もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
313 / 538
俺とレオンの婚約式

対決!ロンド4

そうこうするうちに着替えが終わったようだ。
お母様とゼンが戻ってきた。

「王妃とメーゼン殿下がお戻りになられました」

パンパカパーン!ご入場です!

戻ってきたゼンを見て会場はシーン。
お母様と選んでおいた例のドレスを身に着けたゼンは、どこからどうみても深層のご令嬢。儚さ優雅さ100%のお姫様でござりました!

「おおおお!!なんとお美しい!!」
「やはりこれで男性だと勘違いするなどありえませぬな!」

衣装のお色は薄い水色。露出は控えめのハイネック仕様で、お胸にはほんのちょっぴり詰め詰めした。
細く引き締まったウエストと引き立たせるバックのおリボンがポイントのロングドレスでございまする。
オーガンジーの生地を使っているので、まるで妖精さんのように優しく清楚な印象に。
美しい銀髪には生花を編み込んである。

「うふふふふ。お待たせいたしました。
私がしっかりと確認させて頂きましたわ!
結果は……ごらんの通り、殿下は女性であらせられます。
これをみても殿下が男性だなどという方はいらっしゃいませんでしょう?」

メーゼン殿下がはにかんだ様子でそっとお辞儀をした。

「ふわあああああ!!妖精姫!」

あまりの可愛さに思わずため息。あちこちで男連中がぽおっとなっている。
そこに騎士姿のセオが登場。
ヒール高めのブーツを履いて身長も底上げしました!

「おおお!美形の騎士様ですっカッコよき!!」

セオはすっと殿下の前で腰を折り、片手を差し出す。
その姿は凛々しい美形の騎士にしか見えない。
そこにそっと手を乗せる殿下。絵になるうううう!!
会場からも「ほう」とため息が。

セオのエスコートにより会場に戻った殿下は、膝を軽く折りスカートをつまんで美しい所作のでお辞儀。
小さな声でハルパパに詫びた。

「この度は王国のご配慮に感謝いたします。
祝いの席に水をさしてしまい申し訳ございません。
我がリーゼンの風習により要らぬ騒ぎを起こしてしまったようです。
ご存じの通り、リーゼンは長く他国との交流を立ってまいりましたので、世情には疎く……。
婚約者のある身でありながらあらぬ疑いをかけられ難儀を致しておりました」

そっと目を伏せるゼンはかんっぜんにロンドに訳のわからな言いがかりをつけられた可哀そうな女性でしかない。
もうこの時点でロンドは真っ青だ。
血の気の失せた顔で「嘘でしょ……そんな……まさか……ありえないわ」「どうしたらよいのだ……まさかこんな……そんなおかしな風習があるものか!」などとブツブツ呟いている。
気持ちは分かる。
リンドールの一発大逆転だもんね。

パパは鷹揚な様子で頷いた。

「うむ。そなたも大変であったな。
この件はレオンとサフィに一任するとしよう。レオン、どう致す?」



レオンが厳しい表情でロンドに向き直る。

「ビビアン姫、宰相。これでリンドール側の言い分の正しさが明らかとなった。
メーゼン王子は姫王子であり、女性である。それゆえ、ロンドのいうような疑いの生じる余地はない。ビビアン姫が傷者にされたというのが、ロンド側の一方的な言いがかりであることは明白。
此度のリンドールとロンドの紛争により、我が国もアイスドラゴン2頭の襲撃を受けるなど多大な迷惑を被った。国境に当たる辺境伯からも苦情がきている。
リンドールに責任を取れと迫っていたようだが……改めて問う。この責任をロンドはどう取る?」

この場にいるのはリンドールだけではない。第三者として王国も、そして帝国もいるのだ。
ロンドに逃げ道はない。

宰相は腹をくくったようにガクリと項垂れた。

「…………なにか行き違いがあったようです。ビビアン姫はなにか白昼夢でも見られたのでしょう。なにぶん末の姫ゆえ、世間に疎いところがございます。どうかご容赦を……」

「なっ!白昼夢なんかじゃないわよ!だって、殿下で王子なのよ?女性だなんて思わないでしょ!」

「女性だと思わずとも、傷者にされたなどと嘘をつき殿下を貶めたのは事実。
リンドールも『冤罪である』と抗議したという。
それなのに調べもせず攻め込んだ結果、お互いに軍を動かしての睨み合いとなった。
それを『行き違い』で済ませようというのか?戦とはそれほど甘いものではない。
それはロンドも良く知っているのでは?
異論があるならば申せ」

ジロリと睨まれ、ぶるぶる震えだすビビアン姫。
今になってどれほど大事になってしまったのかを理解したのだろう。

「……仰る通りですわ。傷者にされたというのは、私の嘘です。何もございませんでした」

宰相と共にガクリと肩を落とし俯いたのだった。

「リンドールに非はなしということでよいか?」

「「……………はい」」

レオンは朗々とリンドールの無実を宣言した。

「こたびの件、ロンドのはかりごとであった!王国と帝国が証人だ!
賠償については被害者であるリンドールの良いようにしようと思う。
メーゼン殿下。どうなさいますか?」

「リンドールに損害賠償を、と言いたいところですが……。そのような余裕はないようです。
ロンドには多くの魔道具があるそうですね?ロンドにある魔道具を全種類、では如何でしょうか?
それと、リンドールへの永年不干渉を」

「では、そのように。いいですね、ビビアン姫、宰相。後日改めて書状を送ろう。今後約束を違えるようなこと、またリンドールに干渉するようなことがあれば、王国がリンドールにつく。
それでよろしいですか?メーゼン殿下」

「はい。王国にはご迷惑をおかけいたしますが……」

申し訳なさそうなロンド勢にレオンがいたずらっぽく微笑んだ。

「その代わり、といってはなんですが、他国と交流を控えていらっしゃるとのことですが、私とサフィとの交流をお考えいただけますか?私のサフィがこれで殿下にお会いできないとなれば、寂しがると思いますので」

俺の婚約者、最高すぎない?




これにて一件落着、なんだが、もう一つお仕事が残っている。
ビビアン姫と宰相が「しーらない」ってしないように、王国の力を今一度知らしめておくという大切なお仕事だ。

なんとなーくしんみりしてしまった会場で、俺は「はいはーい!」と手をあげて大きな声で宣言した。

「えっと!これで問題は解決いたしましたのでね!
婚約式の続きをしようかと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ!もちろんだ!俺の可愛い息子は何か面白い余興を考えているんだろう?何をするんだ?
だけど、あんまり無茶はするなよ?常識の範囲内で頼む!」

「わっはっは!サフィにそれは無理というもの!」
「ですな!聖女のお披露目でも大変な目にあいましたからなあ!」

ゲイルがわざと茶化し、それにおっちゃんたちが乗っかる。
おかげで一気に明るい雰囲気になる。

「それはですねえ……秘密です。ちょっと中庭に移動していただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「……………サフィ、常識の範囲内のことなんだよな?信じていいよな?」

ニヤリと笑ってあえて返事は控えさせてもらった。
感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。