無用少女のフェアリークエスト~女神様から授かったスキルが使えないと言われて勇者候補を降ろされたので妖精さんと旅に出ます~

ふぃる汰@単行本発売中

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54話 新たな魔法と新たなクエスト

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「ウォーリーちゃん、わたしに魔法を教えたっていうのはどういう……」


「いい引っ越し先を紹介してくれたからなー」


「それって、ウォーリーちゃんの妖精魔法……うわっ!?」


 時間差で頭に魔法の情報が入って来たような感覚に陥る。
これは、座敷わらしちゃんに魔法を教えてもらったときの……


「……ぴかぴかみらーりんぐ?」


 なんだか、前に教えてもらった『ぴかぴかすとりんぐ』に似てるわね。


「はんしゃだなー」


「反社?」


 え、なにかしら。ケジメをつける魔法?


「相手の魔法をなー、反射できるんだー」


「魔法をはんしゃ……あー反射ね反射! えっ魔法を反射できるの!?」


 それって、かなり強い魔法なんじゃないかしら!


「ウォーリーちゃん、あなた実はめちゃめちゃ強い妖精さんなの?」


「己の道は、己で決めろ?」


 なるほど、自己研鑽を欠かさないから強くなったのね。知らないけど。


「人の意見も聞かないし、攻撃も効かないということね。さすがウォーリーちゃん」


「ベルベルも似たようなもんだなー」


「あら失礼な。わたしは人の意見聞いてるわよ」


 ……え、聞いてるわよね?


「じゃーベルベル、またなー」


「ウォーリーちゃん、帰っちゃうの?」


「ウラハイル聖国来たら寄ってくれなー」


「大聖堂の鏡だっけ」


 いつかウラハイル聖国に行くことがあったら寄ってみよう。


「達者でな―」


「またね、ウォーリーちゃん」


 そう言うと、ウォーリーちゃんは泉から姿を消した。
引っ越し先のウラハイル聖国に戻ったのだろう。
教会へ神託を授かりに来た女神信者の国民を邪魔するために。


「普通に良くないことなんだけどね……」


 人間だもの、何かに縋って生きていきたいこともあるわよ。
まあ、わたしは宗教でお金を稼ぐ人はあまり好きじゃないけど。


「それよりも、新しい妖精魔法だわ。魔法を反射する魔法か……」


 ちょっと試してみたいけど、誰かに魔法を使ってもらわなきゃ。
後でアサツキさんにでもお願いしてみようかしら。


「えーと、こんな感じかな? ぴかぴか☆みらーりんぐ!」


 街のおもちゃ屋で謎の幼女に買ってもらった魔法の杖……というか、魔法少女のステッキみたいなやつを構えて魔法を唱えてみる。
片足上げて横ピース……なんちゃって。


「あっベルベルちゃんこんな所にいたんだ。さっきギルドから連絡が……なにやってんの?」


「きゃああああああ!?」


 __ __


「な、なるほど、それで新しい魔法の練習をね……くく」


「笑わないでください!」


「可愛かったよ。子供に人気出るんじゃない?」


「そ、そういうのは求めてません」


 はあ、まさか人に見られるなんて……ベルベル、一生の不覚。


「それで、アサツキさん。わたしになにか用事ですか?」


「ああ、そうだったそうだった。冒険者ギルドから連絡があってね。ちょっとひとつクエストを受けてくれないかって」


「クエストですか?」


「そうそう。ボクとベルベルちゃんでね」


「アサツキさんはAランク魔法使いだから分かりますけど、わたしはただの駆け出し冒険者ですよ?」


「誰にも対応できなかったフェアリークエストをこなしてくれたからね。占い師の魔女達の推薦で評価がかなり上がってるんだよ」


「な、なるほど」


 アサツキさんが持ってきた依頼書に目を通す。


「えーと、依頼内容、魔法犯罪者の確保……」


 …………。


「なんですか、これ?」


「ちょーっと悪い魔法使いがビャクヤに入って来たって通達があってね。そいつを探して捕まえようってわけ」


「むむむ、無理ですよ! わたしの拘束魔法、人には効きませんよ!?」


 わたしの妖精魔法『ぴかぴかすとりんぐ』は魔物にしか効果が無い。
魔法使いと戦うなんて……


「そいつはどうやら魔物を使役しているらしくてね。ベルベルちゃんにはその魔物の対処を頼みたいんだ」


「無理です無理です!」


「新しい魔法も覚えたんでしょ? それも試してみようじゃないか」


「いきなり本番は厳しいです!」


「そんな感じで、わたしは新たなクエスト『魔法犯罪者を捕まえよう!』を受けることになったのであった」


「アサツキさん! そんな説明口調で言ってもわたしやりませんからね!」


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