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第一話
異世界じゃなく異星でした<Ⅲ>
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「もしかして俺が地球に戻るって選択肢はないのか?」
「そ、それは、なくはない……」
おっ、一応あるのか。でも戻しづらいってか。
「確かに一応OKしたしなぁ……身体も元気にしてもらったし」
ああそうか。今俺って凄く若くなっているんだよな。
このままの形で戻るのは無理な話か。
「おまえの病気を治すのに若返らせる必要があった」
「若返らせるのが出来るんだから、老けさせることも出来るんじゃないのか」
「出来ないことはないが……」
「出来るのかよ。老けさせることになにか不具合でもあるのか?」
「そ、それは……え、あ……あー……」
「もしかして何か隠しているのか?」
どうもこの宇宙人は表情こそ全く変わらないが、何故か感情が凄く分かりやすい。
「お前、老けさせるとか出来ないんだろ」
「ぬぐっ!? そ、それは……」
身体をびくんと動き、あからさまに動揺した声の宇宙人。
「ほらほら、良いから本当のことを話してみろ」
「ぐ、ぐぬ……、わ、わかった」
宇宙人のおっさんは少しずつ話し始めた。
「はぁ!? 爆発事故で死にかけたってぇ!?」
その話はとんでもなかった。
ここは彼の星上空に浮いている人工衛星みたいなもので、最初に俺の前に現れた女神様はAIのような存在らしくツルピカなおっさんと違って実体はない。
現れるときはあの星を映し出したホログラムのようなもので表示しているのだとか。
そしてこの人工衛星の一部区画で爆発事故が起こり、その影響で様々なシステムの調子が芳しくない状態が続き女神が上手く起動せずおっさんが身代わりになって誤魔化そうとしたらしい。
俺はその時は病気を治すためのある装置に入っていたが、事故の影響をもろに受けたようでシステムのエラーで幸か不幸か若返らされてしまったらしい。
いずれにせよ、死ななかっただけでもよしとしよう。
おっさん曰く、ここのシステムはほぼ女神のシステムが動かしているためマニュアルでの操作は難しいとのこと。
つまり元の年齢に戻せない理由はそういうことだった。
「でも事故なら仕方がないんじゃないのか」
「そ、それはそうだが……」
まだ何か話していないことがあるのか。
つまり事故そのものが、ツルピカなおっさんにとって都合の悪い話だってことか。
これ以上話を聞き出したところで、身体は元に戻らなさそうだな。
「そうなると地球にも戻れないのか」
「それは可能。ここを運営するシステムとは別の機関が担当しているからな」
「マジか?!」
「一応、ここに連れてきた地球人は、女神の説明を聞いて最終判断として進むか戻るかは選ぶことが可能となっている」
「だったら、俺も戻れるのか」
「だが、お前に関しては……」
「なんだよ。俺はダメなのかよ」
「こちらの不手際ではあるが、さすがにそこまで見た目がかなり若返ったまま元の星に返すことは出来ない」
ですよねー。
「それでも帰ることを望むのであれば、システムが全復旧するまでここにいてもらうことになる」
「全復旧てどれくらいかかるんだ?」
「そうだな……お前達の概念に直すと、早ければ20年といったところか」
「は……? 20年!? そんなに時間かけてどうするんだよ! 壊れたところくらいさっさと直そうとしないのかよ!」
「何故そんなに急ぐ? 20年ならまだ早いほうじゃないか」
あ、これ……嫌な予感がする。
「なあ、一応聞くけど今は一体何歳くらいになるんだ?」
「お前達の時間に換算すると……肉体はおおよそ630年、中身の方は70年位だな」
「630年!? そんなに生きてんのか」
いやロボットみたいとか言っていたから、そういうものなのか?
それに中身は70年て肉体と精神は別だっていうのだろうか。
なるほど分かった。タイムスケールが俺とは全く違う。こいつらのちょっとに合わせていたら一体何年先になることか。
こんな殺風景な場所でツルピカおっさんと二人だけで過ごすとかマジで勘弁して欲しい。
「うーん……」
状況をもう少しよく考えてみる。
まず地球に帰るべきか。そもそも俺は帰りたいのか?
……あっちは辛い記憶ばかりなんだよな。
両親は幼い頃に事故で失っているし、唯一の肉親である妹は生き別れてしまい今どこに居るかも分からない。
会社はブラックだしというか既にクビになっているからなんの関係もない。
「地球に帰るというのであれば、全て元に戻させてもらう」
「それって病気も元に戻るってことだよな」
「当然だ」
「まあ、そうなるか……」
それってようはあの死ぬ瞬間に戻って、また苦しい思いをするってことか。
「これは提案だが、せっかく健康で若い身体を手に入れたのだから、この星に降りて今一度新たな人生を楽しむのはどうだ?」
「楽しむ?」
楽しむか……でもそこって中世ファンタジーの世界になるんだろ。食事とか衛生面とかそういうのが少し気になるんだけど。
「地球人はこの星の人間たちにとって、神であり、勇者であり、最強の存在である」
「いや別にチヤホヤされなくてもいいんだけど」
「なんだと!? むう……やはり歳を取ったのを連れてきたのは失敗か」
「失礼な言い分だな! 確かに若くはなかったが、そこまで枯れてないってんだ。それに今はぴちぴちになってるっつーの」
「はぁ……それならば仕方がない。しばらくの間ここで過ごすがいい。あー残念だ。地上では年頃の雌を選び放題だというのに」
「え?」
「……ふっ」
「い、いや……」
しまった。思わず反応してしまった。
「そ、それは、なくはない……」
おっ、一応あるのか。でも戻しづらいってか。
「確かに一応OKしたしなぁ……身体も元気にしてもらったし」
ああそうか。今俺って凄く若くなっているんだよな。
このままの形で戻るのは無理な話か。
「おまえの病気を治すのに若返らせる必要があった」
「若返らせるのが出来るんだから、老けさせることも出来るんじゃないのか」
「出来ないことはないが……」
「出来るのかよ。老けさせることになにか不具合でもあるのか?」
「そ、それは……え、あ……あー……」
「もしかして何か隠しているのか?」
どうもこの宇宙人は表情こそ全く変わらないが、何故か感情が凄く分かりやすい。
「お前、老けさせるとか出来ないんだろ」
「ぬぐっ!? そ、それは……」
身体をびくんと動き、あからさまに動揺した声の宇宙人。
「ほらほら、良いから本当のことを話してみろ」
「ぐ、ぐぬ……、わ、わかった」
宇宙人のおっさんは少しずつ話し始めた。
「はぁ!? 爆発事故で死にかけたってぇ!?」
その話はとんでもなかった。
ここは彼の星上空に浮いている人工衛星みたいなもので、最初に俺の前に現れた女神様はAIのような存在らしくツルピカなおっさんと違って実体はない。
現れるときはあの星を映し出したホログラムのようなもので表示しているのだとか。
そしてこの人工衛星の一部区画で爆発事故が起こり、その影響で様々なシステムの調子が芳しくない状態が続き女神が上手く起動せずおっさんが身代わりになって誤魔化そうとしたらしい。
俺はその時は病気を治すためのある装置に入っていたが、事故の影響をもろに受けたようでシステムのエラーで幸か不幸か若返らされてしまったらしい。
いずれにせよ、死ななかっただけでもよしとしよう。
おっさん曰く、ここのシステムはほぼ女神のシステムが動かしているためマニュアルでの操作は難しいとのこと。
つまり元の年齢に戻せない理由はそういうことだった。
「でも事故なら仕方がないんじゃないのか」
「そ、それはそうだが……」
まだ何か話していないことがあるのか。
つまり事故そのものが、ツルピカなおっさんにとって都合の悪い話だってことか。
これ以上話を聞き出したところで、身体は元に戻らなさそうだな。
「そうなると地球にも戻れないのか」
「それは可能。ここを運営するシステムとは別の機関が担当しているからな」
「マジか?!」
「一応、ここに連れてきた地球人は、女神の説明を聞いて最終判断として進むか戻るかは選ぶことが可能となっている」
「だったら、俺も戻れるのか」
「だが、お前に関しては……」
「なんだよ。俺はダメなのかよ」
「こちらの不手際ではあるが、さすがにそこまで見た目がかなり若返ったまま元の星に返すことは出来ない」
ですよねー。
「それでも帰ることを望むのであれば、システムが全復旧するまでここにいてもらうことになる」
「全復旧てどれくらいかかるんだ?」
「そうだな……お前達の概念に直すと、早ければ20年といったところか」
「は……? 20年!? そんなに時間かけてどうするんだよ! 壊れたところくらいさっさと直そうとしないのかよ!」
「何故そんなに急ぐ? 20年ならまだ早いほうじゃないか」
あ、これ……嫌な予感がする。
「なあ、一応聞くけど今は一体何歳くらいになるんだ?」
「お前達の時間に換算すると……肉体はおおよそ630年、中身の方は70年位だな」
「630年!? そんなに生きてんのか」
いやロボットみたいとか言っていたから、そういうものなのか?
それに中身は70年て肉体と精神は別だっていうのだろうか。
なるほど分かった。タイムスケールが俺とは全く違う。こいつらのちょっとに合わせていたら一体何年先になることか。
こんな殺風景な場所でツルピカおっさんと二人だけで過ごすとかマジで勘弁して欲しい。
「うーん……」
状況をもう少しよく考えてみる。
まず地球に帰るべきか。そもそも俺は帰りたいのか?
……あっちは辛い記憶ばかりなんだよな。
両親は幼い頃に事故で失っているし、唯一の肉親である妹は生き別れてしまい今どこに居るかも分からない。
会社はブラックだしというか既にクビになっているからなんの関係もない。
「地球に帰るというのであれば、全て元に戻させてもらう」
「それって病気も元に戻るってことだよな」
「当然だ」
「まあ、そうなるか……」
それってようはあの死ぬ瞬間に戻って、また苦しい思いをするってことか。
「これは提案だが、せっかく健康で若い身体を手に入れたのだから、この星に降りて今一度新たな人生を楽しむのはどうだ?」
「楽しむ?」
楽しむか……でもそこって中世ファンタジーの世界になるんだろ。食事とか衛生面とかそういうのが少し気になるんだけど。
「地球人はこの星の人間たちにとって、神であり、勇者であり、最強の存在である」
「いや別にチヤホヤされなくてもいいんだけど」
「なんだと!? むう……やはり歳を取ったのを連れてきたのは失敗か」
「失礼な言い分だな! 確かに若くはなかったが、そこまで枯れてないってんだ。それに今はぴちぴちになってるっつーの」
「はぁ……それならば仕方がない。しばらくの間ここで過ごすがいい。あー残念だ。地上では年頃の雌を選び放題だというのに」
「え?」
「……ふっ」
「い、いや……」
しまった。思わず反応してしまった。
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