独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま

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1巻

1-3

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 寮の社員たちが出勤したあと、千影はホワイトボードに夕食の献立を書き込んだ。


 ◎今日の夕食
  ビーフシチューオムライス
  リーフレタスの粉チーズサラダ
 ◎ひとことメモ
  オムライスのご飯はバターライスです


 まずは、ビーフシチューからこしらえる。
 牛バラ肉に塩コショウをしてから、じゃがいもを八等分にカットする。じゃがいもを水にさらし、玉ねぎはくし切り、人参は乱切りにする。
 フライパンで玉ねぎと人参を炒めて、鍋に入れる。野菜を炒めたのと同じフライパンにバターを入れて、牛バラ肉に焼き色をつける。バターはたっぷり入れること、焦がさないように注意することがポイントだ。
 焼き色がついたら鍋に入れ、水を加える。赤ワインとブイヨンも入れたら、弱火でコトコト煮込んでいく。
 灰汁あくを取りながら一時間半ほど煮込んだら、デミグラスソースを入れる。水にさらしておいたじゃがいもとケチャップを足したら、味が馴染むまでもう一度煮込む。
 じゃがいもに竹串がスッと通ったら出来上がり。牛バラ肉がほろほろになったビーフシチューの完成だ。
 念のため味見をすると、肉と野菜の旨味がぎゅっと詰まったビーフシチューになっていた。

「濃厚で美味しい……!」

 思わず自画自賛する。ちゃんと濃いめの味になっている、と安心しながら千影は鍋に蓋をした。
 続いて、バターライスを作る。
 普通のオムライスならケチャップライスにするところだが、ビーフシチューをかけるので今日はバターライスにする。
 フライパンにバターを入れ、みじん切りにした玉ねぎを炒める。玉ねぎの色が透明になったらご飯と一緒に炒め、乾燥パセリを加えて彩りをよくする。
 バターの香りがふわっと漂ってきた。少量を小皿にとって味見する。

「うんっ、これも美味しい」

 玉ねぎの甘味とバターの塩気が、ちょうどいい具合に仕上がっている。
 次はサラダの準備だ。
 リーフレタスは、よく洗って水気を切る。粉チーズとマヨネーズと酢を同じ割合でボウルに入れて、よく混ぜ合わせてドレッシングを完成させる。
 ボウルにリーフレタスを入れて味を馴染ませたら、リーフレタスと粉チーズのサラダの完成だ。
 こちらも、小皿に盛って味を確かめる。ドレッシングと混ぜ合わせたから、レタスがほどよくしんなりして、その分だけ味がよく付いている。
 濃いめの味付けだけど、酢を入れているのでさっぱりとモリモリ食べることができる。
 社員たちがいつ帰宅してもいいように、卵液をこしらえておく。卵は一人二個分。白身を切るように菜箸でよく混ぜる。
 一通りの準備を終え、千影は洗い物に取り掛かった。包丁やまな板はもちろん、布巾の一つに至るまでていねいに洗う。調理器具は大事な仕事道具だ。包丁に刃こぼれがないか確認してから、布巾を煮沸消毒する。
 しばらくすると、玄関のほうから「お腹減った~~!」という声が聞こえてきた。

「ただいま!」

 食堂に入ってきた陽汰は、千影を見つけると破顔して「ご飯、もうできてる?」と言う。

「準備はできてます。すぐに召し上がりますか……?」
「食べる食べる~~!」

 うきうきと答える陽汰に、洋皿を渡す。

「バターライスをお好きな分だけ盛ってください」
「了解!」

 陽汰が大量のバターライスを皿によそっている。
 千影はフライパンを熱して油を入れ、準備しておいた卵液を流し入れた。ジュッといい音がする。
 卵液をフライパン全体に広げるようにして、周りが固まってきたらいよいよだ。
 じいっと陽汰に見られているので、若干緊張する。
 菜箸を大きく広げて持ち、両端から中央に箸をすべらせる。卵液を挟むようにして中央で合わせたら、菜箸はそのまま固定しておく。
 フライパンを回転させていくと、半熟ともいえない状態だった卵液がドレスのひだのような形になっていく。
 卵液が完全に固まる前に、フライパンからバターライスの上にスライドさせるようにして盛る。
 オムライスの周りにビーフシチューをかけたら出来上がり。
 繊細なドレープが美しい、ドレス・ド・オムライスの完成だ。

「お待たせしました。どうぞ」

 リーフレタスの粉チーズサラダと一緒に、配膳台に置く。

「す、すげ~~! プロの技だ! あっという間に卵がくるくるになった!」

 陽汰が目を輝かせている。

「マジで綺麗だなぁ。食べるのもったいない」

 そう言いながらも、彼のお腹はぐうぐう鳴っている。

「早く食べてください」

 低い声が出てしまい、千影はオロオロしながら言い直した。

「で、出来立てがいちばん美味しいので。お、美味しく食べてもらいたくて……!」
「あ、そうだよね。やっぱ出来立てが最高だよね。実は貫井さんに『今日の夕食はこんなに美味しそうなオムライスですよ~~!』って画像を送ってあげようかと思ったんだけど。でも、美味しく食べるほうが大事だからやめとく!」

 にこにこと笑いながら、陽汰がスマホをスーツの胸ポケットにしまう。
 満面の笑みを浮かべて「うまそ~~!」と言う陽汰を見ていたら、強張っていた千影の体から、すっと力が抜けていった。

「いっただきます!」

 陽汰が元気よく手を合わせる。
 それから、ドレス・ド・オムライスにそっとスプーンを入れた。ビーフシチューのごろっとしたじゃがいもと一緒にオムライスを口に運ぶ。

「ん~~っ! 卵がとろとろ。ビーフシチューもすっごく濃厚で美味しいよ!」
「……ありがとうございます」
「肉がごろごろしててデカい! でもほろほろで柔らかいーー!」

 もぐもぐと咀嚼しながら、陽汰は感想を伝えてくれる。
 美味しいと言ってもらえるのは嬉しい。彼の感想にもっと耳を傾けていたかったけど、そうもいかなくなった。社員たちが次々と帰宅してくるので、その対応に千影は追われた。
 各々が好きなだけ盛ったバターライスに、ドレスに仕立てた卵をのせていく。
 心なしか、社員たちに手元を見られている気がする。
 卵をくるくるする瞬間は、特に視線を感じる。物珍しいのだろうか。緊張しながらも、千影は一つ一つのドレスをていねいに仕上げていった。
 予想以上のスピードでご飯が減っていくので、慌ててバターライスをこしらえる。
 しばらくはご飯を多めに炊いて、必要な分を見極めなければ。
 玉ねぎを炒めながら、隣のコンロで卵をくるくる巻いていると、結野の声がした。

「器用だねぇ」
「慣れたら簡単です」
「俺は絶対にできる気がしない」

 貫井が真剣な眼差しで、じーっと千影の手元に集中している。

「……フライパンを回転させながら揺すると、うまくできます」

 卵がフライパンに引っつくことなく仕上がるのだ。

「なるほど」

 興味深そうにつぶやく貫井に、陽汰の声がかぶさる。

「結野さんと貫井さん、今日は遅かったですね」
「ちょっと寄り道してたから」

 そう言って笑う結野の皿に、フライパンからスライドさせて卵をのせる。

「うわ! 綺麗だな! すごいすごい」

 結野が目を輝かせている。

「バターの香りに食欲をそそられるな」

 貫井がごくりと唾を飲み込む。
 二人の皿にビーフシチューをかけて、リーフレタスのサラダも添えて、出来上がり。

「このビーフシチュー好きだな。すっごくコクがあって美味しい!」

 そう言って、もりもり食べる結野の横で貫井が「うんうん」と唸る。

「赤ワインが入ってるのが分かるぞ。やっぱりビーフシチューには赤ワインだ」

 どうしても貫井は『大人の味』にこだわりたいらしい。口元にビーフシチューを付けながらガツガツ食べる様子は、どちらかといえば子どもっぽい気がするのだけど。

「寄り道って、どこに行ってたんですか?」

 陽汰がトレーを配膳台に置きながら、二人に問う。

「本町通り商店街だよ」

 結野がリーフレタスの粉チーズサラダに箸をつけながら答える。本町通り商店街は、宮川を渡ったところにある昔ながらの商店街だ。

「あ、このサラダも美味しい。粉チーズの味がしっかりついてるのにさっぱりしてる」

 結野がぱくぱくと美味しそうにサラダを食べる。

「商店街に用事でもあったんですか?」
「洋品店に行ったんだ。エプロン買いに」
「エプロン? 結野さん、料理でもするんですか?」
「違うよ。千影ちゃんに」

 いきなり自分の名前が話題に出てきて、千影はビクリと震える。

「わ、私ですか……?」
「うん。そのエプロン、少し古くなってるじゃない? せっかくだから新しいのを買ってプレゼントしようってことになって」
「そんなの俺、聞いてないんですけど!」
「定時で上がって、すぐにお前のいる企画広報課に行ったんだぞ。もう帰った後だったが」

 貫井がちらりと陽汰を見る。

「夕食が楽しみすぎて、ソッコーで寮に帰りました……」

 ははは、と陽汰が笑う。

「いや、でもこれはエプロンっていうか……」

 ガサガサと袋から取り出し、陽汰がエプロンらしきものを広げた。

「おばあちゃんのエプロン?」
「割烹着だ」

 首をかしげる陽汰に貫井がツッコむ。

「なんで割烹着なんですか」
「風景に馴染むかなと思って。古い町並の一角にある、町屋を改装した寮。その寮のまかないさんには、普通のエプロンよりそっちかなってことになってさ」
「まぁ、それは確かに。雰囲気は合ってるかも」

 陽汰が納得したように頷いている。

「今のシンプルなエプロンは似合ってるし、嫌だったらそのままでいいんだけど」

 結野がにこにこと笑いながら「一応渡しておくね」と言って、千影に割烹着を手渡してくれる。
 千影が身につけている黒のエプロンは、伯母が営むお好み焼き屋でアルバイトしていたときのものだ。
 まかない係の仕事には制服はなく、エプロンも支給されなかったので、昔使っていたものを引っ張り出してきたのだった。
 古いだけあって、よく見るとほつれている箇所がある。

「……あ、ありがとうございます」

 なんだか、急に鼻の奥が痛いような感覚になった。
 嬉しそうな顔をしなければ。
 そう思うのに、痛みがぎゅんと激しくなってうまくいかない。
 嬉しいときに、嬉しい顔ができない自分にきっと皆はがっかりしている。
 そう思って恐る恐る顔を上げると、貫井と結野は食べることに夢中らしく、千影の反応を気にしている様子はなかった。
 反応を求めているわけではないと知って、余計に有り難いような申し訳ないような気持ちになる。

「ありがとうございます……」

 ぽつりとつぶやくと、そばにいた陽汰が反応した。

「うん? なにか言った?」
「あ、い、いえ……」
「そういえば、千影さんって夕食はいつ食べてるの」
「仕事の合間に、いただくことになっています」

 そう言いながら、まだ口にしていなかったことに気づく。作りながら少し味見をしただけだった。
 ……でも、もう今日は食べられないと思う。
 なんだか胸がいっぱいで、まるで食べられる気がしないのだ。
 とても不思議な感じがする。
 食べていないのに、すごくお腹が空いているはずなのに、まるで美味しいものをお腹いっぱい食べたあとみたいな感じになっている。
 心と体がじんわりと温もって、満たされているような、そんな感覚になっていた。


 ◆


 アパートまでの道を歩きながら、千影は思い切り深呼吸をする。心地よい疲労感だ。
 勤め始めた頃は、頭の先から足の先まで疲弊していた。勤務中ではなく、終業後にそれを感じるのだ。
 いつも帰り道の足取りが重くて、のそりのそりと歩いていた。近距離にあるはずのアパートが、遥か彼方に存在しているような気分だった。
 そんな千影だったけど、つい最近あることに気づいた。
 ちょっと充実感が、あるかも……?
 少しだけ余裕が出てきたのだろう。器用なタイプではないので、そう思えるまで半年ほどかかった。
 あのとき受け取った割烹着も、今ではすっかり千影の体に馴染んでいる。
 仕事が終わって割烹着を脱ぐとき、ちょっと心許こころもとない感じになる。身に纏っていないと、落ち着かないくらいなのだ。
 自分の変化が嬉しくて、千影は一人笑みを浮かべた。そして、軽い足取りで帰路を急いだのだった。



   二 富山とやま、ほたるいかの酢味噌和え

 三月の終わりから四月にかけて、独身寮『杉野館』は慌ただしい日々だった。
 株式会社ワカミヤには、いくつか支店がある。異動が決まった社員の退去や入居やらで、千影もバタバタしていた。
 新しい入居者の好みを把握したり、アレルギーの有無を確認したり、食堂でのあれこれを説明したりと落ち着かない毎日だった。
 それでも五月に入ると、少しずついつもの日常が戻ってきた。
 五月半ばの昼下がり。千影は、せっせと手仕事に勤しんでいる。作っているのは『赤紫蘇あかしそシロップ』だ。
 赤紫蘇には、ビタミンやミネラルをはじめ、体にいい成分が多く含まれている。
 シロップにして水や炭酸で割ると、美味しいドリンクができるのだ。
 赤紫蘇は出回る時期が限られているので、目に入ると必ず手を伸ばしてしまう。今日、朝市で今年初めての赤紫蘇を見つけた。
 まだ本格的な収穫時期ではないせいか、束になったものがほんの数点、番重に並べられているだけだった。千影は逃すまいと、赤紫蘇に飛びつくようにして購入した。そして、わさわさと束を抱えて帰ることになったのだった。
 杉野館の台所には、硝子瓶がらすびんがいくつもある。シンプルでスタイリッシュな形状のもの、インテリアとしても使えそうな凝ったデザインの小瓶、ころんとした可愛い形のもの。
 おそらく、最近は使われていなかったのだろう。食器棚の引き出しの奥に、まるで眠るように仕舞われていた。
 せっかくの道具だから、赤紫蘇が出回る季節になったらシロップをこしらえようと、千影は密かに企んでいたのだ。
 シロップを作るには、赤紫蘇の下処理から始める。茎から葉を一枚ずつもいでいく。葉だけになったら、ボウルに葉と水を入れ、ていねいに洗う。
 鍋に水を入れ、火にかける。沸騰したら、赤紫蘇を入れる。
 しばらく茹でていると、赤紫蘇が緑に変わっていく。これはアントシアニンが溶け出すからだ。赤紫色の湯がふつふつと沸いている。これがシロップの素になる。
 緑色になった葉はザルにあげ、ゴムベラなどでぎゅっと押しつけるようにしてしぼる。こした液は鍋に戻し、きび砂糖を加えて弱火にかける。
 きび砂糖が完全に溶けたら火を止め、りんご酢を加える。
 ゆっくりとかき混ぜると、あっという間に液体が鮮やかなピンクがかった色になる。まるで魔法みたいだと毎回、ちょっと感動してしまう。
 色が変化するのは、りんご酢を加えることで液体が酸性になり、アントシアニンの色素が反応するから。
 出来上がったシロップは、煮沸消毒した清潔な小瓶に詰めて冷蔵庫で保存する。鮮やかなシロップが詰まった小瓶たちを眺めながら、思わず千影はにんまりとする。
 手仕事をしていると時間がゆったりと流れていくような気がして心地よい。しばらく慌ただしい日々だったから、余計に心地よく感じたのかもしれない。
 今日の献立は、飛騨牛のコロッケとメンチカツがメイン。どちらもサクサクに揚がっている。コロッケはじゃがいもがほくほくしていて、玉ねぎの優しい甘みが美味しい。
 メンチカツは、飛騨牛ひだぎゅうの旨味がぎゅぎゅっと詰まっている。味見しようと箸を入れた瞬間、じゅわ~っとジューシーな肉汁があふれてきた。
 かじると、サクサクの衣と肉々しい感じ、それからあふれる肉汁で口の中が幸せになった。
 メンチカツは、飛騨高山の人気グルメの一つだ。
 人気の老舗精肉店が古い町並にあり、観光客が食べ歩きしている姿を見かけることがある。美味しそうにかぶりつく様子を見て夕食の献立にしようと思いついた。
 なかなかの自信作をこしらえることができたと思う。たくさん食べてもらいたいな、とうきうきしながら千影はホワイトボードに献立を書き込んだ。


 ◎今日の夕食
  ごはん(白米)
  飛騨牛コロッケ&メンチカツ
  彩り鮮やかイカと野菜のマリネ ~粒マスタード風味~
  千切りキャベツ
  豆腐となめこの味噌汁
 ◎ひとことメモ
  ごはんと味噌汁と千切りキャベツはおかわり自由です
  食後に赤紫蘇ジュースあります


 味噌汁の具は、なめこと豆腐。香りのいい三つ葉をのせて出す予定だ。
 イカと野菜のマリネは、輪切りにしたイカと彩りのよい野菜がさっぱりと食べられる一品に仕上がっている。オリーブオイルと粒マスタードのおかげでコクもある。
 野菜は玉ねぎとセロリ、それから人参。玉ねぎとセロリは水にさらして辛味を抜いて、人参は千切りにして塩で揉んでおく。
 茹でたイカと野菜、調味料をボウルに入れて和えたら出来上がり。ポイントは少し時間を置くこと。味が馴染んで格段に美味しくなる。
 昼間こしらえた赤紫蘇は、ジュースにして提供する。グラスにシロップと氷、炭酸水を注ぐと、見た目にも爽やかな赤紫蘇ジュースの完成だ。
 夕食の準備が整ったのを見計らったように、仕事を終えた社員たちが帰ってきた。
 配膳台に並んだ赤紫蘇ジュースを見た瞬間、陽汰の顔がキラリと輝く。
 この顔をするのは、彼が美味しそうなものを見つけたときだということに最近気づいた。もともと明るい表情をした彼がキラッとすると、ものすごく華やいだ感じになる。

「綺麗な色ですね」

 赤紫蘇ジュースを飲むのは初めてらしい。
 陽汰に「どうぞ」とすすめる。

「やった」

 陽汰は嬉しそうにグラスを手にして、勢いよくゴクゴクと飲む。

「うまっ! 甘くて爽やかで、仕事終わりの一杯には最高だなー!」

 本当に美味しそうに飲むな、と千影が嬉しく思っていると、貫井が食堂に姿を見せた。ネクタイを緩めながら、陽汰の『仕事終わりの一杯』に感想を述べる。


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