もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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連合案件

バースくん、帰る

さて。学校から王城に帰ると、先に戻ったレオンが待ち構えていた。

「おかえり、サフィ!」

言った後、急に頬を赤らめてにこにこ。

「ふふふ。いいね、こういうの。私がサフィの帰るところ、という感じがしてすごく嬉しいな?」

あああああ!!
ああああ!!
レオンってば甘々の時よりもこういうナチュラルな攻撃のほうが威力あるんだってばあああ!!

ずきゅんと胸を撃ち抜かれた俺は、ちょいちょい、とレオンを呼んだ。
ちょっとしゃがんでくださいませ。

「ん?どうしたの?」

「あのね、レオン。ただいま!」

レオンのほっぺにチュ!
ただいまのちゅーしちゃった!婚約者っぽい!えへへへへ。

によによしてたら、お顔を両手でそっと掴まれておもいっきりちゅーーーーっとされたのでした。
い、息できないから、5秒まででお願いしますうっ!!



あ!そういえば!
俺は生徒会のプレゼントのことを思いだした。

「あのね、生徒会のみんなに婚約のプレゼントをもらった!
レオンと俺の。お揃いなの」

いそいそと鞄から取り出してみせると……

「螺鈿細工?南方の国の工芸品…ということは……スクラム兄妹かな?とても綺麗だね」

「おお!当たり!レオンすごいっ!これね、先輩たちが手作りしてくれたんだって!凄いよねえ!
結婚とかの特別のお祝いの時にプレゼントするんだって。
貝殻を一個一個貼ってあるの。その文様がね、魔法とかの呪文の代わりなんだって!この箱の中に入れたものには自動的に『幸運』の効果が着くの。凄いでしょ!」


「そうなの?螺鈿細工は知っていたけれど、この文様にはそんな効果があったんだね。
うーん……それ、恐らく他の国には知られていないことだと思うよ?私たちだけの秘密にしておこうね?」

「た、確かに!簡単に教えてくれちゃったけど、レオンが知らないってことはそういうことだよね?内緒で!!」

「ふふふ。内緒ね?
私のサフィはみんなに大切にされているんだね。嬉しいな」

「みんなとっても優しい先輩なのです!あのね、その箱の中も見て欲しいの!!」

「え?中?」

パカリと開けたレオンが息をのむ。

「……これ……」

俺は渾身のドヤ顔で胸を張った。

「すごいでしょ!あのね、お揃いのカフスボタンは、リオから。髪留めは副会長のオルフェ先輩、書記のロイド先輩からなの。なんと、髪留めはね、ロイド先輩が自分でデザインしてくれて、それをオル先輩が彫金で作ってくれたんだって!」

みんなの心のこもった贈り物。
レオンはとてもやさしいお顔で、一つ一つ手に取って、そうっと撫でた。


「私とサフィの色だね?いつもサフィと一緒にいるみたいで嬉しいな。
ああ、確かに、何か温かな魔力を感じる。
とても心が籠った素晴らしいプレゼントだね。素敵な友人に恵まれたね、サフィ」

「でしょ!大好きな自慢の先輩たちなのです!
あ、レオン、その箱貸して?」

箱を返して貰って、カフスボタンと髪留めを手に取る。

「はい、手を出して?」

レオンの袖にカフスボタンをつけて。
俺の分のカフスボタンと髪留めをレオンに渡す。

受け取ったレオンがふわりとした笑みを浮かべる。

「私がサフィにつけていいの?」
「うん!これはね、レオンに付けてもらってねって言ってた!」

はい、と手をだしカフスボタンをつけてもらうと、くるりと後ろを向いて髪に髪留めをつけてもらった。

「えへへ。レオンと俺に幸運がたくさん!」
「ふふふ。私はもう十分幸運だと思うよ?だってサフィと婚約できたんだからね?」





ところで、婚約してもまだ王城に住まなくていいとは言われた俺なのですが、なんやかんやとまだ伯爵家に帰れておりませぬ。
婚約するねってお約束したら、リンロン問題もあって、婚約式の決め事とかいろいろあって、なし崩し的にそのままレオンのところにお泊り。

学校に戻れるくらい落ち着いたら帰ろうと思ってたんだけど、今はうちにはバース君たちがいるから、彼らが帰ってから戻ることとなったのです。

あれ?俺、まだ王城に住まなくていいって言ってたけど……あれれ?



レオンのお部屋のお隣にはちゃんと俺のお部屋もできており(でも結局レオンと一緒に過ごしてそのまま寝てるからほぼ使っておりません)、ついには当たり前のように「ただいまー」と王城に帰ってきてしもうた。

これってば、もう事実婚というやつなのでは?!
結婚前からこれはいけませぬぞ!

だからバースが帰ったら伯爵家に帰るね、って言おうと思ってたんだけど……
言いにくい!!
こんなに喜ばれたら、すんごおおおく言いにくい!!


チラっと見上げれば、またしても幸せそうに「にこっ」とほほ笑まれた。
あああ!!どんどん言いにくい感じに!!


「あ、あのね、レオン。俺、そろそろ…

「サフィ、疲れていなければ母上がお話したいって言っていたのだけれど。大丈夫?」

「?お母様が?うん!大丈夫ですが?」

なんだろう?
またしてもいうタイミングを逃してしもうたが、まあ、バース君たちが帰ったらゲイルがお迎えに来てくれるでしょ。そしたらでいっか。

ちょこっと顔だけ見に行きたいから、ごはん食べたらこっそり様子を見に行ってこよう。










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