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ライバルは最強兄ちゃん
奥様達の語らい*2*
しおりを挟む子供を寝かしつけた若い奥様が一人、熱心に電話を掛けている。旦那がビールを取ってくれ、と頼んでいる声も聞こえていない。
「もう! 凄い事になってるのよ! 素喜君のお兄さんったら、弟を連れて強引に帰っちゃったんだから!」
【素喜君はどうしたの!?】
「それがね、大人しく一緒に帰ったの。だからお兄さんも、店で暴れなかったんだけど……その後ちょっとして修治君も来てね、ものすご~く悲しそうな顔をして!」
【見たかった~!】
きゃいきゃい、わいわい。
奥様達の話は続く。
話を聞いてくれない嫁さんに溜息をついた旦那は、仕方が無く自分で立ち上がるとビールを取った。嫁さんの話では、玩具屋に修治と素喜という、可愛いカップルが居るらしい。男の子同士だけれど、その甘い雰囲気で奥様達のハートを鷲掴みにして止まないのだとか。
そんな二人に大試練。
嫁さんは聞きたくもないのに旦那に語り続ける。今、二人は愛の試練を受けているらしい。
どうでも良いけれど。
旦那は手にした冷たいビールを一気に飲み干しながら、電話に夢中になっている嫁さんの目を盗んで、二本目を取り出した。
案の定、二人の事を話すことに必死になった嫁さんは、気づきもせずに話し続けていた。
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