いじめられっ子の僕は、異世界で無双する。

せつ

文字の大きさ
3 / 17

リオルさんとアーデントさん

しおりを挟む
森を抜けた先に、大きい二階建てのコテージのような家があった。まさにファンタジーという感じだ。

「着いたぞ、降りろ」

「…はい」

僕は、言われるがままドアを開ける。

家の中は、カフェのような雰囲気で緑がいっぱいあった。癒される場所…とは、まさにここのことだろう。

「おーい!!アーディ!出てこい!急ぎだ!」

急に大きな声で話し出したから、少しビクッと反応してしまった。不快じゃなかっただろうか。本当に申し訳ない。

「……なんだ?って、その子……なにがあった」

熊の耳が着いた獣人さんは、すごい剣幕で狼の獣人さんに詰め寄る。

「おーおー、怖がってんだろ、抑えろって。いやさ…、この子がゴブリンに襲われているところだったから助けて連れてきたんだよ。……すげぇ痛そうだから、なおしてやってくれ。」

「わかった。…ちょっと君、俺の膝の上に乗ってくれるかな?」

「おい、別に膝の上じゃなくても…」

「いいだろ別に。…さぁ、怖がらないでこっちへおいで」

すごく怖かったけど、逆らう方がもっと怖かったから大人しく膝の上に座った。

パアアッ……

見る見るうちに痛々しく見てられなかった傷が消えていった。すごい。………なんでこんなことしてくれるんだろう。やっぱり傷はない方が美味しいのだろうか。

「……、あの」

「どうした?」

熊の獣人さんは、優しく微笑みながら視線を合わせて話を聞いてくれる。子供だと思われているのだろうか。………、今から食べられるとはいえ、嬉しいな。

「僕のこと、食べるつもりですよね…?僕は、今までまともな物は食べてなかったから美味しくないし、健康にも悪いかもなので…食べない方が、いいと思い…ます、」

「「………ふはっ!」」

二人して笑っている。一体今の言葉のどこがおかしかったというのだろうか。

「別に食わねぇーよ。まあ、別の意味でくいてーなとは思ってるけど。」

「おいリオル!……まあ、そうだな。こいつの言うとおりだ。君に危害は加えないよ。」

「…!」

………どういうことだろうか。今だけは、僕は危害も加えられずにここに居ていいっていうことだろうか?

「俺の名前はリオルだ!んで、こっちの熊の獣人はアーデント。俺はアーディって呼んでるぜ!」

熊の獣人…いや、アーデントさんもうなずいている。

「良ければ、君の名前も教えてくれないかな?」

「…秘内雪です。」

僕がこの名を名乗っていいのか少し迷ったが、他に自分の呼び方がなかったため本名を言った。

「ヒメウチ=ユキ…?家名があるのか。それより…珍しい名前だな。」

「なあなあユキ!もしかして…ユキって尋ね人か?」

「……尋ね、人?」

「………この反応…確定だな。」

「ああ……どうする、尋ね人なんて、こんな家に住まわせていいのか。もっとちゃんとした、それこそ貴族が住むような場所じゃなきゃ…」

「その、尋ね人って…なんですか?」

「っ、ああ!すまなかった。ちゃんと説明した方がいいよな。…ここ、ルミナス王国は、約400年前から、50年に一度、尋ね人が異世界から召喚されるんだ。尋ね人から様々な知識を教わり、ここまで大きくなった。今、王族の養子に尋ね人が一人居る。だから…二人目が現れるなんて…奇跡だな。」

「………!」

どうやら、僕はこの国を発展させるために呼ばれたらしい。……僕みたいなのが召喚されてしまって、本当に…申し訳ないな。

「じゃあ、次はこっちの番だ。ユキは、前の世界でどういう扱いを受けていたんだ?」

……え?なんでそんなこと聞くんだろう。

「俺も気になってたんだよ!ユキ、さっき、「今までまともなものは食べてなかった」って言ってたのと、ゴブリンに襲われてたときの傷!あれ、ゴブリンからの傷じゃないだろ?」

「……そうです。でも、さっきの傷は…僕のせいなんです。だから、気にしないで下さい。」

「………どうやら訳ありのようだな。」

「うん…。全部自分のせいだとしてもさっきの傷、昔からずっと受けてるような深い傷だった。そんなに傷を付けられなきゃいけないような悪いことなんて…あっちゃいけねえよ。」

「……ユキが話したくなったら、話してくれ。俺達は、いつでも話を聞く。言えるようになるまで…待ってるな。とりあえず、今はゆっくり休め」

「………え?僕、ここに居ていいんですか、?」

「なーにいってんだよユキ!当たり前だろ!ユキは可愛いし、ほっとけなくてどこか不安定だから……いつまでもいていいんだぜ!」

………、嬉しい。今までこんなことを言われたことはなかった。なんか、ぽかぽかする。

「………ありがとう、ございます…」

「「ンンッ!!」」

僕がはにかみながら笑うと、何故か二人は悶絶していた。大丈夫だろうか。………でも、ありがとう。リアルさん、アーデントさん。

俺は、ぽかぽかした気持ちが心地よくてそのまま眠ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

転生した新人獣医師オメガは獣人国王に愛される

こたま
BL
北の大地で牧場主の次男として産まれた陽翔。生き物がいる日常が当たり前の環境で育ち動物好きだ。兄が牧場を継ぐため自分は獣医師になろう。学業が実り獣医になったばかりのある日、厩舎に突然光が差し嵐が訪れた。気付くとそこは獣人王国。普段美形人型で獣型に変身出来るライオン獣人王アルファ×異世界転移してオメガになった美人日本人獣医師のハッピーエンドオメガバースです。

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

【本編完結】完璧アルファの寮長が、僕に本気でパートナー申請なんてするわけない

中村梅雨(ナカムラツユ)
BL
海軍士官を目指す志高き若者たちが集う、王立海軍大学。エリートが集まり日々切磋琢磨するこの全寮制の学舎には、オメガ候補生のヒート管理のため“登録パートナー”による処理行為を認めるという、通称『登録済みパートナー制度』が存在した。 二年生になったばかりのオメガ候補生:リース・ハーストは、この大学の中で唯一誰ともパートナー契約を結ばなかったオメガとして孤独に過ごしてきた。しかしある日届いた申請書の相手は、完璧な上級生アルファ:アーサー・ケイン。絶対にパートナーなんて作るものかと思っていたのに、気付いたら承認してしまっていて……??制度と欲望に揺れる二人の距離は、じりじりと変わっていく──。 夢を追う若者たちが織り成す、青春ラブストーリー。

魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど
BL
「僕、魔法使いでよかった」 リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。 人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。 本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり... 独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。 (※) 過激描写のある話に付けています。 *** 攻め視点 ※不定期更新です。 ※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。 ※何でもOKな方のみ拝読お願いします。 扉絵  YOHJI@yohji_fanart様 (無断転載×)

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

処理中です...