もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺とレオンの婚約式

ロンドは決して逆らわないと決めた

2ドラを囲んでワイワイと騒ぐ俺たち。
王国勢と帝国勢はなんだかんだと「不測の事態」に慣れているから、こういうときの適応力も半端ない。
相談のときにドラゴンと聞いて倒れてたミルくんですら、労わるようにジークを撫でている。
ミントとミンツは帝国勢と一緒になってジークのお尻のあたりをじいっと見て「へえー、こうなってんのか……」「尻尾の先まで鱗があるのねえ……」とか言ってる。それってドラハラ!やめたげて!
頼むからいきなりお尻さわったりしないでね?いくら俺でも庇えませぬよ?

あんなにカッコいい登場シーンだったのに、この体たらく。
あの暴れん坊ジーク、すっかり弱ってるねえ……。



ちなみにリンドールとロンドは見物席に蹲って震えている。
というか、リンドールの方は正確には震えているゼンをセオとガンダルさんが庇っている。
やっぱりどう見ても妖精姫と騎士。
こわくないですよー?仲良しドラゴンですからねー?よしよし。

ロンドはビビ女と宰相それぞれ三角になって「ひいいい」「なぜあのようなものがここに!」ってブルってた。
それぞれ相手を全く庇おうとしてないところが、リンドールとは大違いであります。
宰相さん、セオとガンダルさんを見習いなさい!
てかジークはもともとはあなたのところのドラですよ?



俺はとことことこっとリンロンの前に行った。

「私の冒険者名はドラゴンブリーダーなのです。残りの2ドラも仲良しですのでね?
ドラゴンに乗ったのを見ておりましたか?」

みんなこくこく、というよりもガクガクという感じで頷いた。
うむ!ばっちりだね!

「これからはドラゴンライダーサフィと呼んでくださいましね?
国境のところに大きな氷のモニュメントを設置してきましたので、お帰りの際はぜひぜひご覧くださいませ!」

にこにこっとほほ笑んでロンドにダメ押し。



「あとね、いっこだけ言わなくてはなりません。
メーゼン殿下は実は男性です。
ビビアン姫のおっしゃることが真実なのかを確認するために、王国が一芝居打たせて頂きました」

「はあ?!」
「なんですって?!」

いきなり二人が元気になった。

「私たちを騙したのですか?!」

「真実を明らかにするために芝居をうっただけですよ?
王国に『殿下が女だと確認した』と言われ、最終的にあなたもそれを認めた。
つまり、ゼン王子はあなたに触れていないしその逆も無かった。
その事実をもって、ロンドがリンドールを陥れた証拠とします。
先ほど決めた賠償はしっかりと頂きますのでね?
なにか言いたいことががありますれば、伺いますが?」

わざとらしくちらっとブリードに視線をやれば、気付いたブリードがバサアと翼を広げるサービスとしてくれた。

「ひいいい!」

ビビと宰相さんの目がクワッと見開かれる。
もう瞳孔開いちゃってる。

「せっかく来ていただいたので私の魔法も見せますね?」

ダメ推しで「俺ツエエ」しておくことも忘れずに。




「みんなーーーー!!お久しぶりにサンダーしてよきですかああああ?」



慌てたように王国勢が広場からどいた。理解が早くて素晴らしい。
ドラたちも「危ないから」と隅っこに移動している。前にドラにもミニミニしてあげたからね。


とことことっと真ん中らへんに移動。広場の向こう側のほうにむけて天から腕を振り下ろす。

「いでよ!雷鳴!サンダーボルト!!」

ドッガアアアアアアン!!
バリバリバリーーーー!

雷炸裂!巨大な光の矢が会場に落ち、大きな穴ぼこを開けた。

一応破壊しないようにあらかじめ広場以外には防御魔法がかけてあるのでご安心を!
開けた穴も後で塞いでおきますので!!


ついでに、上空に向かって巨大な氷の槍を放つ。

「アイススピアーーーー!!!」

ビューーーン!!

そのままだと歓声の法則で落ちてきちゃうから、すかさず追撃。

「ファイアーボルトオオオオオ!!」

ごおおおおおおおお!

じゅわあああああああああ!!

巨大な炎の球を氷の刃に当てて相殺!
上空に巨大な雲ができた。

サアアアアアアっと霧のように優しい雨が降りそそぎ、ぱあっと晴れた空には虹が。

事後処理まで完璧!なんてエコで美しい魔法なのでしょう!褒めて褒めてーーーーー!!



ドヤりながら振り向けば、ハッとしたように王国勢と帝国勢が拍手してくれた。

パチパチパチーーー!!!

うむうむうむ!くるしうないぞよ!

「綺麗な虹だわあ!サフィちゃんったら、とっても上手になったのねえ」

「お母様、ありがとーー!!綺麗だったでしょ?婚約だからロマンチックになの!」

にこにこと横に来てくれたレオンを見上げればレオンが感極まったように俺を抱きしめた。

「私の言葉を覚えていてくれたんだね。嬉しいよ、サフィ。素敵なプレゼントをありがとう」

いえいえ。どういたしまして。

「おおおお!素晴らしいぞ!サフィ!
きちんと制御して周りに配慮して放っておる!!」

「やりっぱなしじゃないところがエライぞ!あのサフィがなあ……きちんと組み合わせを考えて使えるように……」

「私の氷魔法を……。うむ……うむ……」

パパ、お父様、公爵である。
感心するポイント違う……。

ちなみに俺のお友達勢は「マジかよ……」と頭を抱えており、帝国勢はきゃっきゃきゃっきゃと大喜びしている。
おっちゃんたちは、しきりに「さすがサフィ」「うむ、素晴らしいのう」と感動中。
めいどのみや…げぶんげふん。喜んで頂けてなにより!





くるりと振り返り、一番見て欲しかったロンドのお二人に向かってにっこりしてみせた。

「どうでしたか?
今日はお客様におみせするように、危険がないように頑張って威力を下げました!
あと、トルネードとか、ウオータージェットとかいろいろありますけれど、見たいですか
よろしければお見せしますが?」

真っ青になってぶんぶんぶんと首をふる。
え?涙目になってない?大丈夫?

「………ろ、ロンドは……ロンドは……王国に忠誠を誓いますううう…………っっ」

「けえええっして逆らいませぬうううううっ!!!!!賠償もきちんといたしますうううう!!!」

うむ。分かればよき。



レオンがそっと俺の肩を抱いた。
愛おしそうに俺の頭のてっぺんにチュ!(俺はこれからもっと伸びます!)

「私のサフィは素晴らしいだろう?
みな余興はお楽しみいただけただろうか?」

バチバチバチバチーーー!!!盛大な拍手拍手!
ぴゅー!ぴゅー!そこ!帝国!指笛しないのっ!お下品ですよっ!

「では、婚約式はこれまでとする。
ここからは自由参加になるのだが……一部からサフィの歌が聞きたいと熱望されてね?
どうかな、サフィ?」


むむむ。おっちゃんたちですな?
ワクワク顔で俺を凝視している。これはめっちゃ期待されておりますね。

「衣装ももう一着用意してあるだろう?
着替えをしてコンサート、というのはどうだろうか?
私もサフィの歌とダンスが見たいな?」

こてりんこ、と俺の真似して首をかしげてオネダリするレオン。
いつの間にそんなかわいいこと覚えたの?!
ぐっはああああ!カッコよではなくかわゆす!!

「もおおおおおおお!!
もおおおおおおお!!しょおがないですねえ!」





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