【完結】ドジな新人マネージャー♂に振り回される、クールなアイドルの胸キュン現場 <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう

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#1

17. マネージャー復帰!

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「なんか、夢みたいです」


小さく呟くと、伊勢くんは僕を横から抱き寄せ、耳元で笑った。彼の腕の中で、しばらくうっとりと時間を忘れていた。


すると、ブルルル、と無粋な着信音が部屋に響いた。


「誰だよ、幸せなひと時を邪魔するヤツは」


伊勢くんは片手を伸ばして、サイドベッドに置いてあったスマホを取る。


「泊さんだ」


画面をちらりと見て眉をひそめた。チーフマネージャーからの電話。朝から何だろうと僕は息を飲む。


「はい、伊勢です」


低い声で応答する伊勢くん。その横顔を見ているだけで、胸の奥がざわついた。数秒後――彼の表情が少し固くなる。


「え、ええ。……そうですか」


会話の断片から聞こえてきたのは、驚くべき内容だった。


「マネージャーが、辞めた?」


思わず声が漏れる。

電話口の泊さんは事情を説明しているらしい。今日のドラマに同行する予定だったマネージャーが不在になったから、他のスタッフを向かわせるとかなんとか……。

だが伊勢くんは途中で遮るように口を開いた。


「湊さん、大丈夫ですよ。代わりはいますから」


え、まさか?


「元マネージャーの湊さんがいますから。復帰してもらいましょう」

「え、えええっ!?」


僕は布団の中でひっくり返りそうになる。勝手に決めないでください! と抗議したいのに、泊さんに丸聞こえになるのが恥ずかしくて、思わず両手で口を押えた。


「そうです。隣にいますよ」


伊勢くんは、スマホを操作してスピーカーに切り替えた。


『広報部にはこっちから話ておくから、度々で悪いが、現場に戻ってくれるか?』


泊さんの笑いを含んだ声。どこか嬉しそうに聞こえるのは気のせいだろうか。

必要とされるのは嬉しいし、マネージャーに戻れるなんて、願ってもいないことだ。そもそもーー、


「拒否権は、ありませんよね」

『ははは!そうだったな!無理でもやるのがサラリーマンだな!成長したな、湊』


チラッと見ると、伊勢くんもニヤニヤと笑っている。


『湊がいてくれると、何かと安心だからな』


泊さんはすべてを察したように、納得した様子で電話を切った。


「やっと静かになった」


電話を切った伊勢くんがシーツに身を沈め、いたずらっぽい笑みを浮かべる。その笑顔に、僕の心臓はまだ落ち着かない。

「もう!泊さん、変な誤解したらどうするんですか!」

「別に悪いことはしていなし、嘘は言ってない」

「そ、それはそうですけど……」


恥ずかしすぎて枕に顔を埋める。けど、伊勢の手がすっと僕の髪をかき上げて、逃げ場をなくした。


「これで、また近くにいられるな」


ずるい。そんな直球を言うから、息も言葉も詰まってしまう。伊勢の視線に絡め取られて、次の瞬間、また唇を塞がれた。



「撮影は午後からだし、まだ時間には余裕があるな」


伊勢は耳元で、わざと低い声でささやいた。


「もう少し、ここで練習してからでも遅くない」

「え、ちょっと」

にやりと笑う伊勢に、湊は耳まで真っ赤になって布団に潜り込む。


「そ、そんな言い方……! やっぱり僕、練習台にされてるじゃないですか!」

「練習台っていうより、俺の栄養剤だな」

「……っ、そ、そんな言い方……、断れないじゃないですか」

「昨日は途中で寝ちゃっただろ。まだ試したいこと、いっぱいある」

「い、いっぱいって……!」


僕の抗議なんて、伊勢には全然効いていない。


「担当アイドルのモチベーションを上げるのも、マネージャーの大事な仕事だからな。これからも、よろしく」


伊勢くんは、何度も僕の頬を撫でる。いとおしいと、指先から聞こえるようだ。


「俺の隣にいるのは、湊さんしか考えられないんだよ」


甘い言葉を耳元で囁かれ、反論の言葉が一瞬で消えてしまった。


「……ずるいです」

「いいだろ、俺はずるい男だから」


深く長いキスのあと、再び熱に巻き込まれていった。
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