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俺とレオンの婚約式
対決!ロンド2
「先ほどから何をおっしゃっているのですか?
失礼ですけれど、メーゼン殿下は王子ですのよ?男性なの。おかしなことを仰らないでくださいな」
ふむ。ビビには「察し」能力がないようでござるな。
「まさかご存じないのですか?リーゼンでは女性でも王位継承者を殿下と呼び王子として育てる風習があるそうなのですが……」
ええー!マジでえええええ?!なお顔でしれっと言うのがコツ。
先に言ってある帝国はおいておいて、何も知らない王国勢が「確かに、あのたおやかさで男性ということはありますまい」などと言いながらふむふむと騙されてくれた。
ここまでくればビビも宰相も「あれ?なんかヤバい?」と察したようだ。
「え?で、でもそのようなこと我が国にはなにも……」
そこにさりげなあくナージャが援護。
「私もそう聞いております。失礼ですが、たとえ『メーゼン王子』と言われていても、あの外見を見れば女性だとわかりそうなもの。なぜロンドの方はメーゼン殿下を男性だと思われたのでしょうか?」
めっちゃくちゃ強引な論理だよね。分かってる。「なぜ男性だと思われたのか」って、そんなの「王子は男性だから」に決まってるもんね。
でも、それはそれ。押し通しちゃったもん勝ち。大国である帝国まで認めたことで俄然俺の嘘の信憑性が増した。ナイスアシスト、ナージャ!
「だからこそリンドールに抗議する理由がよくわからないのです。メーゼン殿下が同性であるビビアン姫と共に過ごしただけですよね?何の責任を取れというのかなあって。まさか、ロンドでは王族とふたりで過ごしてはならぬという風習があるのでしょうか?
それとも……こんなことを言っていいのか分かりませんが、メーゼン殿下が男性だと嘘をついてこのような言いがかりを?」
「サフィ、言いすぎだよ?ロンドの方がたに失礼だろう?まさかそのような恥ずべきことをするはずがない。
ロンドはなにか勘違いしていただけだろう。それならば事情が分かって万事解決、だろう?」
ここで大人しく引けばいいのに、引いたら負けとでも思っているのかビビが食い下がった。
「いえ、皆様の方こそ騙されているのでは?王子が女性だなどと荒唐無稽な!それこそあり得ません!」
まあそうでしょうけれどもね。俺はこっそり舌を出した。
「女性だというのでしたら、証拠を見せてくださいまし!さすれば私も納得致します!」
この言葉でレオンが俺のお耳を押さえ、「未成年は耳を押さえるように」と言って口を開いた。
「最初に仰っていたことと矛盾してはおりませんか?姫は『傷者にされた』と仰いましたよね?
このようなことは言いたくはありませんでしたが、仕方ありません。
もし本当に殿下がそのような行為をされたと仰るのであれば、証拠を確認する必要もないはず。
証拠を出せと仰ること自体、その行為がなかったことの証明ではありませんか?」
「な……っ!!姫になんということを……!!」
宰相が真っ赤になって怒りもあらわに拳を振り上げた。
すかさずゲイルが叱責。
「不敬だぞ!ここをどこだと思っている!控えろ!」
その声に潜む迫力はさすがゲイルだ。
溢れる覇気に気おされて、屈辱にブルブルと震えながらも拳を下ろす宰相。
「…………申し訳ございません。しかし一方的にリンドールの話を信じるのは如何なものでしょうか?」
ここで打ち合わせ通りにお母様が声をあげた。
「あら。でしたら私が確認するというのはいかがかしら?
メーゼン殿下には申し訳ないけれど、同じ女性同士。
このままロンドの方に嘘つき呼ばわりされているよりも良いのではなくて?
第三者である王国の王妃たること私が確認するのであれば、文句はございませんでしょう?」
「そ、それならば確かに!」
「ええ!私は問題ございません。困るのはリンドールの方がたではないかしら?」
メーゼン殿下は一瞬ためらうそぶりを見せた。うん。なかなに演技達者でいらっしゃいますな。
そこでレオンがあえてのもう一声。
「ここで争いの元をはっきりさせてしまいましょう。これ以上両国の争いが続くのであれば、王国としても静観はできません。せっかくの機会です。殿下、よろしいですね?」
おお!レオン、カッコよ!王族の権威で押し切るポーズだね!
「さあ、では私と一緒にこちらに」
ナイスな親子コンビネーション。有無を言わさぬという体でお母様がゼンを連れてゆく。
通り過ぎながらロンドに見えないように俺にウインクして行った。お母様ったら!
それをどこか満足げに見送るロンド。
彼らはまだゼンが女のはずはないと信じているようだ。
騙すのは申し訳ないが、もともとはロンドがリンドールをだまし討ちしたことが原因。
俺は同じことをし返すだけ。しょうがないよね!
さあて、戻ってきた後、どんなお顔になるのかな?
ちょっと楽しみ!
なあんて余裕をかましておりましたらば、ゲイルが口ぱくで「あとでせつめいしろよ」って言ってる。
やばい!ゲイルに言い忘れてた!でもゲイルのことだからもう大体察しちゃってるはず。
後で俺もお説教コースなのだろうか……。
失礼ですけれど、メーゼン殿下は王子ですのよ?男性なの。おかしなことを仰らないでくださいな」
ふむ。ビビには「察し」能力がないようでござるな。
「まさかご存じないのですか?リーゼンでは女性でも王位継承者を殿下と呼び王子として育てる風習があるそうなのですが……」
ええー!マジでえええええ?!なお顔でしれっと言うのがコツ。
先に言ってある帝国はおいておいて、何も知らない王国勢が「確かに、あのたおやかさで男性ということはありますまい」などと言いながらふむふむと騙されてくれた。
ここまでくればビビも宰相も「あれ?なんかヤバい?」と察したようだ。
「え?で、でもそのようなこと我が国にはなにも……」
そこにさりげなあくナージャが援護。
「私もそう聞いております。失礼ですが、たとえ『メーゼン王子』と言われていても、あの外見を見れば女性だとわかりそうなもの。なぜロンドの方はメーゼン殿下を男性だと思われたのでしょうか?」
めっちゃくちゃ強引な論理だよね。分かってる。「なぜ男性だと思われたのか」って、そんなの「王子は男性だから」に決まってるもんね。
でも、それはそれ。押し通しちゃったもん勝ち。大国である帝国まで認めたことで俄然俺の嘘の信憑性が増した。ナイスアシスト、ナージャ!
「だからこそリンドールに抗議する理由がよくわからないのです。メーゼン殿下が同性であるビビアン姫と共に過ごしただけですよね?何の責任を取れというのかなあって。まさか、ロンドでは王族とふたりで過ごしてはならぬという風習があるのでしょうか?
それとも……こんなことを言っていいのか分かりませんが、メーゼン殿下が男性だと嘘をついてこのような言いがかりを?」
「サフィ、言いすぎだよ?ロンドの方がたに失礼だろう?まさかそのような恥ずべきことをするはずがない。
ロンドはなにか勘違いしていただけだろう。それならば事情が分かって万事解決、だろう?」
ここで大人しく引けばいいのに、引いたら負けとでも思っているのかビビが食い下がった。
「いえ、皆様の方こそ騙されているのでは?王子が女性だなどと荒唐無稽な!それこそあり得ません!」
まあそうでしょうけれどもね。俺はこっそり舌を出した。
「女性だというのでしたら、証拠を見せてくださいまし!さすれば私も納得致します!」
この言葉でレオンが俺のお耳を押さえ、「未成年は耳を押さえるように」と言って口を開いた。
「最初に仰っていたことと矛盾してはおりませんか?姫は『傷者にされた』と仰いましたよね?
このようなことは言いたくはありませんでしたが、仕方ありません。
もし本当に殿下がそのような行為をされたと仰るのであれば、証拠を確認する必要もないはず。
証拠を出せと仰ること自体、その行為がなかったことの証明ではありませんか?」
「な……っ!!姫になんということを……!!」
宰相が真っ赤になって怒りもあらわに拳を振り上げた。
すかさずゲイルが叱責。
「不敬だぞ!ここをどこだと思っている!控えろ!」
その声に潜む迫力はさすがゲイルだ。
溢れる覇気に気おされて、屈辱にブルブルと震えながらも拳を下ろす宰相。
「…………申し訳ございません。しかし一方的にリンドールの話を信じるのは如何なものでしょうか?」
ここで打ち合わせ通りにお母様が声をあげた。
「あら。でしたら私が確認するというのはいかがかしら?
メーゼン殿下には申し訳ないけれど、同じ女性同士。
このままロンドの方に嘘つき呼ばわりされているよりも良いのではなくて?
第三者である王国の王妃たること私が確認するのであれば、文句はございませんでしょう?」
「そ、それならば確かに!」
「ええ!私は問題ございません。困るのはリンドールの方がたではないかしら?」
メーゼン殿下は一瞬ためらうそぶりを見せた。うん。なかなに演技達者でいらっしゃいますな。
そこでレオンがあえてのもう一声。
「ここで争いの元をはっきりさせてしまいましょう。これ以上両国の争いが続くのであれば、王国としても静観はできません。せっかくの機会です。殿下、よろしいですね?」
おお!レオン、カッコよ!王族の権威で押し切るポーズだね!
「さあ、では私と一緒にこちらに」
ナイスな親子コンビネーション。有無を言わさぬという体でお母様がゼンを連れてゆく。
通り過ぎながらロンドに見えないように俺にウインクして行った。お母様ったら!
それをどこか満足げに見送るロンド。
彼らはまだゼンが女のはずはないと信じているようだ。
騙すのは申し訳ないが、もともとはロンドがリンドールをだまし討ちしたことが原因。
俺は同じことをし返すだけ。しょうがないよね!
さあて、戻ってきた後、どんなお顔になるのかな?
ちょっと楽しみ!
なあんて余裕をかましておりましたらば、ゲイルが口ぱくで「あとでせつめいしろよ」って言ってる。
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