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番外編

3-9

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***


 修治が汗だくになって、息切れを起こしている頃。



「……か~わいい~」

 疲れ果てて寝ている大介の顔を撫でてみた。鼻筋がスッと通っている大介の顔は、引き締まっている。

 俺の腰にしがみついて寝ているのも、可愛さ倍増だ。

 ビジネスホテルは寝るだけと、思い込んでいる可愛い大介。

 暴走機関車みたいな彼を相手にするのは、正直大変だ。下準備もばっちりしておかないと、後々大変なことになるから。

 それでもやっぱり、大介と抱き合いたい。

 その瞬間だけは、俺だけを見ているから。

 必死にしがみつき、俺を抱いて、快感に飲まれまいと抵抗している姿はとてもそそられてしまう。まさに父性本能を擽る可愛さだ。

 何処で覚えてきたのかなんて、馬鹿な質問をしてくるのも可愛い。

 そんなもの、エロビデオやエロ本に決まっている。

 もっとも、男同士は怖くて見ることができないから、もっぱら普通のアダルトビデオ。それでもシチュエーションの参考にはなる。

「……お前は、そんなの見ないんだろうな~」

 そっと起き上がり、眠っている大介の顔を観察する。全身バネの体は、均整のとれた良い体をしていた。モデルにでもなれば、一躍売れっ子になれるだろうに。そう言ったこともある。

 女の子にきゃーきゃー騒がれるのが嫌だと、顔中に皺を寄せて言い放った大介。

 彼が中学生の頃に憧れたロック歌手になったとしても、女の子達は放っておかないと思うけれど。

「お前は格好良いってこと、自覚しろよ~」

 仰向けにさせ、芯から眠っている大介の頬を撫で回す。そうして携帯を手にすると、動画ボタンを押した。大介を撮りながら、自分も横に転がってみる。

「大介君は熟睡中で~す。ちなみにこ~んな体してま~す」

 ペリペリと、皮を剥がすように掛け布団を捲っていく。引き締まった体が少しずつ出てくる。お臍の辺りまで捲ってしまう。

 携帯で撮りながら、胸に手を這わせていった。突起を摘んでコロコロ転がしてやる。

「……ん」

 むず痒そうに身じろぎした大介を追って、突起を擽り続ける。

「……やめろって……純……」

 ゴロリと背を向けられてしまう。逞しい背中を撮りながら、掛け布団を全部捲った。

「……俺の……好きな人です」

 ベッドを軋ませながら立ち上がり、大介が向いている方へ回り込む。熟睡している大介は、撮られていることも知らずに眠りこけている。

 シャラランと音が鳴り、一回目の動画は自動的に切れてしまった。もう一回ボタンを押して、二回目に入る。眠っている大介の顔をアップで映しながら、片方の手で頬を撫でてしまう。

「……好きだ」

 自分の声が動画に収まった。擽るように撫でてしまう。

 こうしてみると、睫は少し長いかもしれない。眉間に皺も寄せていないから、端正な顔立ちが引き立った。大工仕事で疲れているのか、眠るとなかなか起きない大介。 

 頑張っている彼に、顔を寄せていく。携帯を上に翳しながら、おでこにキスをした。

「お疲れさま、大介。明日は普通に、遊ぼうな」

 どうしても会いたくて。

 電話だけでは足りなくて。

 怒鳴る彼の声が聞きたくて。

 大塚家に連絡を入れてしまった。大介の休みの日を教えてほしくて。協力的な大塚家により、明日一日、大介と過ごせる。

 体の欲求は満たしたから、明日は心の欲求を満たしてもらおう。

「……な? 大介」

 そうっと唇にキスし、それを動画で撮った後、写真機能に切り替えた。それでも一枚撮った俺は、満足した。

 大介の隣に寝転び、逞しい腰にしがみ付く。背中から抱き寄せると、俺の手に大介の手が重なった。

 大きな手は、俺を安らかな眠りに誘ってくれた。

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