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第3章
夏休み その4 花火大会⑪ ~カレーパンに誘われて~
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一人になった二郎はせっかくなので何か食べ物でも買って大和達が待つ場所へ戻ろうと思い屋台を回り始めた。
あれこれ悩んで迷っていると屋台の一番端の店から漂ってくる芳ばしい香りに誘われ足を運ぶとそこには屋台では珍しくパン屋があった。
「いらっしゃいませ。手作りカレーパンとあんパンいかがですか」
店員さんの掛け声通り、陳列棚にはずらりと並ぶカレーパンとあんパンがあり、それに目を奪われた二郎は迷わず購入することを決断した。
「それじゃ、それぞれ一つずつもらえますか」
「はい、2つで500円です。って、あれ、二郎君!?」
「え、まさか四葉さん。どうしてここに」
二人はようやくお互いの顔を確認して驚くもすぐに笑い始めた。
「ふふふ、なんかこんなことあったね。なんで二郎君と会うときはこんな変な状況なんだろうね。本当に」
「確かにそうだな。それにしても何処にでもこの店はあるね。今日も例の店長さんの人脈かな」
「そうそう、その人脈で出店リストにねじ込んでもらったんだって。スゴイ営業力だよね」
「パン屋やめて普通に営業マンでもやった方が良いんじゃないか、店長さん」
「私もたまにそう思うときあるよ」
二人は店長である春樹の謎の人脈の広さに感心しつつも、なんとも不思議な状況に冗談を交えながら話していると、噂の人物が屋台の裏から顔を出した。
「四葉ちゃん、カレーパン揚がったよ。とりあえずそろそろ花火も始まるし、これで一端パンを揚げるのは止めるからよろしくね。あれ君は四葉ちゃんの彼氏の二郎君じゃないか。君も花火を見に来たのかい」
店長の春樹が出てきて早々に冗談交じりに二郎に声を掛けた。
「どうも店長さん、ちょうど店長さんの人脈の広さはすごいって噂をしていたとこですよ」
「ちょっと春樹さん、バカな冗談はやめてくださいよ。二郎君に失礼ですよ」
二郎が冗談を軽く流す一方で、四葉はバカ正直に春樹に言い返すも全くの無駄だった。
「まぁ隠さなくても大丈夫だよ。俺は二郎君を信じているから。なぁ二郎君。手を出すなら最後まで責任を持つように頼むぜ」
春樹はグッドサインを決めて裏へ引っ込んだ。
「何を言ってんだ、あの人は」
「もうホント最近バカな事ばかり言って困っているのよ」
二人は顔合わせてよく分からないテンションになっている春樹の言葉に苦笑いを浮かべて、気分を変えて話しを戻した。
「それで500円だっけ。はいこれ」
「はい、おつり500円ね。袋に入れるからちょっと待ってね」
四葉がパンを袋に詰めていると、再度春樹が顔を出した。
「そうだ、花火が始まったら買いに来るお客がかなり減るみたいだから、四葉ちゃんも二郎君と花火見てきて良いよ。終わった後に少し売れるみたいだから、花火が終わる少し前に戻って来てくれれば良いから、ゆっくり花火を楽しんで来な。二郎君、しっかりエスコート頼むぞ。そんじゃよろしく」
春樹は言うことを言ってまたすぐに顔をひっこめた。
「だってさ。どうする。俺はちょうど一人だったし、せっかくだから一緒に花火でも見るかい」
「でも、いいの。友達と来ているんじゃないの」
「あー、別に大丈夫だろ、正直俺はおまけで来ているだけで、誰も俺がいなくなっても気づきもしないさ」
「そうなら、春樹さんの言葉に甘えてそうさせてもらおうかな。正直カップルばかりのこの会場を女一人でいるのはちょっと抵抗あったし、二郎君が付き合ってくれるなら良かったよ」
「まぁお互い一人同士、仲良くしようや」
「ありがとう。それじゃ、5分くらい待ってもらってもいいかな。ちょっと準備するからさ」
「了解。5分でも10分でもゆっくり準備して大丈夫だよ。俺はその辺を歩いているから準備が出来たら店の前にいてくれ」
春樹の粋な計らいもあって、この夏祭り最大のイベントである花火を四葉と二郎の二人は意図せず成り行きで一緒に見ることになったであった。
あれこれ悩んで迷っていると屋台の一番端の店から漂ってくる芳ばしい香りに誘われ足を運ぶとそこには屋台では珍しくパン屋があった。
「いらっしゃいませ。手作りカレーパンとあんパンいかがですか」
店員さんの掛け声通り、陳列棚にはずらりと並ぶカレーパンとあんパンがあり、それに目を奪われた二郎は迷わず購入することを決断した。
「それじゃ、それぞれ一つずつもらえますか」
「はい、2つで500円です。って、あれ、二郎君!?」
「え、まさか四葉さん。どうしてここに」
二人はようやくお互いの顔を確認して驚くもすぐに笑い始めた。
「ふふふ、なんかこんなことあったね。なんで二郎君と会うときはこんな変な状況なんだろうね。本当に」
「確かにそうだな。それにしても何処にでもこの店はあるね。今日も例の店長さんの人脈かな」
「そうそう、その人脈で出店リストにねじ込んでもらったんだって。スゴイ営業力だよね」
「パン屋やめて普通に営業マンでもやった方が良いんじゃないか、店長さん」
「私もたまにそう思うときあるよ」
二人は店長である春樹の謎の人脈の広さに感心しつつも、なんとも不思議な状況に冗談を交えながら話していると、噂の人物が屋台の裏から顔を出した。
「四葉ちゃん、カレーパン揚がったよ。とりあえずそろそろ花火も始まるし、これで一端パンを揚げるのは止めるからよろしくね。あれ君は四葉ちゃんの彼氏の二郎君じゃないか。君も花火を見に来たのかい」
店長の春樹が出てきて早々に冗談交じりに二郎に声を掛けた。
「どうも店長さん、ちょうど店長さんの人脈の広さはすごいって噂をしていたとこですよ」
「ちょっと春樹さん、バカな冗談はやめてくださいよ。二郎君に失礼ですよ」
二郎が冗談を軽く流す一方で、四葉はバカ正直に春樹に言い返すも全くの無駄だった。
「まぁ隠さなくても大丈夫だよ。俺は二郎君を信じているから。なぁ二郎君。手を出すなら最後まで責任を持つように頼むぜ」
春樹はグッドサインを決めて裏へ引っ込んだ。
「何を言ってんだ、あの人は」
「もうホント最近バカな事ばかり言って困っているのよ」
二人は顔合わせてよく分からないテンションになっている春樹の言葉に苦笑いを浮かべて、気分を変えて話しを戻した。
「それで500円だっけ。はいこれ」
「はい、おつり500円ね。袋に入れるからちょっと待ってね」
四葉がパンを袋に詰めていると、再度春樹が顔を出した。
「そうだ、花火が始まったら買いに来るお客がかなり減るみたいだから、四葉ちゃんも二郎君と花火見てきて良いよ。終わった後に少し売れるみたいだから、花火が終わる少し前に戻って来てくれれば良いから、ゆっくり花火を楽しんで来な。二郎君、しっかりエスコート頼むぞ。そんじゃよろしく」
春樹は言うことを言ってまたすぐに顔をひっこめた。
「だってさ。どうする。俺はちょうど一人だったし、せっかくだから一緒に花火でも見るかい」
「でも、いいの。友達と来ているんじゃないの」
「あー、別に大丈夫だろ、正直俺はおまけで来ているだけで、誰も俺がいなくなっても気づきもしないさ」
「そうなら、春樹さんの言葉に甘えてそうさせてもらおうかな。正直カップルばかりのこの会場を女一人でいるのはちょっと抵抗あったし、二郎君が付き合ってくれるなら良かったよ」
「まぁお互い一人同士、仲良くしようや」
「ありがとう。それじゃ、5分くらい待ってもらってもいいかな。ちょっと準備するからさ」
「了解。5分でも10分でもゆっくり準備して大丈夫だよ。俺はその辺を歩いているから準備が出来たら店の前にいてくれ」
春樹の粋な計らいもあって、この夏祭り最大のイベントである花火を四葉と二郎の二人は意図せず成り行きで一緒に見ることになったであった。
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