もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
344 / 538
サフィ大忙し

これにてバース問題一件落着でござる!

俺に突然話を振られたバースくん。

「はあ?!」「え?な、なんて言った?」と大慌て。

「いやほら、だってブリードの本拠地なんだから、今後のためにも話が分かるほうが便利でしょ?
ブリードは人間の言葉が分かるんだから、あとはバースの誰かにブリードの言葉が分かるようにして貰ったら会話とかできるよ?『牛が足りないから羊でいい?』とか。そしたらば色々と助かるのでは?」

「そ、それは確かに!そんなに簡単にできるもんなのか?」

「ブリードの爪でチョンしてもらえばおけ。キースもレオンもそれで話が分かるようにしてもらったもん」

するとゲイルが解せぬお顔。

「は?俺はブリードに契約したら話せるようになると言われたぞ?」
「それは単にブリードがゲイルと契約したかっただけでしょ。騙されましたな、ゲイル。ちょっとチョロすぎやしませぬか?」
「待て待て!眷属にしちまったお前が言うな」

確かに!

するとブリード、またしてもゲイルに甘えるようにすりすり。

「……嫌だったか?ゲイル。嫌なら取り消してもよいが……」

かわいこぶってこてんと首を傾げた。
デカい体の癖になにそれなにそれ!あざとい!!
俺のゲイルなのにいいいい!!

「……まあ、別に害もねえし、嫌じゃねえぞ?ブリードはいい奴だしな?」

ほおら、ゲイルってば甘いんだから!
俺はブリードと反対側のゲイルの腕をぎゅっとしてブリードに教えてやった。

「ブリード!いっとくけど、ゲイルは!俺の!お父様なのですからね!!俺の!お父様!!
ちょっと勝手に甘えないでくれまするか?ゲイルに甘えていいのは俺だけなの!
だって俺のお父様なのですし!!」

ゲイル、抱っこ!と手を伸ばせば、条件反射で俺を抱っこしてくれるゲイル。
ほおら、俺とゲイルはラブラブ親子ですし?
ブリードなんかよりもよっぽどラブなんだからねっ!!

ふふん、とブリードに勝利宣言すれば、キースが呆れたような目で俺を見た。

「……まさかサフィ、ブリードに妬いたとかじゃねえよな?」

クリスがため息をつく。

「いや、サフィ、ドラゴンと張り合うなよ。どう考えたってゲイルはお前にメロメロだろうが!」

するとブリードまでもがため息をつきながら首を左右にふりふり。

「いやはや……我もまさかそのような嫉妬を受けようとは……。確かにゲイルの側はとても心地よく慕わしい人間ではあるが……」

え?なに?俺は別に変なこと言ってないよね?

「ゲイルは俺のお父様だっていっただけでしょ!ヤキモチとかじゃないし!
ちょっとブリードの行動がドラゴンとしてあまりにも見ていられなかったから!だから注意してあげただけだもん!」

どう見ても上からな感じで「うむ。そうじゃな。我が悪かったサフィ」と鷹揚に頷くブリード。
そういう反応が欲しいわけじゃないから!
ぷんすこ!

するとゲイルがデレデレしながら俺にほっぺすりすり。

「サフィはお父様が大好きなだけだよなあ?俺もサフィが大好きだぞお!!」

そのままご機嫌で俺を高い高いして、ぐるぐる回りだした。

「ちょ、ちょっとおおお!俺、もうこどもじゃな……」

言いかけてゲイルをみたらにっこにこの笑顔。
俺も思わず笑顔になって、そしたら面白くてたまらなくなった。

「あははは!アハハハハ!ゲイルう、目がまわるよおおお!
俺も、俺も、ゲイル大好きいいいい!!」



「……この親子、すげえな」
「ああ。いつもこんな感じだぞ?ラブラブ?ってやつだ」
「婚約者の王子が張り合うくらいにな。王城でも互いへの愛を叫んでるぞ?」
「ドラゴンと張り合うくらいだもんな……。いや、すげえもん見たわ」

親子の仲がいいのは良いことです!



ところで、とギーグが遠慮がちに切り出した。

「話ができるようにしてくれるというのは…有効か?」

「ブリード、いいよね?その方がお願いもしやすいし?」
「ああ、一人くらいならば良いぞ」

うむ。では…

「誰にする?俺的にはギーグかバースだと思う。たぶんだけど、バースって連合の代表でしょ?
最初はたまたまかなとも思ったんだけど。違うよね?」

俺の言葉でバースのまとう空気がガラリと変わった。それまで目立たない感じでモブってたのに。
その自信に溢れた表情といい全身から放たれる覇気といい、まるで別人だ。立姿まで違って見える。
ふむふむ。こうして改めて見れば、顔を隠すためだと思われる長すぎる前髪をなんとかしたらこの人ってばワイルドなイケメンといってもいい。

「…………どうして分かった?」

鋭い目で見られましても。

「うーん。いうなれば、モブすぎたから?だって仲間なのにひとりだけ目立たなさ過ぎ!気配も消しすぎると怪しいでしょお」

チチチ、と指を振ってやる。
ゲイルもキースもうむうむと頷いておる。ほおらね?何事もやりすぎはいけませぬぞ?

バースは俺の言葉に目をぱちくり。そして、大爆笑。

「はははは!モブすぎたか!そりゃあいい!あはははは!」



感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。