もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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サフィ大忙し

冒険者さんたちの事情2

ところで。王国に来た理由は分かったんだけど。
それでもひとつ疑問があった。

「あのお……。事情は分かったんだけど、なんでそんなにボロボロ?
だって、遠いとはいえ商人さんたちも来るんだし。冒険者ならそんなにボロボロにはならないでしょお?
崖を乗り越えて、なんてことないんだし。普通に道で来たんでしょおに……」

わざわざ魔物だらけのところを通ってきたとか?いやいや、急いでるのにそんなことする?!

するとデーツが泣きついてきた。

「聞いてくれよおおお!それがな、とんでもないことになってたんだって!道がねえんだよ!」

なぬ?何故に?
土砂崩れとか崖崩れとかあった?

「ウチから王国に来る道は、リンドールのロンドの国境を通ってくることになる。
ロンドはうるせえし、リンドールは鎖国してるからな。ちょうどその道が境界になってるんだよ。
ところが、だ。その2国がドンパチやり合っててな。兵士が睨み合ってんだよ!
そこで少し外れた森を通ってくることになっちまった」

「あー!そのタイミング!」

またしても「あちゃー!」だ。なんとも運が悪い。
今からならその争いも終わって普通に通れるようになるだろうに!
リンロン戦争に巻き込まれてしもうたのか……。それはそれはご愁傷様でござる…………。
そもそもリンロン戦争でドラゴン大移動が起こったんだもんねえ。

ゲイルが同情に満ちた表情でデーツの肩を叩いた。

「その戦争だがな。ちょうどサフィが解決したところだ」

「は?ドラゴンライダーが?え?」

意味が分からない、と顔に書いてある。ですよねー!

「えっとお。俺はね、王太子の婚約者ですのでね? その婚約式ついでにリンロンを呼んでサクッと解決いたしましたのじゃ!」

ガクーーン、とバースさんたちの顎が落ちる。
俺は手を伸ばしてパクンパクンパクンと閉じてあげた。
後ろの人のお口はキースにお願いした。

恐る恐る、という感じでリーダーのギーグが口を開く。

「あ、あのう……、サフィラス様はもしかして……裕福な商家のご子息などではなく、高位のお貴族様だったり……」

「えっとお、ゲイルが伯爵で、俺はその息子!でもって、皇太子の婚約者でござりまする」

えへん!

ズザザザザアアアア!!

とんでもない勢いでバースくんたちがDOGEZA!

「ご不敬をお許しくださいませっ!!」
「まさか高位貴族様だったとは存じ上げず……っ!!」

ははー!と土下座するこの状態。記憶の中の時代劇とかであるあるのやつだ!
ふむふむ。自分たちが誰に喧嘩を売ってしまったのか今さら気付いたようだ。

「お気になさらず!ここでは冒険者サフィですのでね!」

そもそもそんなことを言い出したらここにいる冒険者のいつメンたちもみんな不敬の塊である。
俺をラッキーチャーム扱いしていじり倒しておるのですもの。

「しかし!ゲイルをセクシーな護衛の兄ちゃん、ギルマス誑し込みといったことは許さぬ!」

俺の言葉に王国冒険者たちが爆笑!

「ギャッハッハ!最強ゲイルに手え出すヤツなんかいねえよ!誰だって命は惜しい!」
「ギルマスが誑し込まれてんのは確かだな」
「そりゃ仕方ねえ。ゲイルだぞ?ギルマス、ゲイルに命を救われてっからな」
「ちょっとお!クリスさんには僕がいるんですが?」
「押しかけ女房だもんなあ、カイト。怖え怖え!」

みんなに爆笑されたバースくん。
自分たちがどんなにおバカなことを言ってしもうたのか理解してうな垂れた。

「……王国ギルドの奇跡の医者が伯爵……ラッキーチャームがその息子で、A級冒険者のドラゴンライダー、しかも王太子の婚約者とか…………情報が多すぎて頭が爆発しそうだ………」
「しかもドラゴンライダーは10歳だぜ?おまけに学校があるから、って…………!」
「あれ?ドラゴンスレイヤーのキースさんは………?」

もしかして貴族?というお顔。気づいてしまったか。まあ、第六王子なんだけどそれは秘密なので。

「俺の護衛で、将来は王妃の側近になりまあっす!」

はいはーい、と手を上げれば。ギーグがギルド長の向かって吠えた。

「王国おかしくね?なんで高位貴族が高ランク冒険者なんてやってんだよ?!なんで伯爵にギルドの医者なんてやってんだ?!王太子の婚約者がギルドのラッキーチャームっておかしくねえか?!」

ギルド長や王国勢が同意した。

「だよなあ!俺らもそう思うぜ!」
「だがなあ…………」
「「「「「サフィとゲイルだし?」」」」」
「「「「「サフィとゲイルだもんなあー」」」」」

俺とゲイルの名前を免罪符代わりに使うの、やめてくれる?
キース、そこで頷かないの!


こ、こほん!

「まあ、俺とかゲイルとかにはフツーに話してよきですのでね!普通の冒険者として話してくださいませ!」

ふけーとか言わないからさ!

「わ、分かった。てか……リンロンを解決っていうのはどういうことだ?」


俺はリンロン問題がロンの妖精姫王子へのひとめぼれからおこったことを説明。ドラたちがどうしてわちゃわちゃ移動してたのかを教えてあげたのでした。

「今はね、リンドールのドラゴンはウチの辺境にいたドラゴンと番っていちゃいちゃ中なの。でもって、ロンドのドラゴンは、繁殖期で番探ししてたブリザードドラゴンのブリードと番ってブリードが連れて行ったの。
ブリードっていうのが……」

「バースのブリザードドラゴンか……」

ガクリとギーグが崩れ落ちた。
ご愁傷様です。

「も、もしかして、あの地震は……」

デーツがハッとしたように目を見開いた。
あ、気付いちゃった?

俺は重々しく口を開く。

「ドラゴンのいやんあはんですね」

「「「「ドラゴンのいやんあはん………」」」」

わかんないのかな?俺は改めて言いなおした。

「えっとお、ネヤ!」

俺学んだばっかりだから!えへん!

「あ、ネヤ知らない?ネヤってばね……」

バシっとゲイルに口をふさがれた。ものすごいお顔でぶんぶんと首を振っている。
これは……ダメなヤツ。あとでお説教のヤツだ!
俺は慌ててしっかりとお口をチャック。こくこくとゲイルに頷いて見せたのだった。
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