ライオ・バディヌリー 

鴨クリームコロッケ

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スペース・シャンソン

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深夜―ユーバーシュヴェンメン宙域フリュスターン星―
 廃墟、廃墟、廃墟。どこを見ても廃墟だらけでまともな建物などほとんど無い。
それもそのはず、このフリュスターン星ではつい数日前まで大きな戦いがあったのだから。
「仕事、終わったー!」
 まるで東大受験に受かったかのように叫び爆走するこの男、名をライオという。一応この物語の主人公の冒険家だ。
「とりあえず寝て、近くのでっかい都市で遊び倒すぞー!」
 彼は別に気が狂った訳で無いことを記しておく必要があるだろう。彼は、この星で先程まで依頼をこなしていたのだ。内容はつい1週間前まで続いていた内乱の鎮圧、及び首謀者の拘束というもの。凡そ冒険家なぞに任せる仕事ではないが、この男、並の冒険家とはわけが違う。
「とりあえず夕方までゆっくりして、近くのでっかい都市でパフパフするぞー!」
 …違う、違うのだ!彼は本当に並の冒険家とは違うのだ。だがそれは決して性に関することでは無い。開始二言目がこれなのは、今が仕事終わりだからだ。
「まあとにかく今は宿へ帰って…」
 言い終える前にライオは言葉を失う。何故か、理由など簡単だ。自分が予約していた、この街で現在数少ない建物である宿の方面で火事が起こった。その周辺に他に建物は無い。確実に宿での炎だ。
 言ってしまえば、それだけだ。この宙域ではよくあること、あの宿には彼以外にも、冒険家がいたのだから。そして、あの突然の炎では、宿の主や、この時間眠っているであろう一般の宿泊客は、もちろん助からない。腕利きの冒険家であり、共に仕事をした事もある、あの宙族無双のダッチでさえも、先日の傷では逃げ切れない。
それもまた、よくあることだ。
 冒険家とは、かくも因果な商売なのだ。恨み、怨嗟、禍根、虚無。この仕事を続ける限り、ついて廻るもの。創作の世界では時にスタイリッシュに、時にコメディー調に宙を駆ける存在、しかし現実はそうもいかない。倒した惡には恨まれて、助けたはずの人間には裏切られる。残党による報復行為、報酬の踏み倒し、それらが重なり、実力ある者が死ぬ。そんなことは日常茶飯事だ。今日の一件もまた、その内の一つ。
 こんな時、ライオは決まって煙草を喫う。今は亡き先達が喫んでいた、安い葉巻。煙草の銘柄などよくわからない自分でも、もっとましなものがあると分かる物。ただひたすらに苦いだけで、そこに煙草の旨みなど無い。まるで自分達の仕事そのもののような一服だ。そしてライオはるはずも無い神に祈るのだ。
「どうか哀れなボンクラ共の魂に、亡後の救いがあらんことを」
 紫煙が、彼らの魂を宙に還すことを願って。
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