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第四話
その頃の地上では
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まだ攻略の報が来る少し前。
「そうなんすよ。一応止めたんですけど……」
新米パーティの3人は無事にお使いを追え地上に戻ってきて事の次第を説明していた。
彼らの言い分は目的地に辿り着いて戻る途中、3人が紐で囲った場所に興味を持ち止めたが中に入って何処かに消えてしまった。周囲を探したが見つからないので仕方なく戻ってきたという。
「勇者様とデルがそのような迂闊な行動を起こすとは思えません!」
セレーネとアティウラは二人が戻らないと呼ばれてすっ飛んできていた。
新米パーティもまさかあの二人の連れが名高い聖女と破壊メイドとは思いもしていなかったので、さすがに萎縮していたが盗賊だけは職業柄なのかなんとか言い訳を続けていた。
「主様は死なない。なにかあれば連絡してくる」
「それはそうなんですけど……」
心配そうなセレーネをなんとか引き留めるアティウラ。
「2人がそんな迂闊なことをする?」
「それです! 勇者様は無鉄砲なところはありますが迂闊な人ではありません。そんなあからさまに危ないものに触れるとはとても考えられません」
「それに軽装過ぎ。モンスターにでも装備を取られた?」
アティウラの言葉に、思わず目線を外す3人。
彼らは武器も防具もまともに形として残っていなかった。
「あの臭い粘液はあるモンスターが興奮する」
「え!? あ……」
思わず驚きの声を出す女戦士。
「駆け出しが余計な欲を出すと酷い目に遭う造りになってる」
アティウラの説明に魔術師はそっと汗を拭う。
「矢印通りに進めば何事もなかったはず」
「そ、それは……」
生唾を飲む3人。
「なのにどうしてそこまでボロボロなの?」
そこまで説明されて、徐々に自分達が浅はかな行動をしてきたか分かってきていた。
「この手の試験は如何にギルドの依頼を素直に遂行出来るのか。例え欲を出したとしても同じ冒険者仲間が危機に瀕した時にどれだけちゃんとした対応が出来るか……それが試験の目的なんです」
「え、あ……」
セレーネの詳細な説明にがっくりと項垂れる魔術師、そして涙を溢れさせる女戦士。
「違う! 本当に、彼奴らが勝手な行動をしただけだ!」
だが最後まで盗賊だけは自分達の嘘を突き通した。
ここで試験に落ちては今後の食い扶持に困ってしまうため盗賊も必死だった。
どうしてこんな面倒くさいパーティが俺の時に混じっていたんだと自分の行動を省みずに悔しがっていた。
「本当に何もしていないのですね?」
聖女が確認をする。彼女に嘘をつくのは躊躇いがあった。
「そ、それは……その」
もう嘘をつき続けるのは無理と女戦士が話し出そうとした瞬間……洞窟の入口辺りに異変が起きた。
『コングラチュレーション! このダンジョンは攻略されちゃいました~!』
「え!?」
そのアナウンスと共に、周りにいた人間達は一斉に祝福の声を上げ始めるのだった。
「そうなんすよ。一応止めたんですけど……」
新米パーティの3人は無事にお使いを追え地上に戻ってきて事の次第を説明していた。
彼らの言い分は目的地に辿り着いて戻る途中、3人が紐で囲った場所に興味を持ち止めたが中に入って何処かに消えてしまった。周囲を探したが見つからないので仕方なく戻ってきたという。
「勇者様とデルがそのような迂闊な行動を起こすとは思えません!」
セレーネとアティウラは二人が戻らないと呼ばれてすっ飛んできていた。
新米パーティもまさかあの二人の連れが名高い聖女と破壊メイドとは思いもしていなかったので、さすがに萎縮していたが盗賊だけは職業柄なのかなんとか言い訳を続けていた。
「主様は死なない。なにかあれば連絡してくる」
「それはそうなんですけど……」
心配そうなセレーネをなんとか引き留めるアティウラ。
「2人がそんな迂闊なことをする?」
「それです! 勇者様は無鉄砲なところはありますが迂闊な人ではありません。そんなあからさまに危ないものに触れるとはとても考えられません」
「それに軽装過ぎ。モンスターにでも装備を取られた?」
アティウラの言葉に、思わず目線を外す3人。
彼らは武器も防具もまともに形として残っていなかった。
「あの臭い粘液はあるモンスターが興奮する」
「え!? あ……」
思わず驚きの声を出す女戦士。
「駆け出しが余計な欲を出すと酷い目に遭う造りになってる」
アティウラの説明に魔術師はそっと汗を拭う。
「矢印通りに進めば何事もなかったはず」
「そ、それは……」
生唾を飲む3人。
「なのにどうしてそこまでボロボロなの?」
そこまで説明されて、徐々に自分達が浅はかな行動をしてきたか分かってきていた。
「この手の試験は如何にギルドの依頼を素直に遂行出来るのか。例え欲を出したとしても同じ冒険者仲間が危機に瀕した時にどれだけちゃんとした対応が出来るか……それが試験の目的なんです」
「え、あ……」
セレーネの詳細な説明にがっくりと項垂れる魔術師、そして涙を溢れさせる女戦士。
「違う! 本当に、彼奴らが勝手な行動をしただけだ!」
だが最後まで盗賊だけは自分達の嘘を突き通した。
ここで試験に落ちては今後の食い扶持に困ってしまうため盗賊も必死だった。
どうしてこんな面倒くさいパーティが俺の時に混じっていたんだと自分の行動を省みずに悔しがっていた。
「本当に何もしていないのですね?」
聖女が確認をする。彼女に嘘をつくのは躊躇いがあった。
「そ、それは……その」
もう嘘をつき続けるのは無理と女戦士が話し出そうとした瞬間……洞窟の入口辺りに異変が起きた。
『コングラチュレーション! このダンジョンは攻略されちゃいました~!』
「え!?」
そのアナウンスと共に、周りにいた人間達は一斉に祝福の声を上げ始めるのだった。
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