もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺とレオンの婚約式

無礼講で参りましょうぞ!

さてさて。婚約式後の夕食は、結構なメンバーがそろった非公式お食事会みたいになっていた。
王家サイド。パパ、お母様、レオンと俺、そしてレオンと俺の後ろにそれぞれ護衛のミカミカとキース。
俺の親族サイド。ゲイルお父様、公爵、ライオネル&リオネル。
帝国サイド。ナージャ、海軍フィガロ団長、陸軍リアム団長。
リンドールのメーゼン殿下ととセオドラ、ガンダル宰相。
ロンドのビビアン姫と宰相さん。
周りにそれぞれの護衛さんたちがズラーリ。
四か国が揃ったお食事会となっておりまする。
一応本来ならば席順はあるんだけど、交流を深めようという意味でちょっと変則的にビュッフェ形式に致しました。
丸テーブルやソファ、好きなところでお好きに召し上がれ。

好きに集まって歓談してもらった結果、あちこちでカオスが生まれた。
なんとゲイルを中心にオッサン連中が大集結!
団長さんたちはゲイルの両横に陣取って肩を組んで楽しそうにお酒を飲んでいる。
その前にゲイルに丸投げしたロン宰相さん。そしてなぜか公爵とパパ。
パパはあのチュー事件によりゲイル接近禁止令が出されているので、近寄ろうとするたびにゲイルにジロリと睨まれ距離を取られていた。
公爵はそんなパパから果敢にゲイルを守っております。さりげなあく間に割って入り、接近を阻止しつつ、距離の近い団長さんズを気にしておる。
宰相さんはゲイルにすっかり懐いて、身を乗り出しながらノリノリで話をしている。
ロン宰相さん意外は目でバチバチにやり合っておりまする!ひいいいいいい!!

なにあそこ!こっわ!ゲイルを中心にオッサン連中が集結しておる!ゲイルサロンじゃん!
特に気にしてなかったけど、団長さんズも前より距離近くない?ねえ?大丈夫?

「…………レオン。俺のお父様、魔性かもしれない……」

フルフルと震えながらレオンを見上げる。

「え?サフィ、いまごろ?ゲイルは昔から人たらしだよね?高位貴族だってゲイルの前では大人しいでしょう?
それに……サフィも似たようなものだとおもう」

あ。藪蛇でした!



ちょっと意外だったのはナージャ。公爵のおうちにお泊りしてから、やけにライオネルに懐いておる。
せっせとライに取り分けてあげたり、飲み物をとってきてあげたり甲斐甲斐しい。
それにリオがきゃんきゃん噛みついております。
ぎゅうっとライの腕にしがみついて「僕のお兄様なんですが?!」とか言ってそう。リオってばブラコンなんだよねー。知ってた!

ママとガンダルさんは2人でデザートのみを乗せた皿を前に「萌え」について語り合っております。
ガンダルさんが「うちのゼン様」の可愛らしさを語れば、今度はママが「私のサフィちゃん」の可愛らしさを語る。
そして二人で身悶えするという訳のわからん推し語り中。
護衛の皆様、視界に入って巻き込まれないようにそっと距離をとっております。


俺はといえば、レオンと一緒にゼンとセオ、ビビさんというなんかもう因縁溢れるメンバーでござる。
うん。どうしてこうなった?
ビビさんも一目ぼれしたあげく一服盛っちゃったゼンさんと、和解したとはいえその婚約者のセオさんと一緒でちょっと居心地悪そう。
しかもよく考えたら、セオに一目ぼれして振られたばっかなのに。レオンと俺、ゼンとセオというラブラブ婚約者コンビに挟まれておる。そりゃ居心地も悪かろう。
かといって、ビビさんを他にどこにやれば?
お兄ちゃんの取り合いをしてるライリオのところ……だと完全に蚊帳の外だよねえ。
じゃあゲイルサロン?無理でしょ、無理無理!あの猛者どもの中に放りこむのは地獄すぎる!
ママのとこで推し語りしてもらう?……ビビさんは誰を語ればいいの?

一応聞くだけ聞いてみた。

「あのお……一応聞くだけ聞いてみるね?ビビさん、推しはおりまするか?」

「推し?……というとどういうものですの?」

「あのねえ、ファンっていうか、好きっていうか。キューン、ってするやつ!おすすめ?
ちなみに、俺はゲイルお父様推し!俺のお父様ゲイルなんだけど、カッコよくて優しくて強くってヒールも使えて魔法も強力だし頭もいいし、とにかくとにかく最高のお父様!」

「……私の婚約者は昔から父親が大好きでね……。婚約の最大の難関はゲイルだったんだ……」

「ああ……お察ししますわ………」

ちょっと、三人とも何を察したの!レオンに同情するみたいな目を向けないでもらえますかね?

「えっと、レオンだって大好きですけれどもね?ゲイルは特別枠なのですよ!
だって俺を助けてくれて俺のお父様になってくれたんだもん!」

むふーー!と主張するとレオンが補足してくれた。

「……いろいろ複雑な事情があるんだ。サフィが懐くのも納得できる込み入った事情なのだ」

な、なんか重々しい感じになってきちゃった。違うの!そういうことを言いたかったんじゃないの!
俺は慌てて話を元に戻した。

「と、とにかく!こういう恋とかじゃない『大好きーー!』が推しなのです。推しはね、元気をくれるし幸せをくれるの。セオは『ゼン推し』でしょ?」

「……そうですわねえ。推し、という概念がよくわからないのですが、ゼン様を見るだけで元気になりますわ。私が守って差し上げないと、と力が湧きます」

「それそれ!!絵姿とかあったら欲しくない?」

「!!欲しいです!!」

セオが食いついた。身を乗り出して前のめりでフンスフンス!
ふっふっふ。しからば!
俺はニヤリと笑って最大の萌えを投下した。

「ゼンに猫のお耳とかついてたら可愛いと思わない?」

「なんですの、それは!最高ではないですか!!」

「それが推しなのです。ようこそ、推しの世界へ!」

俺とセオはがっしりと握手をした。
ゼンが小さな声で「私には猫の耳などありませんけれど……」と首をかしげている。そういうとこ、かわゆす!!
セオが目で「かわいいでしょ?」と訴えるので俺は力強く頷いた。




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