胸のことはノータッチでまいります!
「セオさんはとっても美形で凛々しいから、きれいな騎士さんとかでいけると思いまする。
ほら、レオンの護衛のミカミカだって美人さんですしね?
それでも男ですし」
レオンの後ろに控えていた美形を思い出したのか、みなさま「ああ」というお顔になった。
良かった、ミカミカが居てくれて!ありがとう大天使様!!
幸い、お互いに睨み合いの時には戦いだからって婚約者さんも簡易的な鎧を身に纏っていたらしい。
ナイスですよ!セオさん!
ちなみに読み通りというか、セオさんは騎士でもあるそうな。幼い頃から王子を守るべく武術を磨いてきたらしい。
完璧じゃん!!
「でもって、ロンドがごちゃごちゃ言って来たら『姫にあらぬ疑いをかけ言いがかりをつけようとは言語道断!確認した王国の威信にかけて卑劣な行為は許さぬ!』して、ナージャの帝国勢に『なんと!そのような卑劣な行為、武人として許せぬ!帝国もリンドールの側につきますぞ!』してもらったらよき。
ロンドに『今後リンドールには関わりません』って書状書かせて、賠償金もらったらよきです」
最初は「なに言ってんだこいつ」って目をしていたみんなも、王妃様に確認してもらうっていうあたりから徐々に乗り気になってきた。
「……確かに。それはいけるかもしれません。王国の確認であれば、ロンドも何もいえますまい」
「ゼンの美貌なら女性だったと言われても説得力がありますしね」
「リンドールが閉鎖的な国っていうのは知られておるでしょう?
独自の文化や風習を持つって聞いておるのですが、それは本当なのでしょうか?」
衝撃から立ち直った宰相さんが答えた。
「我が国は固有の文化があるのは確かです。
基本的に婚姻も他国の者とすることはございません」
「その理由って、種族に関することなのでは?」
俺の言葉にリンドール勢に緊張が走った。
「種族?どういう意味なんだい、サフィ?」
「言ってもいいですか?」
リンさんたちが目を見交わし決意したように頷く。
「もしかしてなんだけど、リンドールの皆様には妖精さんとか、もう絶滅したっていうエルフさんとかの血が流れておるのではありませぬか?」
「……まさか!サフィはどうしてそう思うの?」
レオンが驚いたように目を見開いた。
「第一に、そのお耳です。人族とは違いとがったお耳はエルフの特徴でしょう?
それとその美貌。あとは……勘です」
「「「「勘?!」」」」
全員の声が揃ってしまった。
リンドール勢はぽかんと可愛らしくお口を開けている。
俺は厳かに頷いた。
「うむ。勘でござります。
だって、空気?オーラ?がキレイなんだもん。
清浄な空気っていうかね?そういうのを感じるのです」
勘を侮ってはいけない。冒険者にとって最後は勘がモノをいうのだ。
根拠はあるけれどそれは説明できるようなものではない。
これまでの経験、知識、様々なものを総合的に瞬時に判断したものを「勘」と呼ぶのだと俺は思っている。
「…………いや、なんともはや。サフィラス様には参りましたな……。空気、ですか。
そうか、あなたには分かるのですな……」
俺の想像は当たっていた。リンドールの祖は森の民、エルフだったのだ。
元々リンドール自体が妖精やエルフと仲の良い国だったらしい。
人とエルフや妖精が混じり合い仲良く暮らしてきたのだ。
何代も重ねるうちに、エルフの血も薄れ、能力も今やほとんどないらしい。
それでもすでに絶滅してしまったエルフの血を絶やさぬよう、国を閉鎖して守ってきたのだという。
「エルフと言っても、ほとんど血は薄まってしまい、今や少し人より長命なだけ。
それでも多少は魔を寄せ付けぬ力がございます。それを狙う輩もおりますぬえ、外に漏れぬよう外交を拒んでおりました。
元より豊かな地ではございません。細々と暮らしておりますゆえ、他国に狙われることもございませんでした」
絶対に漏らしたくない秘密があればこそ、普通の国の「閉鎖的」よりも、いっそ「他国を拒絶してきた」っていうくらいの閉鎖っぷりだったということ。
そこに隣国ロンドが勢力を伸ばしだした。王国への賠償金であっぷあっぷしていたロンドは、なんとかリンドールから資金を得ようと画策。
それが今回の「訪問の強制」だったわけだ。
「ロンドはリンドールの文化とか風習とかに詳しいの?全く交流とかはなかったのですか?」
「はい。こういってはなんですが……ロンドはあまり親しくしたいと思うような国ではありませんからな」
だったらば、やはりこの作戦でいけると思う。
「あのね、リンドールの風習を捏造しましょう!
リンドールのゼン王子は女性!リンドールの王家は代々長子を性別関係なく『王子』として育てる文化がある、ということにしませんでしょか?」
「「「「はあ?!」」」
「女性だから、ロンドの王女に手を出すわけがない!傷ものにしようがない!
つまりすべてはロンドの策略であり言いがかりだっていうこと!」
あんだーすたん?
「方法といたしましてはね、まずは王国がリンロン問題をさりげなく持ち出して、ロンドから『王子に傷者にされた』って言わせるの。
そしたらゼンが『それはあり得ません』って言って『なぜなら私は女だからです』って。
証拠を出せって言われたら、第三者として王国が確認するということにして、王国王妃と別室に行く。
それで確認したふりして、王妃が『確かに女性でした』って宣言したらいいでしょ?」
これはゼンが妖精さんみたいだからできる作戦。
いくら俺だって、ゼンがナージャみたいだったらこんなとんでもないこと言わない。
「で、では私はどうなるのでしょう?」
婚約者さんが恐る恐る名乗りでる。
「うーん……男ですね」
失礼だとは思うが、セオさんはすこおし平らなお胸をしていらっしゃる。
それは……そう、鍛えられた騎士のお胸くらいの盛り上がり。
こう言っては何だが、「筋肉です!」で通るくらいの感じなのだ。
実際のところ、オルガ団長とどっこいどっこいだと思う。言わないけど。
言わなかった俺の言葉を視線から察し、レオンが渋い表情で首を振った。
理由は口にするなということだろう。
うむ。お胸のことはノータッチでまいります!
「セオさんはとっても美形で凛々しいから、きれいな騎士さんとかでいけると思いまする。
ほら、レオンの護衛のミカミカだって美人さんですしね?
それでも男ですし」
レオンの後ろに控えていた美形を思い出したのか、みなさま「ああ」というお顔になった。
良かった、ミカミカが居てくれて!ありがとう大天使様!!
幸い、お互いに睨み合いの時には戦いだからって婚約者さんも簡易的な鎧を身に纏っていたらしい。
ナイスですよ!セオさん!
ちなみに読み通りというか、セオさんは騎士でもあるそうな。幼い頃から王子を守るべく武術を磨いてきたらしい。
完璧じゃん!!
「でもって、ロンドがごちゃごちゃ言って来たら『姫にあらぬ疑いをかけ言いがかりをつけようとは言語道断!確認した王国の威信にかけて卑劣な行為は許さぬ!』して、ナージャの帝国勢に『なんと!そのような卑劣な行為、武人として許せぬ!帝国もリンドールの側につきますぞ!』してもらったらよき。
ロンドに『今後リンドールには関わりません』って書状書かせて、賠償金もらったらよきです」
最初は「なに言ってんだこいつ」って目をしていたみんなも、王妃様に確認してもらうっていうあたりから徐々に乗り気になってきた。
「……確かに。それはいけるかもしれません。王国の確認であれば、ロンドも何もいえますまい」
「ゼンの美貌なら女性だったと言われても説得力がありますしね」
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。