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39話 しつこい元同期
しおりを挟む「おっベルベルちゃん、ビャクヤが見えてきたよ。こっちの道で合ってたようだね」
「本当ですか? よかった~」
どうやら道標の所にいた妖精のパスキーちゃんに教えてもらった分かれ道に進んだのが正解だったみたい。
あそこでパスキーちゃんの機嫌を損ねたら間違った方に案内されるらしい。
何事もやんわり接していくことを心がけるのが大切なのね。
「……えーっと? どこにビャクヤがあるんですか? わたしには街らしきものは見えないんですけど」
「ああ、ごめんごめん。ビャクヤの街は魔法結界で外から見えないようになってるんだ」
「へ~さすが魔女の街……あれ、じゃあなんでアサツキさんは街の場所が分かったんですか?」
「ボクの持ってるギルドカードの効果でビャクヤの魔法結界を視認できるようになってるんだ」
「えーずるい! チートですよチート!」
「ずるいって……ビャクヤの冒険者ギルドで依頼をこなせばベルベルちゃんのギルドカードも効果を付与してもらえるよ」
なるほど、ビャクヤの知り合いがいないと一見さんお断りって感じなのね。
アサツキさんがいなかったら見つけることすらできなかったわ。
「そういえば、デュラちゃんに乗ったままで入れるのかしら?」
「……出待ち」
「入れなかったら街の入り口で出待ちするの?」
「妖精は出入り自由だよ。そもそも妖精には魔法結界が効果ないからね」
「妖精さんすごいわ。本当にチートじゃない」
「ベルベルちゃんチートって言葉好きだね」
……。
…………。
「さて、休憩してボクの魔力も回復したし、そろそろ出発しようか」
「そうですね」
わたしも休憩して妖精魔法を使うための妖力が回復……したのかしら?
ゲームのステータスみたいに表示されるものじゃないから分からないわ。
「デュラちゃんも回復……」
「よ、ようやく見つけたぞ!!」」
「あらっ?」
大きな声に振り向くと、少し離れた所に馬に乗ってこちらを指さす少年と数人の男たちがいた。
あれは……ヘイリオスのお城にいた兵隊さんの格好だわ。
「やっぱりお前か、ベルベル!!」
「えっ誰……あ、ヒカルくん!?」
「僕もいるよ~!」
「マモルくんまで……こんなところでどうしたのー?」
もしかして勇者候補生の実習かなにかかしら。
でもさっき、ようやく見つけたって……?
「実は、ベルベルちゃんを探してき」
「おまえ、この転写画の女だろ!!」
ヒカルくんが喋ってたのを遮るように叫ぶヒカルくん。
う……わたしああいう男の子苦手なのよね。
「距離が離れてて画像なんか見えないわ」
「ボクが遠視の魔法で見てみよう……あー、あれはベルベルちゃんだね」
アサツキさんによると、ヒカルくんが掲げてる転写画にはわたしがデュラちゃんに乗って王都を出るところが写されているらしかった。
「ちょっと、それ盗撮じゃないの~!! ヒカルくんの変態~!!」
「お、俺が撮ったわけじゃねーよ!!」
「あ、しかもよく見ると転写画のベルベルちゃん、ちょっとパンツ見えてるね」
「きゃあああああああ!? ヒカルくんのえっち!!」
「だ、だから俺が撮ったわけじゃねー……はあ? なんだよえっちって……!!」
「本人にパンチラの画像見せつけてるんだもん、そりゃあベルベルちゃんも怒るよ」
「はあ? パンチラ? マモル、何言って……う、マジだ……気付かなかった……って、そんなことより!」
もしかして、わたしが『白馬の戦乙女』だということが二人にバレて、連れ戻すために王都から追っかけて来たって事?
ええ……普通に嫌なんですけど。
「おいベルベル!! お前が白馬の戦乙女なのか!?」
「違いま~す!!」
「嘘つくんじゃねえ!!」
「ベルベルちゃん、その作戦は無理だよ」
「あ、やっぱり?」
今もデュラちゃんに乗ってるものね。
まあでも、スカウトなんか来たってわたしは承諾しないし、ここで帰ってもらって……
「おいベルベル……いや、白馬の戦乙女!! 勇者候補としてどちらか強いか、俺と勝負しろ!!」
…………。
「「えっ?」」
わたしとマモルくんのセリフが被った気がした。
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