上 下
271 / 388
第四話

全て終わって

しおりを挟む
 その後ギルドの代理人とセレーネやアティウラに新米冒険者達が事の次第を全て話した。

 欲を出して行ってはいけない場所に入りモンスターを呼び込んだ挙げ句に仲間をランダムテレポートで飛ばしたこと。
 それを先に伝えずに試験を優先して、しかも誤魔化すために嘘の報告をした……。

 散々指定外区域に行くなと言われたのを無視した行動と事故を起こしたことも誤魔化したことで人として信用に値しないと残念ながら3人は不合格となり再試験の機会も剥奪されてしまう。
 少し気の毒な気もするが仕方がない。

 女戦士と魔術師は項垂れていたが盗賊だけは最後まで納得のいかない不遜な顔をしていた。

 そしてランダムテレポートの罠にはまって下層に飛ばされたが無事に戻ってきたことで俺達の方は例外的に試験は合格となった。

 何せアデル教の聖女様を怒らせたことも、そこに忖度があったと思われる。
 大きな宗教は敵に回さないのはどんな世界でも鉄則っぽい。

「いやもう、俺には無理っしょ」

 あれだけ勇んでいた俺様男は、あっさりとした顔でそういった。
 勇者パーティやデルなど上には上が多すぎて、冒険者として成功するのは無理だと判断してさっくりと諦めて国に戻って畑を耕すことにしたとか。あの銅像の剣は記念として持って帰るらしい。

 女戦士と魔法使いも冒険者を諦めて、それぞれ傭兵と学者になることにしたが唯一盗賊だけは何も言わずに何処かに去って行った。

「まあとにかく無事に地上に戻ってこられてよかった」
しおりを挟む

処理中です...