もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺とレオンの婚約式

行ってきまーす!

モニュメント作ってくる宣言をすると、お友達勢から疑問の声が。

「サフィ、私たちはここで待っていたらいいの?時間がかかりすぎない?」

うんうん、と周りのみんなも頷いている。

「問題なっしんぐ!さっきもブリード、辺境よりももっと遠くにいましたしね?
風魔法でバリアしながらビューンと飛んで貰えばすぐですので!」

皆の目がぼろぼろの疲れ切ったジークの方に一斉に向いた。
あ、言わんとすること察し!

「ジークのボロボロはね、多分だけどビューンのせいではなく番になっていやんあは…」

言いかけたらレオンがすんごい勢いで俺のお口をむぎゅッ。慌てたように俺から言葉を引き取った。

「ジークの疲れはその前の……あー…ドラゴンたちのハネムーンの名残なので心配せぬよう!」

え?もしかしていやんあはんしたって言ったらダメだった?
ミルくんママをちらり。
ひえ!
ダメだったらしい。ミルくんからの笑顔の圧が半端ない!!



気を取り直してブリードに改めて声をかけ、打ち合わせ通りに背中に俺とレオンを乗せてもらった。
ゲイルがブリードの鼻をポンポンして「ブリード、サフィを落とすなよ?頼んだぞ」とか言っちゃってる。
ゲイルとブリザード、すっかり仲良しじゃん!なにそれ俺にもやって!!
そっと頭を向けるとゲイルが苦笑して俺の頭を撫でてくれた。ゲイル、大好きー!
すると今度はなぜかレオンが俺に向かって頭を差し出してきたのでポンポンしてあげた。
なんなのだろうかこの連鎖。



ではでは!

「しばしお待ちをーーーー!!行ってまいりまするーーーー!!」

ブワッサアアアアアアアアアアア!

ブリードはホバリング状態で垂直に上に飛んでくれた。
羽ばたきによって突風が巻き起こるがすかさずゲイルが周囲に結界をかけて見学者への風を止めてくれている。
さすがお父様!
パチンとウインクするゲイル。カッコよ!!

レオンと俺の周りには簡易の結界風避けを張ったので、どんなに飛ばしても大丈夫!無風。
あとは揺れに耐えてしがみついているだけでいい。
レオンが俺を背中から抱え込むようにしてブリードにつかまってくれているから、俺はめちゃんこ安定しておりまする。レオン、ありがとうね!




ドラゴンに乗って見下ろす大パノラマ!
街も人も米粒みたいに見える。

「おおーーっ! はやい! 凄い! 見晴らしサイコー‼︎」

「さ、サフィ、落ち着こうね?危ないからね?」

「大丈夫!いざって時には下に落ちる前にブリードに拾ってもらえばよき!」

「大丈夫じゃないよね⁈いざってときが来ないようにしよう?」

レオンの腕がぎゅううっと引き締められた。



道も池も川も木も関係なく最短距離で豪速で飛べば、あっという間に国境に。

「この辺りでどうですかね?」

チョイと見晴らし良き場所にナイスなスペースがある。
そこにブリードにお願いして縦三メートル、幅五メートルの巨大な壁を作ってもらった。
デカデカと俺が簡易レーザー(ミニミニサンダーボルト)で「レオン&サフィラス 婚約記念 王国歴725年」と刻む。

「かんせーい!!」

厚さ30センチの氷の壁はいかにも分厚く、壮観だ。
その中心に刻まれた俺たちの名前。
ちょっとした遊び心でツタ模様でハート型にかこみをつけてみた。
うむ!いい感じなのでは?

「レオン、どうでしょうか?」

ドヤアとレオンを見れば、ニヤニヤとしかいいようのない緩んだ表情。

「どうしたの、レオン。お顔とけてるよ?」

「ふふふ。ハートが素敵だね。サフィと私の名が一緒に刻まれ永遠に残るのだと思うと、嬉しくて。ありがとう、ブリード。協力に感謝する」

「いや、我もいい番をあてがって貰ったからのう。お陰でとても良いときを過ごしておるぞ?」

ブリードもにやにや。

「あ、ブリード!あのね、ジークすんごいボロボロだから。ちょっと休ませてあげてね?」

「そ、その……久しぶりの番でな?」

「休ませてあげてね?」

「……善処しよう」



こうしてブリードに釘もさし、俺たちは再びビューンと王城へ。


ごおおおおおおお!
ブワッサアアアアアアアアアアア

と中庭に降り立てば、腰を抜かしたままのロンド以外がなぜかジークの周りに群がっていた。
そして目をまんまるにして俺たちを迎えてくれる。

「まだ一時間もたっていないんだけど?!」

ミルくんが叫ぶ。

「ドラゴン、早すぎねえか?!」

これは帝国だな。



「だからすぐに戻るよって言ったでしょお?
ところで、なんでみんなジークを囲んでるの?」

遠征の時にジークと話せるようにしてあったミカミカが、苦笑しながら口を開いた。

「いや、ジークが俺に必死で『助けてくれ、なんとかしてくれ』って言うもんだからさ。
愚痴を聞いてやってたんだよ。
なんか……あの……」

ここでいいづらそうに俺をチラリと見るミカミカ。

「あー……レオン、サフィの耳をふさいでくれるか?あとサフィのクラスメートも耳を塞いでくれ」

あ、そっちの話ですのね。はいはい。
レオンがしっかりと俺の耳を塞いだ。俺も自分でできますけど?!

俺たちに耳を塞がせて、ミカミカがジークの訴えをレオンに伝えている。
レオンがなにやら分かったという感じに頷いて、なにやらブリードに説教しはじめた。
それにブリードがイヤイヤして、そこに話を聞いていたらしいゲイルが加わりなんとかブリードを説得にかかる。
ブリードがしょんぼりと項垂れ、ジークがゲイルに感謝の目を向けている。
っていう感じ!
何を言っているかはわかんないけど!!!

あ!ジークがゲイルの眷属になったっぽい!たぶんだけど!!

あのー……そろそろ耳を放してもらっていいですか?








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