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18. ドームツアー初日は北海道
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桐生さんとの熱い熱の余韻を残したまま、ドームツアー最初の公演地である北海道へ向かっていた。
飛行機の中、オレの視界の先には、伊勢と湊さんが並んで見える。2人は肩を寄せ合いながら、スマホの画面を見て何やら話していた。湊さんが笑えば、伊勢がつられて笑う。
二人の間には穏やかで親密な空気が流れている。
少し前なら、この光景を見るたびに、オレの胸はナイフで抉られるように痛んだ。伊勢の隣にいるのがオレじゃないという事実に、激しい嫉妬と絶望を感じていた。
しかし今、オレの心は静かだった。
窓の外を見る。雲の切れ間から覗く青空と眼下には真っ白な雪。光を受けてきらきらと輝いていた。
「片倉、答えは出たのか?」
隣の席から蒼真に声をかけられた。離陸早々に眠ったはずだが、ようやく起きたらしい。
「最近のダンスのキレは復活したし、なんだか吹っ切れたような顔をしてたから」
「蒼真、オレは……」
オレの心の変化を誰よりも早く察知し、グループ全体をよく見ているのは蒼真だ。
「伊勢は気が付いていないよ。たぶん、この先も気づかないと思う」
「参ったな。さすが蒼真は鋭いな」
蒼真の核心を突く言葉に、オレは思わず苦笑した。
「……でも。もう大丈夫だ。見ていて、微笑ましいとさえ思えるようになった」
「まずは明日と明後日の北海道公演。年明けに名古屋、大阪、博多。ファイナルの東京が3月。たぶん、あっという間だ」
全部で12公演。その間にも色々と仕事はあって、息をつく間もないほどスケジュールはびっしりだった。特に伊勢は、ドラマや映画のオファーが多方面から来ているらしい。
だけど、『TOMARIGIを辞める』と言い、それが保留となっているオレは、春先のスケジュールが空白になっていた。
「ごめんな、蒼真。答えは、もう少しだけ待っていて欲しい」
オレは改めて、桐生さんがくれた言葉の力を感じていた。自分の感情に正直になること、そして光を自分の手で掴む覚悟。今はただ、この新しい決意を胸に、ドームツアーに全力を注ぐだけだ。
ようやく、長いトンネルの出口を見つけたのだ。
だからこそ、それまでは、ただ全力で走りたい。
「前にも言った。俺は誰が抜けても嫌だって」
蒼真が真っ直ぐにオレを見た。その瞳は、まるでオレの心の奥底を見透かすようだ。
「うん、ありがとう」
それ以上、蒼真は何も言わず目を閉じた。すぐに、すやすやと寝息が聞こえる。高身長の蒼真、寝る子は育つというけれど、本当だなと思ってしまう。
「なぁ、片倉」
蒼真と入れ替えに、伊勢がこちらにやって来た。
「ステージの入り、少し変えたいって話してたんだ。意見聞かせて欲しい」
「了解。リハで確認しよう」
そう言うと、伊勢は嬉しそうにうなずいた。ほんの数秒のやりとり。でも、その穏やかな空気が心地よかった。
シートベルト着用のサインが点灯し、機内アナウンスが着陸態勢に入ったことを告げる。
『ツアー初日がんばって』
今朝、寝起き一番最初に見た、桐生さんからのメッセージ。思わず口元が綻んだ。
お土産を買って帰ろう。クール便でカニを送って、一緒に食べるのはどうだろうか。もっと好みを聞いておけば良かったな。
そんなことを考えていると、飛行機はゆっくりと下降し始めた。
飛行機の中、オレの視界の先には、伊勢と湊さんが並んで見える。2人は肩を寄せ合いながら、スマホの画面を見て何やら話していた。湊さんが笑えば、伊勢がつられて笑う。
二人の間には穏やかで親密な空気が流れている。
少し前なら、この光景を見るたびに、オレの胸はナイフで抉られるように痛んだ。伊勢の隣にいるのがオレじゃないという事実に、激しい嫉妬と絶望を感じていた。
しかし今、オレの心は静かだった。
窓の外を見る。雲の切れ間から覗く青空と眼下には真っ白な雪。光を受けてきらきらと輝いていた。
「片倉、答えは出たのか?」
隣の席から蒼真に声をかけられた。離陸早々に眠ったはずだが、ようやく起きたらしい。
「最近のダンスのキレは復活したし、なんだか吹っ切れたような顔をしてたから」
「蒼真、オレは……」
オレの心の変化を誰よりも早く察知し、グループ全体をよく見ているのは蒼真だ。
「伊勢は気が付いていないよ。たぶん、この先も気づかないと思う」
「参ったな。さすが蒼真は鋭いな」
蒼真の核心を突く言葉に、オレは思わず苦笑した。
「……でも。もう大丈夫だ。見ていて、微笑ましいとさえ思えるようになった」
「まずは明日と明後日の北海道公演。年明けに名古屋、大阪、博多。ファイナルの東京が3月。たぶん、あっという間だ」
全部で12公演。その間にも色々と仕事はあって、息をつく間もないほどスケジュールはびっしりだった。特に伊勢は、ドラマや映画のオファーが多方面から来ているらしい。
だけど、『TOMARIGIを辞める』と言い、それが保留となっているオレは、春先のスケジュールが空白になっていた。
「ごめんな、蒼真。答えは、もう少しだけ待っていて欲しい」
オレは改めて、桐生さんがくれた言葉の力を感じていた。自分の感情に正直になること、そして光を自分の手で掴む覚悟。今はただ、この新しい決意を胸に、ドームツアーに全力を注ぐだけだ。
ようやく、長いトンネルの出口を見つけたのだ。
だからこそ、それまでは、ただ全力で走りたい。
「前にも言った。俺は誰が抜けても嫌だって」
蒼真が真っ直ぐにオレを見た。その瞳は、まるでオレの心の奥底を見透かすようだ。
「うん、ありがとう」
それ以上、蒼真は何も言わず目を閉じた。すぐに、すやすやと寝息が聞こえる。高身長の蒼真、寝る子は育つというけれど、本当だなと思ってしまう。
「なぁ、片倉」
蒼真と入れ替えに、伊勢がこちらにやって来た。
「ステージの入り、少し変えたいって話してたんだ。意見聞かせて欲しい」
「了解。リハで確認しよう」
そう言うと、伊勢は嬉しそうにうなずいた。ほんの数秒のやりとり。でも、その穏やかな空気が心地よかった。
シートベルト着用のサインが点灯し、機内アナウンスが着陸態勢に入ったことを告げる。
『ツアー初日がんばって』
今朝、寝起き一番最初に見た、桐生さんからのメッセージ。思わず口元が綻んだ。
お土産を買って帰ろう。クール便でカニを送って、一緒に食べるのはどうだろうか。もっと好みを聞いておけば良かったな。
そんなことを考えていると、飛行機はゆっくりと下降し始めた。
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