もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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サフィ大忙し

冒険者たちの事情

「まあ、俺ってばドラゴンライダーですし?立派なカッコよな高ランク冒険者ですからね。
しでかしたおバカさんも許してやらないこともないですよ。
ドラゴンライダーですし!(大事なので二回言いました)
良かったですな、俺がドラゴンライダーで。ドラゴンブリーダーや、サンダーエンジェルだったら許してやれなかったかもしれませぬよ?」

腕を組んでうむうむと心の広いところを見せれば、無礼な冒険者たちが慌てて俺をひゅーひゅーしてきた。

「さすがはドラゴンライダー!冒険者の鏡だな!」
「快く俺たち無礼を許してくれるなんて、大物は違うぜ!」
「ゲイルさんの教育の賜物だな!」

俺とともにゲイルまでよいしょするあたり、いい心がけだ。くるしうない。もっと褒めれ。

気分を良くした俺は、カッコいいポーズをキメてあげた。
片腕をムキっとマッチョのポーズ!
剣を上に掲げ、勇者のポーズ!

「おお!カッコいい!」
「さすがA級!」

えへん!おほん!うふん!

「もっと筋肉みちゃう?」
「………筋肉?」

ほら、と最近ちょこっとだけついてきた腹筋をみせようとお腹を出せば、ゲイルとキースにすんごい勢いでしまわれた。

「サフィ?!」
「なにしようとしてんだ?!」

「え?腹筋見せてあげようと思って……」

「見せなくていい!しまっとけ!てか、腹筋なんてあったか?」

ゲイル!なんてことを!
がーん、とお口を開ければ、キースが「腹筋ってこういうのだぜ?」と腹をめくって見せてくれた。

「…………す、すげえな…………」
「めっちゃ割れてんじゃねえか……鋼かよ………」

え?俺のと……違いすぎない?
俺だって、俺だってちょっとうっすらと溝っぽいのができてきたと思ったのに………。
こんなの出されちゃったらとても見せられないじゃん!

こっそり上から自分のお腹を見てみたが、全然違った。なんてこと!


「こ、こほん!えっとお……それはそれとして!ボロボロさんたちは俺に何の用だったの?
いきなり会った早々ディスってきたけど、ホントは何か用だったんじゃないの?」

そう。わざわざ待ち伏せしてまで喧嘩売ってきたんだから。

すると急に冒険者たちが目と目を見交わせ一斉に頭を下げた。

「失礼は重々承知の上で頼む!俺たちの国を救ってくれ!!」
「はあ?!国を救う?!いったいどういうこと?」

いきなりどでかいことを言われ、俺もゲイルもキースもびっくり。

「えっとお……一応聞くけど、それってば依頼ってこと?それならギルドに依頼を出したら良くないですか?
普通によさげな依頼なら受けますけれどもね?」

首を傾げれば、必死の顔でこう言われた。

「依頼を出そうとしたさ!だが、近場の依頼しか受けてねえって言われたんだよ!だが、ドラゴンライダーにしか頼めねえんだ!頼む!話を聞いてくれ!!」

あちゃー!そうだった。学校があるから、土日だけで受けれそうなところしか依頼を受けてなかった!
だって、最近色々あって休んでばっかなんだもの!
帝国行きで長期休んで。その後もお兄様との婚約関係で休んじゃったし。

ゲイルとキースも「あちゃー!」って苦笑してる。
そりゃあね。一般の冒険者さんはそれがお仕事なのでしょうが、俺はまだ学生さんなんだもの。学生は学校がメイン。それは仕方ないでしょお?ねえ?

「……うーん。だって俺ってば学校があるから……。休みすぎちゃったから、卒業までは土日で行けるところしか無理なのですよ。夏休みとかなら行けるけど……」

「学校?!まさか、そんな理由なのか?!」

はあ?理由だって?
学生舐めてる?

「だって俺ってばまだ10歳ですし!休んだら補講がいっぱいなの!分かる?
ただでさえ休んだ分の補講でいっぱいいっぱいなのに、それがもっと増えたらどうなると思う?
寝る暇も遊ぶ暇もなくなっちゃうでしょうが!そんなことになったら、またレオンが闇落ちしちゃうでしょおが!」

レオンの闇落ちってとこでゲイルとキースが「確かに!」と爆笑した。
あれは大変だもんねえ!

ちょっとお、冒険者たち!ぽっかーんとしてるが、ちゃんと聞いてた?

「聞いてるの?ボロボロさん!学生の本文は学業なのです!俺はこうみえて首席なの。ゲイルの息子が留年しちゃったらゲイルが恥ずかしいでしょうが!俺は最高の息子なんだから、絶対に留年できないの!」

「ボロボロさん?」

「君たちのことですが?あのね、ついでだから言っておくけど!ダンジョン帰りとかでそのまま来たなら仕方ないけど、依頼のために来たとかなら、ちゃんとお風呂に入って綺麗に汚れをとってからこなきゃ!
あのね。人は見た目じゃないっていうけど、やっぱり見た目も大事なの!
きちんとさっぱり清潔な人と、ぼろぼろ汚い人とどっちを信用する?
あとね、清潔にしておかないと身体に雑菌が入りやすくなるから命にもかかわるでしょう?
できる限り身なりは整えておくべきなの!あんだーすたん?」

「あ、あんだーすたん?」

「あーー……俺の息子がすまん。だがな、サフィの言うことは一理あるんだぜ?ここのギルトで何か気付かなかったか?みんな小奇麗にしてるだろ?野営でもできるかぎり清潔を保つ。すると気持ちも引き締まるのか、怪我の率が減ったんだよ。街の人からの依頼も増えた。実際に効果はでてんだ。
郷に入っては郷に従えっていうだろ?アンタらもできるだけ清潔を心掛けるといいぜ?」
「だな!俺を見れば分かるだろ?俺はS級のキースだ」

「ア、あんた、まさかドラゴンスレイヤーか!」

「ああ。一応二つ名はそれだな」

「…………貴族の坊ちゃんの護衛かと思ったぜ。まさか、A級のドラゴンライダーとS級ドラゴンスレイヤーと……」

チラリとゲイルを見るので教えてあげた。

「俺のお父様ゲイルです!最強のヒーラーでお医者さんなのですよお!」

ドヤア!
俺のご紹介に冒険者たちが超前のめりに。

「ゲイルって、ゲイルか!王国ギルドの奇跡の医者?!」

「よくわからんが、たぶんそうだ」

ゲイルが苦笑している。そんな異名で知られてたんだ。さすがゲイル!
するとボロボロさん、ぐりんと俺を振り返った。

「ってことは、A級のドラゴンライダーは、奇跡の医者の息子、ギルドのラッキーチャーム?」
「……………よくわかんないけど、たぶんそうかも?」

「「「マジかーーーー!」」」




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